【俺の楽器・私の愛機】747「失職したからこそ生まれたギター」

【ボディだけ自作「Primavera」】（インドネシア在住　Tomo　50歳）


コロナ過により勤めていた会社が解散。田舎なので再就職先はなかなか見当たらず。腐っていてもしょうがない。懐は寂しいけど時間はたっぷりある。29年間モディファイのみでしたが、久々にギターを作り始めました。

※以下、固有名詞に車やバイクの名称とギターの名称が入り乱れます。車やバイクの名称はアルファベット表記、ギターの名称はカタカナ表記に統一します。

以前乗っていたPiaggio社のVespa 150 Superあたりのイタリアンスクーターをイメージし、落書きしてみた結果、ムスタングとジャガーとレスポールJrを混ぜたオフセットボディに、SGやグレッチコルベット風のサイドコンターをちょい足したようなデザインに。フェンダー風ボディにレスポールJrっぽいピックガードの組み合わせは、以前から試したかったアイディア。

製図に起こしはじめると、入手した材の寸法や手持ちの工具の制約もあり、何をどこまで出来るかも考慮しなければならず、何度も製図とMDFボード製モックアップを修正。実際、無理があって工作方法を変更せざるを得なかった個所や、抜いた瞬間にバキっとやってしまい影響が出た個所もありましたが、完成にこぎつけました。木工作業などの実際の製作作業期間よりも、随時行った工法・工程の再検討や、刃物の研ぎやカンナの改造など市販木工工具の加工、工具屋を巡って工具探しに費やした期間が遥かに長かったです。

ネックは友人が置いていった廉価テレキャスタータイプから拝借。ボディはマホガニー単板から削り出し。パーツも手持ちのものを流用したり再メッキで節約したので、材料費はあまり掛かっていません。

そうこうして完成したギター。塗装はすべて刷毛塗り。当初はレスポールJrのTVイエローやテレのバタースコッチブロンドに見えなくもない色を想定していましたが、塗料メーカー担当に言われるがまま下地からトップコートまで推奨品を使ったら、仕上がった色はもっと彩度が強く明るい山吹色掛かったイエロー。コンペラインを入れたら、まるでアメリカンマッスルカー。Chevrolet Camaroに擬態し変形する超ロボット生命体かも。当初の目論見から外れても、この色は気に入りました。

しかし、最初に書いたように元々イメージしたのは、イタリアンスクーター。山吹色から連想する言葉は「春」。Vespaの車名にもなっている「Primavera（イタリア語で春の意味）」なんてぴったりなネーミング。という訳で、こいつの名前は「プリマヴェラ」。

肝心の出音ですが、ネック移植元の廉価テレキャスタータイプとは比べものにならない程、しょぼかった中低音が大幅改善。多くの弦（音）を鳴らしても音の粒立ちが潰れにくく、解像感が上がった感じ。バッキングにおいても、パワーコードで省略される3度4度6度7度やテンション音を弾かないままじゃ勿体ない。全弦かき鳴らしたくなります。

早く対バンの皆に見せびらかしたいな。それ以前に生活を立て直さなきゃ。早くコロナ過が収束しますように。



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これはびっくりするほどのカッコ良さ。ギターメーカーも嫉妬するほどの魅力にあふれていると思うんですけど、これ見て「欲すい～」と身体をよじらせている人、全国にたくさんいる予感。てか、それ私。写真からも非常に丁寧な作りが伝わってきますし、美しさも際立ってる。コンセプトと基本設計をしっかり組み上げ、それにそって妥協しない姿勢が、この輝くオーラの源なのは間違いない。コロナはあらゆる人に多大な悪影響を与えているけれど、ここまでの道筋が描けて実践できるTomoさんだったら、問題なく見事な復帰とV時回復を見せることでしょうね。お互い頑張りましょう。GJ（JMN統括編集長 烏丸）


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