【俺の楽器・私の愛機】633「母が買ってくれたエレキギター」
【HALLY ST-65BWR】(広島市西区 akiracool 52歳)
49歳までがむしゃらに働き、来年度、執行役員の内定を貰った時のこと、自分が担当した工事で材料の欠陥が見つかり責任を追求された。同時に長男が交通事故を起こし多額の補償を請求された。材料メーカーは非を認めず、私は責任を取り会社を辞めた。息子の事故の補償のため息子のいる四国に再就職した。
何もかも初めての仕事だったがお金の為、休みもなく働いた。久々の休みに市内のリサイクルショップに3,000円のギターが売られていた。16歳の時、初めて母から買ってもらったHALLYのギターだった。ギターは20本近く所有している。価値のあるギターも持っている。しかし36年前の17,900円だったこのギターは何処にも売られていなかった。別に探していた訳ではない。しかし私はそのギターを握りしめ家に持って帰った。ハイエンドギターアンプで鳴らしてみたら、懐かしい細い音が心まで響いた。四国に行くから、定年まで帰らないと母に話したとき、寂しそうな顔で、長生きしないとねと呟いた母のか細い声のような音だった。
裕福な家庭では無かったので、安い通販でしか買えなかった。無名メーカーの安ギターと友達から笑われて3,000円で手放し10,000円の中古フェンダーに買い替えた。思い出のないギターなのに、思い入れのあるギター。あの時の3,000円で買い戻した。大事に持っておこうと思いソフトケースを他のリサイクルショップに買いに行った。そこにも当時付属されていたものと同じソフトケースが1,000円で売られていた。こんなことある?びっくりした。
時間が36年経ったにも関わらず新品同様の思い入れのあるギターとソフトケース。故郷に帰りたい。そう思うようになりました。そんな気持ちを押し殺し、無理に仕事をこなし息子に金を送っていた。
そして今から半年前、初めての取引先の担当者と名刺交換をした。その名刺には亡き父の旧姓と同姓同名だった。見た目も当時の父そっくりだった。
私はその日辞表を上司に出し、ありったけのお金を息子に渡して、母の元に帰った。そして、実家の自分の部屋でホコリを被った小さなギターアンプにHALLYを差し込み、思い出に浸った。HALLY ST-65BWRのストラトキャスター、思い入れのギターが思い出のギターになった。
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お母様のか細い声のような音なんて言われると泣いちゃいそうだよ。ギターは人柄を映し出すし、ギターと人の縁は、お金や時間では買うことはできないもの。積み重なった人生の重みが少しずつ溶けていくように、HALLYの音がakiracoolさんに響くのでしょう。ほんとうにギターは人生の伴侶です。akiracoolさんに、そしてこれを読んでいる皆さんに、そしてHALLYに幸あれ。(JMN統括編集長 烏丸)
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(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
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