【インタビュー】cluppo(小鳩ミク)が伝えたい「“私らしく”でいいよ」
■「so many men,so many minds」という言葉
■世界平和に繋がる言葉としてどうしても入れたい
──EPの2曲目に収録されているのが新曲の「POGO!」です。僕は今回初めて知りました、ホッピングのことをPOGOと言うんだってことを。
cluppo:そうなんですっぽ! 曲としても勢いのある感じで、「PEACE&LOVE」とも全然違ってEDM感がちょっと強めだったりするので、タイトルを考えていた時にそれに見合うような勢いのある言葉がいいなと思って。ただ、「GO」だけだと単純すぎると思ったので、そこに「ぽ」を付けて「POGO!」にしたら可愛いっぽと思って。そこから、pogoという言葉について調べてみたら、ホッピングが出てきたんですっぽ。なので実はあとからその意味があることを知ってびっくりしたんですけど、「だったらもう、これは絶対ホッピングを使うべきだ!」と思って(笑)。
──小鳩さんとは切り離せない「ぽ」が手繰り寄せてくれた言葉だったわけだ。
cluppo:ホントにそうですっぽ(笑)。
──言いたいことは「GO! GO! GO!」だけど、そこに「ぽ」が付いているわけですね。
cluppo:そうですっぽ、そうですっぽ。「行こう、まっすぐに!」というのがいちばん強く言いたいことだったので。だけど「GO!」だけだとありきたりだし、私っぽっくないなと思って。
──そこで一歩間違えれば「GOっぽ」になっていたかもしれない。
cluppo:そうなんですっぽ(笑)。でも、その逆だったからこそホッピングという意味にも繋がったんですっぽ。
──ミュージックビデオにも登場してますもんね。
cluppo:あれは私の希望でどうしても入れて欲しいってお願いしましたっぽ。ホッピングは小学生の時とかにやったことがあったぐらいで……大きくなってからアレをやることってないじゃないですか(笑)。そもそも今、身のまわりにないですし。でも小学生の時は結構得意だったなと思いだして、「行けるっぽ!」と思って。やってみたいという気持ちが大きかったので、監督さんに無理を言ったんですっぽ。最初、「POGOの意味に重なってくるんで、ホッピングを入れたいんですっぽ」って言ったら「えっ?ホッピング?」っていう反応でした。だけど「どうしても入れたいんですっぽ」ってお願いして、シュールな感じで入れていただいたんですっぽ。すごく意味深長なところに入れていただいていて。
──意味があるのかないのか計り知れない、不思議なミステリアスさが出てますよね。
cluppo:自分から申し出て良かったですっぽ。監督さんは「どこに入れようかな?」ってちょっと悩んでましたけど。
──曲自体にホッピングとリンクする部分があるとすれば、この飛び跳ねるような感触ですよね。
cluppo:cluppoはで昔ながらの感じというか、70年代を強く感じさせる「PEACE&LOVE」から始まったじゃないですか。その次の「Flapping wings」がやさしい感じで広がりのある曲。そこで今回「じゃあどれをメインにしようかな?」と思った時に、「POGO!」はまたジャンル感が全然違っていていいね、と思ったんですっぽ。それがまたひとつ、私の幅にも繋がるというか。BAND-MAIDでもちょっとラップ調な感じで歌ったりすることがあるんですけど、こういう感じとはまたちょっと違うので。こういう明るい感じで速い曲というのもBAND-MAIDにはないし、cluppoでやってみたいなって。そもそもこれは打ち込みが基本の曲でもありますし、バンドのほうではできない曲だなと思ったので、今回「これをやりたい!」と選びましたっぽ。
──この曲に限ったことではないんですけど、活舌の良さに感心させられました。
cluppo:ものすごく頑張りましたっぽ。実際、すごく噛んじゃって。録ってる時も「あー、ごめんなさい。噛みましたっぽ!」というのが何回かあって。歌詞を書くことについても「POGO!」がいちばん時間もかかりました。結構、刻む感じのリズムなので、日本語だとなかなかうまくいかないなっていう部分が多かったり、だけどそこで英語にすると口が追いつかなくなったり(笑)。実際に歌いながら、格闘しながら書いていきましたっぽ。
──歌詞の1行目からPEACE&LOVEという言葉が出て来ますし、1曲目から繋がってくる感じがありますけど、この曲の歌詞でいちばん言いたいことが集約されている部分というと?
cluppo:いちばんメッセージ性が強くあるのは「甘く苦く悩む」というところからの箇所ですっぽ。そこに続いていく「無意味でも意味があるの/だからいいの」というところに結構自分の意思が入っているなと思いますっぽ。あとはサビの「so many men,so many minds」という言葉。十人十色という意味なんですけど、それは世界平和に繋がる言葉としてどうしても入れたいというのがありましたっぽ。
──無意味でも意味がある、という言葉は確かに印象に残りました。意味があるかどうか考え込んでしまって何もやらずに終わってしまうケースって結構あるじゃないですか。
cluppo:そうですっぽね、そこで悩んでしまって。それよりもまずはやってみようよ、進んで行ってみようよっていう気持ちを伝えたかったので。なので「GO!」ってすごく繰り返してるんですっぽ。
──迷っている自分を鼓舞している感じでもありますよね。十人十色という言葉は、まさに多様性を象徴するもの。それもまた他の曲の歌詞と重なってくる要素だと感じました。
cluppo:そうですっぽ。それは基本的に全部の曲から感じられるようにしたいとは思ってましたっぽ。
──多様性という言葉は昨今とてもよく使われるようになってきましたよね。
cluppo:ぽ。特に私なんて、まわりに同じような人がいないので(笑)。
──いや、まず鳩と人間のハーフというのが他には存在しませんので(笑)。
cluppo:ですよね(笑)。だからいちばん、それについて言える立場なのかなと思って。「こんな人だっているんだから大丈夫だっぽ!」「人それぞれでいいんだっぽ!」っていう。
──そういった象徴的な言葉がたくさん並んでいる中で、序盤に顔を出す「Fake it till you make it」という言葉が僕には刺さりました。つまり、ちゃんとできないうちは、できるふりでも構わないからやってみよう、ということですよね。
cluppo:そうですっぽ! “ふり”でもしていれば、きっとそのうちホントにそうなっていくよっていう。その1行前の「目開きよく聞け」というところから繋がってくるんですけど、目をつぶってないで、引きこもってないで、まずはやってみようという気持ちを序盤に入れてみました。しかも言葉的には結構強めな感じにしましたね。曲も速いし歌も早口なので、言葉をかなり強くしないとこれは響かないっぽ、と思って。言いたいことが耳に残らないのは嫌だし、言葉をやさしくし過ぎるとこの曲には合わないな、とも思いましたっぽ。
──そうした強さも感じさせるのと同時に、すごく春っぽいですよね。地面の下で眠っているものに対して「出てこい!」と呼び掛けている感じでもあります。
cluppo:そうですっぽね。「目を覚ませ!」と言っている感じにも聴こえるように書いてますっぽ。
──そして3曲目にもうお馴染みの「Flapping wings」が入ってきます。やっぱり改めてこの流れの中で聴いても広がりを感じさせるものになっていますよね。しかもこの曲でも人それぞれに“普通”というものの捉え方が違っていていいはずだということが歌われていて、多様性が一貫したテーマのひとつだということがよくわかります。そして、続く4曲目が「ふわふわ」。
cluppo:これもまたちょっと違う感じにしましたっぽ(笑)。
──スイング感のある曲調で新鮮です。しかも結構意外なくらい歌のキーが高いですよね?
cluppo:最初「えっ?あれっ?ホントに?」と思うぐらい高くて(笑)。これはなかなかの挑戦でしたっぽね。出るかなあ、と思いつつ。ヴォーカルのディレクションはいつもBAND-MAIDでやってくださってる方だったので「ミク、BAND-MAIDではこのキーなかったよね?」「なかったと思いますっぽ。出ますかね?」「うーん、出る出る」みたいなやり取りがあって(笑)。さすがにすんなりとはいかなかったですけどっぽ、またそれをひとつ自分の武器にできるように、先生と練習しましたっぽ。
──こういった曲調というのも、いつか挑んでみたかったもののひとつですか?
cluppo:この曲も実は少し前から、候補曲のひとつとして聴いていて。そう、「Flapping wings」の時にこの曲もどうかな、という話になってたんですっぽ。でもなんか、これはメインではなく、ちょっとふわっとした感じで聴いて欲しかったので、単体で出す感じではないような気がするっていう判断をして、いったん置いておいた曲で。だけど今回、EPの中の1曲としてだったらいいんじゃないかという話が出てきて、「確かに!」と思って取り組みましたっぽ。
──確かにこの1曲でのリリースということになると、イメージが違うという印象が強すぎるかもしれないし、意味を持ちすぎてしまうかもしれませんね。
cluppo:そうですっぽね。味のひとつとしてはすごくいいものを発揮してくれる曲だと思っているので、そういう意味ではEPでやるにはぴったりだなと思いましたっぽ。他ほど強くなくふわーっと優しく歌うっていう感じなので、cluppoとしてやれる曲だなって思いますっぽ、これも。
──そんなふわーっとした感触の曲にそのまま「ふわふわ」というタイトルがついているのも面白いです。
cluppo:もうイメージが完全に「ふわふわ」でしかなかったので(笑)。全体的に、夢の中の曲だと思っていますっぽ。ただ、歌い方的にはそんなに力を抜きすぎず、というのは意識しましたっぽ。力を抜きすぎると、他の曲との差があまりに大きくなってしまうので。曲としては夢の中に導いていくというか、導入剤みたいになればいいなあぐらいの感覚で挑みましたっぽ。ただ、歌自体のキーは高いので、眠れはしないかもしれないですっぽね(笑)。疲れたな、という時に聴いていただけたらいいかなって。お風呂に入ってる時とか。
──これまた春っぽい空気感ですよね。“Balmy day”という言葉通りポカポカした感じ。
cluppo:そうですっぽね、やさしい感じを出したいなあって思いましたっぽ。
──ただ、ふわっとした曲調で優しい言葉で歌っているんだけども、実は「見えない壁を越えていけ」ということを伝える歌になっています。
cluppo:結構チャレンジングな感じで、ふわふわしてるんだけど芯はちゃんとある感じ。それは私らしさでもあるので。芯がないのはcluppoではない思うので、それぞれの曲に違いはあっても、ちゃんと芯のあるもの聴かせたいなって思ってますっぽ。
──睡眠導入剤という形容がありましたど、壁にぶち当たって悩んでいる時でも開き直って眠ってしまえば、翌朝には気分がリセットされていたりすることってあるじゃないですか。だから「大丈夫だよ、寝ちゃえば?」というようなふんわり感でもあるのかな、と。
cluppo:うんうん、そうですっぽね。落ち込んだ時って、結局は寝るのがいちばんの解決策だったりするじゃないですかっぽ。やっぱり睡眠が足りないと、どんどん良くないほうに考えちゃうところがあると思うので。cluppoというか小鳩としても、悩みだすと結構止まらないタイプなので、そこで「大丈夫だよ」って自分にも言い聞かせるつもりで書きましたっぽ(笑)。
──悩みに悩んで、開き直って寝ようとするんだけなかなか寝付かれない、みたいなことってあるものですよね。
cluppo:ありますっぽ、ありますっぽ。でもそういう時、私も結構いろんな曲を聴いたりしますっぽね、普段聴かないような曲だったり、好きなアーティストの曲だったりを聴いて心をリフレッシュさせたりリラックスさせたりというのがあるので、これもそういう曲のひとつになったらいいなって思いますっぽ。だから自分のために作った部分もあるかもしれないですっぽ。
◆インタビュー(3)へ
この記事の関連情報
BAND-MAIDのギタリストKANAMI、日本人初 PRSよりシグネチャーモデル発売
BAND-MAID、ニューアルバム『Epic Narratives』より壮大な展開の新曲「Forbidden tale」MV公開
【インタビュー】BAND-MAID、壮大な物語を描く最新アルバム『Epic Narratives』発売「過去イチを塗り替えている自信がある」
【ライブレポート】BAND-MAID、進化していく“等身大”「今の私たちだからできる」
BAND-MAID、ニューアルバム発売記念タワレコ店頭キャンペーン実施。SAIKIゲストボーカル曲がアニメタイアップ決定
BAND-MAID、札幌・福岡で番外編お給仕開催決定。SAIKI以外のメンバーがプロデュース
BAND-MAID、アルバム『Epic Narratives』アートワーク公開。先行配信曲「SHOW THEM」MV明日公開
BAND-MAID × THE WARNING、コラボ曲「SHOW THEM」全世界配信決定
【ライブレポート】BAND-MAID、ホールツアー開催。築いてきたものを目の当たりに