【インタビュー】TETSUYA (L'Arc-en-Ciel)、ソロ20周年と『STEALTH』を語る「途中で諦めていたら、このアルバムはなかった」

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■占いによると僕の前世は
■バッハだったらしいんですよ(笑)

──もうひとつお訊きしたいのは、ソロでライヴを行うときに、ベースを持たずにマイクスタンドの前に立たれるわけで。それまで楽器を持っていたご自身とはステージングとか見せ方が変わったと思うんです。

TETSUYA:最初はやりにくかったと思いますよ、楽器をなにも持たずにセンターに立って歌うというのは。僕は鏡の前で動きとかを練習するタイプではないので(笑)。

──楽器を持たないでステージに立つのは手持ち無沙汰だから、弾かないけどギターは持つっていうソロの方も多いと思うんです。でも、TETSUYAさんは最初からそうではなかったところもすごいです。

TETSUYA:初めて今のバンドメンバーでライヴをやったときに、1曲だけギターを弾きながら歌ったんです。やっぱりギターを弾きながら歌うと、どっちつかずになるので(笑)。歌だけに専念しようと思いましたね。あと、動きたいというのもありましたし。

──パフォーマンスはライヴを重ねていく中で自然に身についていったんでしょうか?

TETSUYA:そうですね、自然にですね。



──そこが魅力的だと思うんです。ナチュラルに立って、歌の感情の起伏に沿ってパフォーマンスされているように感じるんです。

TETSUYA:もっともっと音楽に入り込んでいきたいと思っていますね、今は。

──こういうポーズをキメます、みたいなところがないというか。オーバーアクションをキメ込む方々もいらっしゃるじゃないですか(笑)。

TETSUYA:僕はそういう世代では無いですね(笑)。

──そうですよね。でも、シンガーとしてもライヴアクターとしても、ご自身のスタイルを確立された20年という印象を受けています。たとえば、好きなヴォーカリストがいて、その人の影響があるんだろうな、というふうには見えないですから。

TETSUYA:あぁ、なるほど(笑)。たしかに、いないですね、そういう人は。

──今回のアルバム収録曲も、歌に関して言えば、さらに説得力を増していると感じました。それはやはり20年間、ご自身の歌と向き合ってきた結果と言えるのではないでしょうか。

TETSUYA:アルバムとしては10年ぶりですけど、シングルだったりEPだったりをリリースして。ライヴも1年に一回くらいはやってきたので、そういう積み重ねで自然に身に付いてきたと思うんです。


──少し話が逸れますが、TETSUYAさんは普段、音楽を聴かない生活を送っていると以前のインタビューでお聞きしました。となると、歌の練習するために何時間も個人練習に入るとかはしないわけですよね。

TETSUYA:レコーディングとライヴの前しかしません。ベースの練習もそうです(笑)。

──このコロナ禍で、音楽を聴き直そうとか、歌を見つめ直そうとかっていうこともありませんでしたか?

TETSUYA:うーん、特に変わったことはないですね。

──そこがすごいんですよね。要するに曲作りにしても、歌にしても、ベースにしても、そのために音楽漬けになって練習しましたという感じがないにも関わらず、年を追うごとに磨きがかかっているところが、不思議なんですよね。

TETSUYA:ずっと続けていれば、もっと歌もベースも上手いんだろうなと思いますけど。

──だからと言って、継続して練習しようという気にはならないんですよね?

TETSUYA:ライヴが終わっちゃった、ツアーが終わっちゃったとなると、そこでやらなくなっちゃうんですよね。次のなにかが決まって、また練習し出すんです。

──そうだとしても、次の作品のクオリティが上がり続けているという事実があるんですよ。

TETSUYA:やっぱり、いいものを作りたいっていう思い……物作りしている人は、みんなそういう思いを持ってると思うんですけど。

──そうなんですよね。独りよがりで楽曲制作をして、“誰がなんと言おうが、俺がいいと思ってるんだから、これでいいんだよ”っていうタイプでもないじゃないですか。

TETSUYA:まったくそういうタイプではないです。

──ご自身の作品に対する客観性をしっかり持ってらっしゃると思うんです。だから、この言葉で済ませるのはどうかと思いますが、やはり音楽の才能に恵まれているんだと思います。

TETSUYA:前世占いによると、僕の前世はバッハだったらしいんですよ(笑)。


▲アルバム『STEALTH』初回限定盤 ジャケット

──優れた音楽家であると同時に、作る音楽はポピュラリティーに溢れているというところはバッハと共通しているかもしれません。才能とか天才の言葉で形容しちゃうと、努力をしていないみたいで嫌がる人もいるかもしれませんが、TETSUYAさんの場合は持って生まれたものが大きいんじゃないかなと思います。では続いて、アルバム『STEALTH』に収録されている新曲や初音源化された楽曲についてうかがいます。まずはオープニングを飾る「REGRET」から。メロディアスであり、少し翳りのあるエモい曲だと思うんですが、いつ頃書かれた曲ですか?

TETSUYA:記憶が曖昧なので定かではないんですけど、3~4年前に書いた曲だと思います。

──それは何かリリース予定があって、それに向けて書いた曲でしょうか。それとも日常的に書いている曲のひとつでしょうか?

TETSUYA:日常的には書かないんですよ。僕はスケジュールとして、作曲期間というものを設けてもらわないと、曲はあまり書かないというか。

──その代わり、作曲期間中にたくさんの曲を書いていらっしゃるということですよね。

TETSUYA:はい。だから、「いついつまでに曲を書いてください」っていう話があって、スケジュールとして作曲期間を設けてもらったら、その期間中にできるだけ多く…必要以上に多く書くので(笑)。そうなると、その時に採用されなかった曲が、ストック曲としてどんどん残っていくんですね。だから、実はもう1枚アルバムを作れるくらいのストック曲が、今あるんですよ。

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