【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第11回ゲスト:佐々木亮介 [a flood of circle]
ASH DA HEROをホスト役に、ゲストを迎えて毎回トークセッションを繰り広げる連載が“TALKING BLUES”だ。あるときは同じミュージシャン目線で、またあるときは異ジャンルに斬り込む対談企画にはこれまで、L'Arc-en-CielのHYDEやKenといった大先輩や、同世代の気鋭ギタリストDURANやJUONなどを迎え、会話で深く熱くセッションしてきた。
◆ASH DA HERO × 佐々木亮介 [a flood of circle] 画像
ソロ活動を完結させ、バンドASH DA HEROのボーカルとして贈る初の“TALKING BLUES”には、ASHが「ロックバンドの理想形」と形容するa flood of circleより佐々木亮介を迎えた。両者の対談は初めて。これまで対バンもない。しかし、ASH DA HEROのバンド始動にはa flood of circleという存在自体が大きな影響を及ぼしたという。
なお、ASH DA HEROは自身主催マンスリーツーマン公演<GACHINKO>を2月より渋谷Spotify O-EASTにて3ヵ月連続開催する。その第一弾となる2月24日のflood of circleとのガチンコは、バンドASH DA HEROの対バン初陣となるものだ。対談はその前哨戦として、それぞれのルーツやスタイル、そしてバンド論について語ってもらった。
◆ ◆ ◆
■a flood of circleのイベントを観て
■バンドやるべきだよなって背中を押された
──ASH DA HEROが2月からマンスリーツーマン<ASH DA HERO presents「GACHINKO」>を開催します。その第一弾の対バン相手として、“とにかく一緒にやってみたかった”と名前を挙げたのがa flood of circleだったんですよね?
ASH:そう。まず<GACHINKO>というイベントをやろうと思ったきっかけは、コロナ禍になってライブやイベントが軒並み延期や中止になり、我々ミュージシャンは思うような活動ができなくなった。その状況が続く中、指くわえて何もしないのは全然ロックじゃないなと思って。で、俺の勝手なイメージだけど、昨今の対バンイベントは少しぬるいなと。
佐々木:おっと(笑)。
ASH:いや、仲がいいのは悪いことじゃないし、ピースフルなのは超いいことで。でも自分がバンドを始めたときや、初めてライブハウスに行ったとき、いい意味でのヒリヒリ感があってそこに憧れた。それが今は欠如してきているような気がしていたから。それにソロのときはバンドシーンになかなか入り込めなかったというのが、実はあって。だから今回バンドになって、対バンで、ガチンコでやりたかった。
──フェスとか特にバンド中心だったりしますからね。ASHもバンドメンバーを従えてはいたものの、厳密に言えば“ソロシンガー=ASH DA HERO”だったから。本人以上にオーディエンス側が、ちょっとした壁を作っちゃう感じもあったかもしれない。
ASH:たぶんミュージシャン同士ではそういう壁はないんですよ。ただ、バンドシーンというところに、ソロでは入り込みづらいところはあった。でもASH DA HEROはバンドになったからね。自分の思い描いている対バンを実現させたかった。もちろんすごく仲良くしたいけど、ステージ上のヒリヒリした感じを失わせるようなことはない。
佐々木:ヒリヒリというかね。一緒に対バンするのは初めてだから、予測が立たないところが面白そうだよね。
ASH:ただ、俺個人に関して言えば、もともとa flood of circleの曲が好きでよく聴いてたし、DURAN (元a flood of circle)と仲良くて。
佐々木:そうなんだ!?
ASH:DURANが別のバンドをやっていた頃に初めて対バンして、交流も始まって。その後、DURANがa flood of circleに入ったばかりの頃に「今度、a flood of circleと対バンしよう」と言われたり。
佐々木:でもタイミングが合わなかったんだよね。
ASH:そうですね。ずっと一緒に対バンしたかったし、何度かラブコールを送ってたくらい永遠に片思いしてた(笑)。俺、a flood of circleはバンドをやってるヤツらが、一番憧れる理想の形のロックバンドだと思ってるんですよ。
佐々木:そうなのかな(笑)?
ASH:うん。ロックバンドのロマンが詰まってる。うちのギターのNarukazeともさっき話したんだけど。
──Naruくんはa flood of circleが好きすぎて、今日、この対談を観に来たぐらいですからね。
ASH:そうなんですよ(笑)。この前もa flood of circleのライブを観て思ったんだけど、ロックバンドの音の塊をぶつけて、ぶつけられたオーディエンスが勝手に熱狂し始めてウワーッと熱くなっていく。ロックバンドのカッコよさがものすごく詰まっている。でも俺はライブではけっこう荒業を使っちゃったり。
佐々木:荒業…?
ASH:分かりやすく言うと、お客さんを盛り上げるために「もっと来い!」とか煽りまくる。でも佐々木くんはそういうタイプではないですよね。a flood of circleはバンドとして憧れるスタイルなんだけど、ある種、自分とは対極にあるかなって印象もあって。<GACHINKO>で闘う相手としては、やっぱり一番最初はa flood of circleだよなって。さっきも言ったようにNaruくんはa flood of circleのことが大好きだし、他のメンバーもカッコいいよねって言ってるんですよ。だったら、過去に何回かフラレたけど、もう1回ラブコールを送ってみようって。5年越しのラブレターがようやく届いた感じです(笑)。
──熱い文面のラブレターが。
ASH:そう! 俺、ソロ時代にNaruくんとa flood of circleのイベントを観に行ったんですよ(<A FLOOD OF CIRCUS 2020-2021>2021.6.27@渋谷Spotify O-EAST)。その帰り道の駅のホームで「やっぱバンドっていいよね…」って話をして。Naruくんも「俺も楽曲提供とかサポートとかいろいろな仕事やってるんだけど…」みたいな深い話が始まるかなってときに電車が到着して(笑)。互いに別方向だったんで、そのときは「…じゃあ、また」って感じで別れたんです。
佐々木:なんかエモっ!
ASH:俺はそのとき、ASH DA HEROをバンドにしたいと思いながらも悶々としたものを抱えていて。というのも、バンドにするとしてもまずは外堀が必要じゃないですか。スタッフ含めて協力者や賛同者がいるのかとか、どんなタイミングで移行するのがベストなのかとか。そこが見えてないまま無責任に「バンドやろうぜ」ってNaruくんとかメンバーに声を掛けるわけにはいかないから。
佐々木:ってことは、その時点でバンドにするっていう気持ちはあったんですね?
ASH:そう、それまでもコツコツと道を作っていたので。
佐々木:それは、当時サポートだったメンバーも感じてたんですか?
ASH:いや、“もしかしてASH、音楽をやめるのかな”っていうふうに受け取られてたんじゃないかなと思います。俺自身、考え込んでいる雰囲気があったと思うので。特にソロからバンドへの切り替え時期について考えていたんですけど、ソロとしてのひとつの目標だったZepp Tokyo単独公演(<ASH DA HERO LIVE 2021“THE SHOW MUST GO ON”>2021.9.4)の実現が見えてきたときでもあって。
佐々木:メンバーにしてみれば大逆転ですよね。音楽やめるのかな?と思ってたら、一緒にバンドやろうって言われたわけですし。
ASH:まず、あの夜にa flood of circleのイベントを観て、“やぱりバンド、やるべきだよな”って思ったのが大きいですね。イベントに背中を押された。その約1ヵ月後、外堀固め初めてからNaruくんに「この間のa flood of circleのイベント、よかったよね。あのとき、電車が来ちゃって話せなかったんだけど」ってバンドメンバーとして誘ったんです。「a flood of circleのイベントに行こうよ」ってNaruくんに誘われるまでは、まだ考えていたし、楽曲制作もしなければいけなかったし、気持ちが落ち着かなかったんですけど、その過渡期をスコーンと吹き飛ばしてくれたのが、a flood of circleというバンドだったんです。
──その話の詳細は2月24日のSpotify O-EAST公演<「GACHINKO」ASH DA HERO vs a flood of circle>のMCでもぜひ。っていうか、運命のバンドと、運命の渋谷O-EASTで対バンするわけですね。
ASH:そうだね。熱いでしょ。
佐々木:本当にエモい話です。
ASH:まだ、話したいことはいっぱいあるんで、続きは当日のMCで(笑)。
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