【インタビュー+楽器紹介】生形真一(Nothing's Caved In Stone)、東阪ワンマン開幕直前に語る新曲と「“2つの初”がおもしろい」
■<ANSWER TOUR 2021-22>
■ギターサウンドシステムを語る
最新アルバム『ANSWER』を掲げて2021年からスタートしたツアー<ANSWER TOUR 2021-22>のファイナル公演が2月25日、豊洲PITで開催された。その圧巻のステージは先ごろ公開したレポートでお伝えしたとおり。ここでは、当日のステージ上にセットされていたギターサウンドシステムの全貌をご紹介したい。お馴染みのシグネチャーモデルをはじめ、同ツアーで初導入したアンプなど、生形真一本人がそのひとつひとつを解説してくれた。
◆ ◆ ◆
【GUITAR編】
▲Gibson Shinichi Ubukata ES-355 Vintage Ebony ('57 Classic) ※写真左/Gibson Custom Shop ES-355 (Piezo) ※写真右
▲メインギター(写真左)はギブソンと生形が共同開発したシグネチュアモデル。基本仕様はギブソンES-355と共通しているがクロームのハードウェア類やダイヤモンドfホール、バリトーンスイッチ、ブラックピックガードなどが採用されていることが特徴だ。
「メインで使っているシグネチュアモデルは2本あって、それぞれ搭載しているピックアップが違うんです。1本はギブソンの57クラシックで、もう1本はMHS (GIBSON MEMPHIS MHS ES-335 PAF)。同じライブで2本を使い分けることはなくて、その日の気分とか会場の特性に合わせて、どちらを使用するか選んでいます。どちらにも良さがあるけど、57クラシックのほうが最近の自分の好みに合いますね。豊洲PITのときも57クラシックを使いました」
▲写真右はピエゾピックアップが搭載されたカスタムショップ製のES-355。そもそもES-355はES-335の上位機種として開発されたモデルで、マルチバインディングやダイヤモンドヘッドインレイ、ゴールドハードウェアといった装飾が生み出すゴージャスかつ風格に溢れたオーラが印象的だ。ウッドマテリアルには、メイプル/ポプラ/ネイプルボディー、マホガニーネック、エボニー指板、メイプルセンターブロックを採用。レンジが広くアタックの効いたトーンから、ブルースやフュージョンなどはもとよりロックにもフィットするセミアコモデルとして知られている。
「このギターはアコースティックギターの音色を出すとき用で、今回のライブでは「Milestone」と「Recall」で使いました」
▲Gibson Custom Shop ES-355 Cherry Red ※写真左/Gibson SG ※写真右
▲生形真一がシーンに登場したことで、日本にセミアコを使用するロックギタリストが爆発的に増えたのは誰もが認めるところだろう。そんな彼がシグネチュアモデル制作期間中に愛用していたのが、写真左のES-355だ。現在は半音下げチューニング用としてスタンバイされている。
「半音下げチューニングの「Walk」で使っています。シグネチュアモデルを作るときにギブソンから、“バリトーンスイッチが付いているギターを試してほしい”と送られてきたギターです。2015年くらいに製造されたギターになるのかな。マエストロビブラートは最初から搭載されていて、最近はこのアームが好きですね。シンプルな構造だけど効きがいいし、アーミングしたときの感触も気に入っています」
▲生形のSGといえばペルハムブルーのフィニッシュを思い浮かべるが、最近のライブではマエストロビブラートユニットを搭載したこちらのモデルを使用。SGならではのヘヴィ過ぎないトーンや群を抜いた弾きやすさなども気に入っているとのことだ。豊洲PITのライブでは「We're Still Dreaming」「Beautiful Life」「Diachronic」などで使用した。
「実はリハーサルのときに、ペルハムブルーのSGのネックが折れちゃったんです。このSGは修理してもらっている間、代わりのギターとして使わせてもらっていたものなんですけど、すごくいい。ペルハムブルーはクールな音で、こちらは明るくてカラッとした音だから、キャラクターが全く違う」
▲Gibson Shinichi Ubukata Firebird III ※写真左/PICK ※写真右
▲シグネチャーモデル第二弾となるファイヤーバードIII。1965年から1969年にかけて生産されたノンリバースタイプがモチーフだ。スペックは、マホガニーボディー/ネック、ローズウッド指板、P-90ピックアップ×3基、マエストロビブラートユニットを採用。
「まだ製作途中のギターなんですけど、ソリッドな音でエフェクターの乗りもいい。ファズをかけるとオルタナテっぽい音になるので「No Turning Back」とか「Rendaman」で使っています。あとは、俺が今一番好きなピックアップがP-90なんですよ。ここぞというときにはパワーがあるハムバッカーを使うけど、P-90は汎用性が高いんですよね。P-90が好きだというギタリストが最近増えているけど、それはよくわかります」
▲ピックはシェクター製のオリジナルモデルを使用。トライアングルタイプで、厚さは0.72mm。
「ずっとフェンダーのミディアムを使っていたので、オリジナルピックを作るときもそれを参考にしました。フェンダーのミディアムは0.80よりも少し薄くて感触がいい。オリジナルピックは俺にとっては絶妙な仕上がりです」
【EFFECTOR編】
▲EFFECTOR/FOOT PEDAL
▲数々のコンパクトエフェクターはFree The ToneのプログラマブルスイッチャーARC-3でコントロール。写真上段右から、 BOSSのアナログディレイDM-2W、SubdecayのフェイザーQuasar Quantum、Diaz PedalsのトレモロTexas Tremodillo、KLONのオーバードライブKTR、Human GearのファズANIMATO FORTE。それらが載った台の下は右から、Free The ToneのオーバードライブRED JASPER RJ-2V、Bognerのブースター/コンプレッサーHARLOW RUPERT NEVE DESIGNS BOOST With BLOOM、Wren and CuffのファズYour Face 60’s Hot Germanium Fuzz、その裏側にはZ.VexのファズFuzz Factoryもセット。写真上段中央部のmerisのリバーブMERCURY7 Reverbから左へ、Mad ProfessorのディレイDual Blue Delay、その下はBOSS のデジタルディレイDD-500、BOSSの電子メトロノームDr.Beat DB-12、KORGのデジタルチューナーDT-10。写真下段右から、DigitechのワーミーペダルWhammy 5、Free The ToneのプログラマブルスイッチャーARC-3、Free The ToneのボリュームペダルDIRECT VOLUME DVL-1 series、Jim DunlopのワウペダルSU95 Shinichi Ubukata Crybaby。
「核になっているエフェクターは上段右側の台下にあるんです。まずFree The ToneのRED JASPER RJ-2Vという新製品はブースターとして使っています。俺はアンプセッティングで歪ませているので、バッキングのときはアンプ直の音なんですけど、コードリフとか少し音量を上げたいときにONに。一番よく使うのはRED JASPER RJ-2VとWren and CuffのファズYour Face 60's Hot Germanium Fuzz。Your Faceはいわゆるファズフェイスのクローンで、ファズフェイスはローがすごく出ちゃうんですけど、Your Faceはローを調整できるんです。あとは、NEVEとのコラボによるBognerのHarlowは、NEVEのトランスを搭載していて、そこが肝。ブースターとコンプの中間的なエフェクターなんですけど、すごくいい。だから音量を上げたいときは、JASPER RJ-2VかBogner Harlowのどちらかを使う感じですね。メインの歪みはこの3台あたりで、ギターソロとかで昔から使っているZ.VexのFuzz FactoryをONにしてます。HUMAN GEARのANIMATO FORTEは「No Turning Back」のリフとかでONにしていて、klon ktrはいわゆる普通のギターソロ……過激じゃない音で、ピッキングでニュアンスをコントロールできるようなソロを弾くときに使っています。ディレイのメインはBOSSのDD-500。Jim DunlopのSU95は俺のシグネチャーワウです」
▲EFFECTOR/FOOT PEDAL
▲メインボード左側のサブボードはピエゾピックアップ用スイッチとDI、アンプセレクターをセット。写真右上から時計回りに、Free The ToneのアウトプットセレクターFC-370 Output Selector、ピエゾとマグネットピックアップ切り替え用アウトプットセレクター、Mad ProfessorのディレイDeep Blue Delay、RadialのダイレクトボックスJ48。
「Free The ToneのFC-370はロッカフォルテとマッチレスを切り替用です。それと、ピエゾピックアップを搭載したES-355は、ギターの中にあるピエゾピックアップの回路を外に出しました。足元でON/OFFのコントロールしているんです。ギブソンのスタッフと相談して、ギターの中に入れると重くなるし、故障したときのメンテナンスも簡単という効率性を考えてのものですね」
【AMPLIFIER編】
▲AMPLIFIER
▲写真左のアンプヘッドは<ANSWER TOUR 2021-22>から新導入されたロッカフォルテ Levant Series。ロッカフォルテはエディ・ヴァン・ヘイレンのアンプのリペアやモディファイを手がけていたダグ・ロッカフォルテが立ち上げたアンプブランドだ。1960年代ブリティッシュアンプのクラッシックトーンを彷彿させるレンジの広さや圧倒的な音圧、抜けのよさなどを備えた良質なトーンを引き出せる。スピーカーキャビネットはマーシャル412Aキャビネットだ。
「ロッカフォルテはマーシャル系のアンプですよね、めちゃくちゃ気に入ってます。本当にいいアンプだけど、音がデカ過ぎて敬遠する人が多いみたいですね(笑)。マスターボリュームが付いてて、ツマミを“1”にしただけで爆音が鳴る。でも、先日の豊洲PITくらいの規模のライブだったら全然大丈夫。俺は普通の人よりもちょっと音がデカめだとは思いますけど(笑)」。
一方、写真右のマッチレスDC30は基本的にクリーン用としながら、曲によってロッカフォルテと使い分けているそうだ。
「今回は「Diachronic」とか「We’re Still Dreaming」でマッチレスDC30とギブソンSGの組み合わせで使いました。その辺りの曲にハマる音がするんですよね」
取材・文◎村上孝之
撮影◎西槇太一(ライブ)/野村雄治(機材)
■Digital Single「Fuel」
https://ssm.lnk.to/Fuel
■東阪ワンマンライブ<Bring the Future>
open16:00 / start17:00
4月20日(水) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
open17:30 / start18:30
▼チケット
指定席:6,400円
一般発売:2022年3月19日(土)〜
・チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/ncis-btf/
・e+:https://eplus.jp/sf/word/0000033776
・ローチケ:https://l-tike.com/artist/000000000414391/
※学生の方は会場にて学生証提示で1,500円キャッシュバック
※高校生以下の方は2,000円キャッシュバック
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