【インタビュー】ゆきみ、厳しい冬を乗り越えたからこそという意味を込めた<春>がテーマの3ヶ月連続リリース
■相手にできるだけ良い思いをして欲しい
■それに対しての自己犠牲の感覚が全くないのが愛なのかな
──今回のリリースに際し2回目のクラウドファンディングに挑戦されましたが、それも今おっしゃった、出会いの機会をより多くということからだったのでしょうか。
ゆきみ:そうですね。今回の3曲はほぼ同時期に出来たんですが、めちゃくちゃ良い作品が出来たと自負しているんです。留めておくのがもったいない、出来る限りの人に届いて欲しいという思いがありました。受け取ってくれない人もいるかもしれないけど、まずは出会ってもらわないと何も始まらないですからね。その、出会ってもらうためのきっかけを出来る限り作ろうと思い、みんなの力を借りて3月リリースの楽曲「ふたり」のMVを作り、YouTubeやSNSでCMなども流させてもらいました。
──ゆきみさんの思いにみんなが賛同してくれる。ファンの皆さんの愛、すごいですね。
ゆきみ:本当にそうなんですが、皆さんこの「ふたり」を聴く前の段階で支援してくださっているんですね。なので、私の今までの作品を聴いてくれて、きっと次の作品も素敵だろうっていうところがないと協力出来なかったと思うんです。今回のクラウドファンディングは、信じてくれたから成り立ったものなんですよ。もう、愛が止まらないです(笑)。私、たぶん聴いてくれる人が1人もいなくても音楽はやっていたと思うんです。それ以外の生き方が思いつかないから。でも、私のことを信じてくれて、好きでいてくれる人たちがいるから、私は「届けたい」と思うし、何度でもステージに立ちたいと思えるわけで。受け取ったこの愛をどうやって返していこうかって、今思っているところです。
──それはきっと、一生かけてってことなんでしょうね。
ゆきみ:音楽人生をかけて、返していきます。
──さてこの「ふたり」ですが、曲自体にもすごく愛が込められているなと感じました。
ゆきみ:私が今、詰め込めるだけの愛を詰め込んだ曲になっていると思います。しばらくは、これ以上の愛の歌は書けないと思う(笑)。
──そこまでのことを書く、何かきっかけがあったんですか?
ゆきみ:<想像の上で思いやってくれる 理解の上で尊敬しているの>という歌詞があるんですが、これを私が感じて、言葉になった時に作品にしようと思いました。今回のクラウドファンディングもそうですが、愛ってなんだろうと考えた時、みんなそれぞれの答えがある中で、私はBメロの<あなたの皿により多く具を乗せて注いだスープ>。つまり相手にできるだけ美味しい部分を食べさせてあげたいとか、良い思いをして欲しいとか、それに対しての自己犠牲の感覚が全くないっていうのがもしかしたら愛なのかなって思ったんです。その、相手を大事に思うというものの延長線上で、一緒にいない時間を大事に思うっていうのがすごく素敵な愛の形だなって。それが、さっきの「想像の上で思いやってくれる」という歌詞に繋がるんですけど。
──例えばどういうことですか?
ゆきみ:母親が畳んでおいてくれた洗濯物を見て、お母さんが洗濯しているところを想像するみたいな。一緒に過ごしていない時間なんだけど、その時間に対して、想像して思いやれる。これが私の愛の答えなのかなって。
──わかります!
ゆきみ:“想像”って、私の人生の中で一番と言っていいくらい大事にしていることなんです。相手のバックボーンというか自分の知らない部分を想像して、こういう気持ちだったのかなと考えたり、そこに寄り添えるっていうことを、私はここ最近ずっと素敵だなと思っているんです。それが言語化されて作品になって、私はこれに出会ってさらに自分の中でも愛を確かめられたというか。自分が思っていたことを作品にすることによって、自分の中にある愛がまた深まった気がしています。
──MVでは、その愛が素敵な映像で表現されています。
ゆきみ:今回のMVに関しては、ぜひ撮っていただきたいと思っていた横田和樹監督にお願いをしました。どういうコンセプトにするは監督に委ねていたんですが、童話の「人魚姫」をもとに組み立てていかないかというお話をいただいて。私も大好きな話だったし、あれも愛の物語なんですよね。絵本しか読んだことがなかったので翻訳された原作を読んでみたんですが、改めて人魚姫の自己犠牲と思わない愛みたいなものを感じ、この曲と通ずる部分がすごくあるなと思いました。衣装を製作してくれたびびてさんも童話の中で一番好きなのは「人魚姫」だったらしく、私の得意分野だから任せて!みたいな感じで、まさにあの映像作品にぴったりの衣装を作ってくださいました。
──映像の中で女の子が読んでいる絵本は、ゆきみさんが手掛けたそうですね。
ゆきみ:はい。あれは原作を読んで、改めて私の言葉で書いた「人魚姫」になっているんです。絵は描いていただいたんですが、言葉もひとつひとつ丁寧に選んで、この表現の方がいいかな、ここは漢字がいいかなひらがながいいかなって、こだわって作りました。昔から、絵本を作りたいという気持ちがあったんですよ。絵を描くのも好きですし、言葉を選んでいくことも好きなので。
──それが今回実現した、と。
ゆきみ:MVが「人魚姫」をもとにという話になった時、既製のものを使うとなると色々難しい部分が出てくるかもしれないなとか、そもそも絶対に絵本を出さなきゃいけないわけでもないけどみたいな流れになって「いや、私が書きます!」と(笑)。さすがに監督もびっくりされていました(笑)。
──その絵本は、ゆきみさんのブランド(nana and patty)から販売もされているそうですね。音源は配信ですが、こういう形で手元に残るというのは素敵なアイデアだと思いました。
ゆきみ:たしかに、作品として手元に残るのはCDだけじゃないですよね。この絵本を手に取ってもらうことで、あの作品がより特別なものに感じてもらえたら嬉しいです。
──では最後になりますが、4月23日に行われる3ヶ月連続リリース記念&クラウドファンディング感謝祭「グリーグの見た春」について聞かせてください。
ゆきみ:呼んでいただいてライブをすることは何度かありましたが、今回は自分で企画をした初めてのライブになります。新宿SAMURAIはこれまで何度も出演させていただいているライブハウスで、お世話になっている店長にはクラウドファンディングのプランや、今回の企画についても相談に乗っていただきました。lilubayをゲストアーティストとして招き、私はバンドセットでがっつり長尺でやろうと思っています。
──ちなみにこの「グリーグの見た春」のグリーグは、あのクラシックの作曲家のエドヴァルド・グリーグのことですか?
ゆきみ:はい。今回リリースした3曲をもし1枚のCDにするんだったら、タイトルはこれにしたいなと思っていたんですよ。グリーグはノルウェーの作曲家なんですが、たぶんその土地にやってくる春って、私たちが感じている春の何倍も嬉しいものだったんじゃないかなって、曲を聴いているとすごく感じるんですね。今回の企画も、いつも以上に嬉しく思えるような春の感覚をみんなに届けられたらいいなという思いを込めました。私はここに命をかけてやっていこうと今意気込んでいるので、絶対に見て欲しいと思っています。
取材・文:山田邦子
リリース情報
「ふたり」
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3ヶ月連続デジタルリリース第二弾
「羽ばたき」
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3ヶ月連続デジタルリリース第一弾
「アイム ア ジーニアス」
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ライブ・イベント情報
開催日:4/23(土)
OPEN/START:17:30/18:00
ADV./DOOR ¥3,000/¥3,500
※入場時1ドリンク¥600別 / 配信 ¥2,000 (アーカイブ7日間)
LINEUP:ゆきみ / Lilubay
INFO:info@live-samurai.jp
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