【俺の楽器・私の愛機】682「時代が追いついた逸品」

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【MUSICMAN BONGO4 SH】(千葉県流山市 haru 33歳)


このベースを手に入れたのは高校生の時でもう15年以上一緒にいます。

今となってはDream TheaterやThe Omnificなどの技巧派バンドが使っていたり、アニバーサリーモデルとしてStingrayではなくBONGOの特別仕様モデルが発売されたり、MUSICMANの顔として世の中に受け入れられていると強く感じます。しかし、私がこのBONGOを手に入れた時はこんな未来が来るとは思いもしませんでした。

当時、高校生の私はPhotogenicの入門セットでベースを始めて1、2年がたち、演奏が少しずつできるようになってきた頃でした。友達は憧れていたRickenbacker330を手に入れ、もう一人のギターもGibsonは見つかりませんでしたがEDWARDSのMarauderモデルを見つけてそれぞれの愛機を手に入れていました。

休みの日に電車で1時間かけて御茶ノ水まで行き、坂の上から下まで値段をみながらカタログだけを貰って帰る。そんなことを何回か繰り返していた時、MUSICMANのカタログのなかでBONGOと出会いました。Red Hot Chili PeppersのFLEAをはじめ、時代の空気感は圧倒的にStingrayの人気が高かったですが、私はカタログの中の奇抜なBONGOのデザインに心を奪われました。

人間工学を用いたMUSICMANの最新モデルでありながらもStingrayの人気に押されて、店頭では新品特価70%OFFで投げ売りされて、税込9万9千円で新品のBONGOが買えました。人と違うベースを持ちたかった私にはJBでもPBでもない上に、手が届く価格ということもありBONGOを愛機に選びました。

楽器屋の壁に吊り下げられたBONGOはどのモデルも全て70%OFFで、PU配置違いのSH、HHに加えてピエゾの有無で4モデルが揃っていました。70%OFFで投げ売りされていても各色各モデルが選べる。そのくらい人気がなかったBONGOが今ではしっかり価格を保ちつつ、アーティストが持ってる姿も見かけるようになり驚いています。

最近のBONGO使用アーティストの演奏を聴いていると、BONGOが今の時代の音と相性が良くなってきたのかと想像しています。強烈に効く4BAND EQはパワフルすぎてアンプがビビるくらいLowがブーストできたり、Hi Mid、Low Midが別々に調整できたり音作りの幅が広いです。このEQの音作りの幅はよくアピールされています。

しかし個人的には木材の選ばれ方がBONGOの本当の個性ではないかと考えています。40万円近いベースなのにバスウッドが使われています。バスウッドは安価な木材のイメージがありましたが、BONGOはアクティブベースなので、パッシブベースのように木材の鳴りが最重要ではなかったのかと想像します。

あえてバスウッドだからこそ木材が個性を出さず、アクティブベースらしくプリアンプの音が出せる。そこに強烈に効く4BAND EQが載ることで無機質なアクティブベースサウンドが生まれる。ギターやベースは木材の鳴りを大切にする楽器ですが、昨今のDjentなどで求められる音色はウォームな木の鳴りよりもパワフルでノイズレス。エフェクトを載せてデジタル処理していく。そういう音色を求めた時に、バスウッドにパワフルなプリアンプが載ったBONGOの個性のない個性が受け入れられたのではないかと感じています。

アーニーボール社はStingrayでアクティブベースのパワフルなサウンドを手に入れたところで、次のモデルを開発するならば「アクティブらしい音色のコントロール性を向上させる」というコンセプトで開発したのかなど妄想が膨らみます。木材的な鳴りの個性の薄いバスウッドは、プリアンプで音作りするアクティブベースに適しており、人間工学をデザインに取り入れる中で軽くて体に優しいところもバスウッドが最適だったのではないかと考察しています。

現在はバンドを組んでいないので専ら自宅で一人で弾いているだけですが、先日PLEKを受けてリフレッシュしたばかり。スラップの時に指の入りが狭くなるピックガードと一緒に、爪が引っかかる一番手前のネジも外しています。必要以上に飛び出たコントロールノブはVolのみ背の低いものに変えました。塗装の問題なのかネック裏のトップコートが剥がれていきますが沢山弾いた証と思い、全部剥がしたり塗り直さず自然に剥がれていくのを眺めてます。

購入した当時はもうカタログ落ちして、消えていくモデルだと思っていました。Stingrayの方が音が良い。あえてBONGOを大金だして選ぶことはない。という声もありましたが、その「個性のない個性」が誕生から10数年経った今、時代がBONGOの目指す音質的開発コンセプトに追いついたのではないでしょうか。





   ◆   ◆   ◆

haruさんの考察、全面的に同意です。御意ってやつです。私もバスウッドという材は大好き。全く色気のないルックスでだいぶ損をしていますよね。杢が出たバスウッドとか見たことないもん。周波数特性上フラットなのかどうかはわかりませんが、私はナチュラルで変なピークを持たない音質と感じます。ギターの場合、少なくとも弾き心地とアンプからのサウンドには、材質の持つ癖がなくとても素直で耳障りもいい。だからこそ美味しい中域のガッツ感を感じさせてくれる…そんな木材がバスウッドですよね。もしかしたら産地や芯材か辺材かで振れ幅はあるのかもしれませんけど。所有しているシャーベルのEVHモデルは当時定価39.8万円もしたけど、ボディはバスウッド、生音もどよよーんとアコギかってくらい鳴ります。バスウッド最高っす。酸っぱい匂いはヤだけど。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
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