【インタビュー】『ヒプノシスマイク』2nd フルアルバム発売。白井悠介「今までの軌跡があってこそ」

ポスト

2017年のプロジェクト始動以来、声優×ラップというそれまでにない斬新な切り口と高い楽曲クオリティで大きな広がりを見せている『ヒプノシスマイク』(以下『ヒプマイ』)。キングレコード内レーベル・EVIL LINE RECORDSが送り出す楽曲は、クリエイターにヒップホップ界の重鎮や有名ラッパーを起用。リリースのたびにオリコン上位に食い込み、今や2次元カルチャーの垣根を越え、多くのファンから愛されているビッグコンテンツだ。

◆撮り下ろし写真

そんな『ヒプノシスマイク』の2nd フルアルバム『CROSS A LINE』が6月15日についにリリースされる。シブヤ・ディビジョン“Fling Posse”(以下「ポッセ」)のリーダー・飴村乱数役の白井悠介に、アルバム制作についてやコンテンツに対する思いを聞いた。

『ヒプノシスマイク』STORY概要

西暦××××年。
第三次世界大戦により世界は人口の3分の1を失った。人類滅亡を危惧した権力者たちは武力ではなくディベートによる戦争回避を目指した。──しかし愚かな男たちは武器による争いを止めることはなかった。そして西暦最後の年──……。既存の世界は女性の手により終わりを迎える。

H歴。
武力による戦争は根絶された。争いは武力ではなく人の精神に干渉する特殊なマイクにとって代わった。その名も「ヒプノシスマイク」。このマイクを通したリリックは人の交感神経、副交感神経等に作用し、様々な状態にすることが可能になる。

H歴3年。
人々はラップを使い優劣を決する。男性は中王区以外のイケブクロ・ディビジョン、ヨコハマ・ディビジョン、シブヤ・ディビジョン、シンジュク・ディビジョン、オオサカ・ディビジョン、ナゴヤ・ディビジョン等の区画内で生活することになる。各ディビジョン代表のMCグループがバトルをし、勝ったディビジョンは決められた分の他の領土を獲得することができる。兵器ではなく言葉が力を持つことになった世界で今、男たちの威信をかけたディビジョン・ラップバトルが始まる。
(公式HPより引用)

『ヒプノシスマイクマイク』<D.R.B(Division Rap Battle)>のあゆみ

2020年末に開幕が発表された、実際のファン投票でディビジョンの雌雄を決する<2nd D.R.B>が2021年11月についに閉幕。イケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュク、オオサカ、ナゴヤの全6ディビジョンが「LIVE投票(1次投票)」、「CD投票(2次投票)」、「VR BATTLE投票(3次投票)」という3次に渡るバトルでぶつかり合った結果、優勝はシブヤ・ディビジョン“Fling Posse”の手に。約1年に及ぶ熾烈なバトルの間、関連楽曲やライブ、イベントが多数リリース&配信され、≪2nd D.R.B≫は大いに盛り上がった。

   ◆   ◆   ◆

■『とりま Get on the floor』はシブヤの集大成の楽曲

──2019年の1stフルアルバム以来、約3年ぶりのフルアルバム発売となりますが、アルバム制作を聞いたときのお気持ちはいかがでしたか?

白井:まずは、1stの発売からそんなに経っていたのかと驚きました。1stのときからディビジョンも増えているのでどの楽曲がどんな順番で収録されるのか気になりましたし、ドラマトラックの内容も楽しみになりました。そして何より、新曲が入ると聞いていたのでそれがとても楽しみでしたね。

──今回白井さんが参加されている新曲は、全ディビジョンが参加している「CROSS A LINE」と、シブヤ・ディビジョン“Fling Posse”の「とりま Get on the floor」ですね。それぞれの仮歌を聴いた印象はいかがでした?



白井:「CROSS A LINE」は久しぶりにバトルではない楽曲なんですよね。今までバチバチにやり合っていたバトルが終わりひと息ついて、みんながリラックスした雰囲気で、のんびり穏やかに歌っている様子が目に浮かぶような楽曲だなと思いました。

──「コーヒーサイフォン」など日常感のあるリリックだったのも印象的でした。

白井:そうですよね。曲調も『ヒプマイ』楽曲のなかではゆったりしているほうですし、爽やかな日常感があって僕はすごく好きな雰囲気なんです。ストーリーが進むなかでキャラクター同士が徐々に和解しつつあるので、「みんなで同じ方向を向いていこう」というポジティブさも感じていただけると思います。


──「とりま Get on the floor」はいかがですか?

白井:この楽曲はまさに、今までのポッセの楽曲や物語を踏襲した曲だなと思いました。仮歌データをもらうと、いつもだいたい(有栖川帝統役の)野津(山幸宏)か(夢野幻太郎役の斉藤)壮馬がLINEグループの口火を切るんですけど、ふたりが「今までのシブヤの集大成と言ってもいいかもしれない」って言い合っていたんです。大体、僕が聴く前にふたりが会話を始めているので、「待って、置いてかないでくれよ」って(笑)。

──シブヤ・ディビジョンのLINEグループは最近でも稼働しているのですね!

白井:そうですね。しょっちゅう会話してるわけではないんですけど。新しい楽曲をいただくと「レコーディング、いつとります?」みたいなやり取りがあったりします。ふたりのそんなやり取りを見たあとに曲を聴いてみたら本当にそのとおりで、今までのポッセの軌跡があってこその曲だなと思いました。すごく賑やかな曲調のなかに、いきなり過去楽曲のリリックがスバっと出てくるのがエモいですし、過去を振り返りつつも今を生きている、まさにポッセらしい曲だな、と。

──シブヤ・ディビジョンの楽曲はエモい印象がありますよね。

白井:そうなんですよね。1曲目の「SHIBUYA MARBLE TEXTURE -PCCS-」はゆったりとした曲調で普段のシブヤの日常が垣間見える楽曲だったのに対し、その後リリースした「Stella」や「Black Journey」など、ダークとは違いますがただポップなだけじゃない楽曲も多くて。





白井:今まで楽曲ごとに異なるカラーを見せてくれましたが、「とりま Get on the floor」は久しぶりに華やかでシブヤカラー全開だな、と。お互いに全てをさらけ出し合って、一皮剥けて本来の姿になったシブヤの物語がここからまた始まっていく……そんな未来が感じられる楽曲だなと思いました。

──「とりま Get on the floor」は作詞作曲を弥之助(AFRO PARKER)さんが担当されています。弥之助さんは他にもシブヤ・ディビジョンの楽曲をいくつか手掛けられていますよね。

白井:はい。それこそ、「Stella」や「SHIBUYA MARBLE TEXTURE -PCCS-」を手掛けてくださったのも弥之助さんで。本当にいつもお世話になっていますし、今まで弥之助さんがシブヤ楽曲を作ってくださったからこそ、「とりま Get on the floor」が現時点でのシブヤの集大成といえるんだと思います。この曲を聴いて、また過去を振り返りたくなるような一曲にもなっていますよね。

──ちなみに、シブヤ・ディビジョンのLINEグループでは他にどんなやり取りがあったのでしょうか?

白井:なんて言ってたかな……(ご自身の携帯電話を出しながら)ふたりとも、「めっちゃ最高です!」とか「白井先生、ヤバすぎる」とかすごい感想を言ってくれるんですよ。「先生」はよく分かんないですけど……(笑)。でも、そう言ってもらえるのは嬉しいですよね。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報