【俺の楽器・私の愛機】543「200年後のエレキベースの姿」
【KIO Extraordinary String Instruments Design・Uru】(東京都 きーおす 27歳)
「11弦ベース」と聞くと浮世離れ感が否めないですが、アメリカの11弦ベーシストJean Baudinに衝撃を受けてから、そんな浮世離れした楽器をどうにかして手に入れたいと考えるようになりました。ただ、なかなか店頭で見かけることがないので、思い切って自分でデザインし、海外の職人に製作を依頼することにしました。
やり取りを重ねてなんとか具現化していきましたが、はじめましての時は「冗談だよね?!」といった反応で、「侍に二言はない」と伝えると本気で取り合ってくれるようになりました。お互いにあーだこーだ意見を出し合い、いくつもの壁を乗り越えていった当時の苦労は鮮明に覚えており、今となっては良い思い出です。これをキッカケに弦楽器デザインを通して国内外の友人の輪が広がったようにも思います。
さて、この青色の11弦ベースは私の愛機の中でも特に情報過多な楽器なので、今回はお気に入りポイントを3点ピックアップして紹介させていただきます。
まず1つ目がアバロン貝の指板インレイです。多弦ベースは当たり前ですが指板が広いことが大きな特徴で、これを最大限活かしたいと考えていました。指板を大きなキャンパスに見立てて、12フレット付近には大きめのアバロン貝の装飾を施しています。この巨大指板インレイは、螺鈿(らでん)工芸が有名な韓国の老舗家具屋に依頼しました。自然光を受けて幻想的に輝く指板インレイは眺めているだけで癒されます。
2つ目がノブやスイッチ、ピックアップの数が異次元なところです。ほとんどの初見さんに一番最初に突っ込まれますが、すべて飾りではなく機能を持たせています。ピックアップは弦ごとに対応しており、フロント・リア・ブリッジピエゾを合わせると計33個搭載されています。多弦になればなるほど、高音弦・低音弦のゲージに大きな差が出ることで、音量のばらつきも顕著になります。そこで弦ごとに音量調整したいと考え、気づいた頃にはノブやスイッチが増えてしまっていた訳です。他にもイコライザーやブースターなどいろいろ機能を搭載していますが、正直どれがどれなのか忘れる時もあるので、いつもケースには"あんちょこ"が入っています(笑)
3つ目が約14kgの超ド級な楽器である点です。最初のほうは持ち運びに苦労していましたが、慣れって怖いもので今では巨大な肩掛けトートバッグのようなケースで持ち運ぶのが日課になっています。一日歩くと肩へのダメージは深刻でよく肩の一部が陥没していますが、機動力は増すのでかなりラクです。(もはやこの重さが可愛い!)
少々奇抜なデザインのベースですが、200年後くらいには文明の高度化に伴い、いつしかベースはギターの弦数を超え、22コントロール、33ピックアップのエレキベースが台頭していてもおかしくないと想像します。その頃には私はきっと生きていませんが、選択肢の一つとして後世にこのジャンルを残していきたいと思っています。
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やべーの来た。これは楽器のふりをした武器なのか?家具なのか?アートなのか?凡人の私にはアバロン貝のインレイが綺麗ということしかわからない。「22コントロール、33ピックアップのエレキベースが台頭していてもおかしくない」と妄想している時点で、重篤な楽器疾病患者さんであることは間違いない。日本にもこんな突き抜けた変態がいたことに、全員背を正して敬礼だ。(JMN統括編集長 烏丸)
★皆さんの楽器を紹介させてください
(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
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