【インタビュー】ASKA「あのときの「PRIDE」と63歳の「PRIDE」は違うんだよ」

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▲「PRIDE」

■アマリリスの花言葉は「誇り(PRIDE)」。
■で、この花はいつの誕生花なのかなと調べたら…


ASKA:あのときの「PRIDE」は、出来上がったばかりの楽曲をスタジオに入って歌って。

──時間がなくて、ツアーの合間に東京に戻ってくるという慌ただしい感じでこの曲の歌入れをしたんですよね?

ASKA:そう。できたばかりだから歌の抑揚のつけかたも分からず、ただの新曲として歌ってる。その新鮮味だけなんですよ。そこからステージで歌ってくうちに楽曲のどこに思いを込めてとか、どういう歌い方をしてっていうのがどんどん分かってくるわけでしょ? それを32年ぶり、63歳にして記録できたのは素敵なことです。興毅が会長になってなかったら、その後興毅の番組が生まれなかったらこれは記録できてないんだから。感謝ですよ。

──「PRIDE」への思いも作った当初から変化して、いまではASKAさんのなかでも大切な曲と。

ASKA:そうだね。あと「BIG TREE」も大きい。「SAY YES」はそこからは外れちゃうんだよね。シングルとしてあまりにも認知されたから。「SAY YES」、「YAH YAH YAH」は放っておいても世の中のものなんだけど、「BIG TREE」とか「PRIDE」とか「太陽と埃の中で」とか「On Your Mark」はちょっと立ち位置が違う。自分のなかでは。「PRIDE」はソロでも歌ってきたし、「BIG TREE」はストリングス+バンド編成で歌ってみたいというのがあったから歌ったんだけど。カバーであっても「太陽と埃の中で」と「On Your Mark」は歌っちゃいけないという流儀がある。いまのところ。いまはまだ自分一人じゃ歌っちゃいけない。だから、この先もそうだったらずっと歌わないよね。ソロでCHAGE and ASKAの曲を歌い出したのは2007年からなんだけど。あのとき僕は“もうこれは近いうちに解散するだろうな”と思ってたから。解散しちゃったらいつ歌っていいのかが分からなくなっちゃうから、いまのうちからCHAGE and ASKAは歌っておくべきだと思ってソロのライブに入れていった。そうやって前例を作っておけば解散後も歌えるでしょ? すべてのことには理由があるんです。

──なるほど。そうして、最終的には1本の糸でつながっていく。「PRIDE」歌詞でもそんなミラクルが起きていて。歌詞の冒頭に出てくる“階段”。これは当時ASKAさんが住んでいたマンションのことなんですよね。

ASKA:ここの2階に住んでて。そこに俺は当時、日本のアーティストのなかで初めて本格的な防音室を作ったんだよね。

──ミュージシャンが部屋に防音室を作るようになったパイオニアでもある、と。

ASKA:うん。で、まだあのマンションはあるのかなって思ってたのよ。そうしたら、そこに祥太(※アレンジャーの藤山祥太)が住もうとしててびっくりしたんだよ。前に東京に来たときはうちの1人しかない経理と同じマンションに住んでて。偶然。「こんなことあるか」っていってたら、2回目に東京に出てきたら、今度は俺が住んでたところに住もうとしてて。東京だよ? この人口だよ? マンションだらけだよ? これが縁なんですよ。

──それに「PRIDE」のMVでは、アマリリスがすべてをつないでいくというミラクルを引き起こしてますね。

ASKA:本当にびっくりだね。監督は凛とした花が欲しかったみたいで。アマリリスって茎は木みたいに強いのね。それで、監督がこの花を選んだんだけど。そうしたら、その花言葉が「誇り(PRIDE)」だったわけ。で、この花はいつの誕生花なのかなと調べたら2月24日。俺だって。こんな偶然ありえないでしょ? 東京中にどれだけマンションがあるのかというのと(笑)、世の中にどれだけ花の種類があるのかっていうなかで、こんな偶然が起こるんだからね。


──MVの仕上がりについてはどう感じてらっしゃいますか?

ASKA:よくできたなと思ってます。見せすぎてはいけないと思ってたから。この曲のMVは。見せすぎてしまうとその人の曲のイメージが壊れてしまうこともあるでしょ? だから、歌の根幹にあるものを軸にして映像にしていって、余分なものは入れちゃいけないと。そんな話を監督にはしました。

──ああ。そこに意味を持たせるものを入れないために、ASKAさんが一人ぼっちでバックステージにいたり、お客さんのいないステージにいたりという映像になっていたわけですね。

ASKA:そう。それで最後のところだけ自分のPRIDEでありみんなが持つPRIDEを表現していて。アマリリスも最初は踏まれるんだけど、最後は凛として咲いてるんですよ。

──壮大なものを作りたくなるのに、「PRIDE」をよくここまで削ぎ落とした形で表現したなと思いました。

ASKA:難しかったと思うよ。

──C/Wには新曲「I feel so good」も収録されていて。こちらはラブソングでしたね。

ASKA:前にもいったけど、ラブソングは10〜20代はなに歌っても綺麗なの。30代の半ばになってくるとちょっとそれが意味ありげになってくる。40代になると、完全に意味があるだろうその恋愛はってなってくる。50代になると、それをしゃあしゃあと歌ってたらキモい。だけど、60代になるとどこかまた純粋な感じでラブソングが歌えるようになるという不思議な循環があって。だから還暦というんだろうけどね。この曲も言葉は苦労しなかったね。一番苦労したのはラブソングの行じゃないところ。

──どこですか?

ASKA:最後まで迷ったのはBメロの“知らず知らずにここにいたとか”ってところ。“気づいたらただここにいたんです”とか、成功した人がよくいうけど、それかっこよすぎじゃない? って思うから俺は使わなかったの。俺はちゃんと目的をもって、3年後までスケジュールを組んでいまここにたどり着いてるから“気づいたらとか、絶対にそんなことないだろう”って思ったりしてたわけ。でも、人っていろんな状況のなかで、たしかにそういう人もいるだろうなって。でも、そういう事が言えるのは限られた場面の限られた人の言葉なんだよねって。僕はこれまで畳んでしまってきたけど、いま君が隣にいるってことはそういうことなのかもしれないねっていう歌詞なんだよね。ここは。

──この曲は冒頭からずっと主メロを歌ってたASKAさんが、最後の最後に“ずっとずっと君の傍で”とリフレインするところだけ主メロとのハモりを入れてくる。その甘い仕掛けに歌詞も相まってキュンキュンしました。だから、聴くときはあそこのパートが。

ASKA:待ち遠しいでしょ? 思うツボ(微笑)。楽曲にはそういう仕掛けは作りたいよね。

──さてASKAさん。今後、ツアー開幕まで時間がありますが、なにかやる予定は?

ASKA:アルバムを作る。11月の頭ぐらいまでには歌詞を全部書いて。そうして歌入れをして。アルバムもね、出すのが遅れてしまってるけど、これも「やっぱり出すのはここでよかったんだね」ということが起こるんじゃないかなと思うよ。そのうち。

取材・文◎東條祥恵

New Single「PRIDE」

2021年10月15日(金)発売
品番:DDLB-0019
価格:¥1,430(税込)
レーベル:DADA label
[収録曲]
PRIDE
I feel so good

[配信リンク]
■ハイレゾ音源&通常音源配信サイト
e-onkyo「Weare」
https://www.e-onkyo.com/music/album/ddlb0019/
■通常音源配信サイト
iTunes Store
https://music.apple.com/jp/album/1587647741?app=itunes
amazon music
https://www.amazon.co.jp/dp/B09H49399W
mora
http://mora.jp/package/43000033/PA00091383-0-1/
レコチョク
https://recochoku.jp/album/A1018860697



<ASKA premium concert tour -higher ground- アンコール公演>

出演:ASKA
ASKA BAND:澤近泰輔(Pf、編曲)、SATOKO (Dr)、是永功一(Gt)、鈴川真樹(Gt)、荻原基文(Bs)、SHUUBI(Cho)、一木弘行(Cho)
弦楽アンサンブル:Get The Classics Strings

■日程
2022年
1月7日 (金)開演18:30(開場17:45)府中の森芸術劇場 (2021 10/9(土) 延期公演)
1月10日(祝・月)開演18:30(開場17:45)仙台サンプラザホール (2021 12/17(金) 延期公演)
1月30日(日)開演17:30(開場16:45)神奈川県民ホール大ホール (新規公演)
2月5日 (土)開演18:30(開場17:30)フェスティバルホール (2021 11/30(火) 延期公演)
2月11日(祝・金)開演17:30(開場16:45)名古屋国際会議場センチュリー (2021 12/22(水) 延期公演)
2月14日(月)開演18:30(開場17:45)福岡サンパレスホテル&ホール (2021 12/28(火) 延期公演)
2月16日(水)開演18:30(開場17:45)熊本城ホールメインホール (2021 10/16(土) 延期公演)
2月18日(金)開演18:30(開場17:45)広島文化学園HBGホール(2021年11/6(土)延期公演)
2月23日(祝・水)開演16:00(開場15:15)兵庫県立芸術文化センター大ホール (新規公演)
2月24日(木)開演18:30(開場17:30)東京ガーデンシアター(新規公演)
3月24日(木)開演18:30(開場17:30)ロームシアター京都 (2021 12/9(木) 延期公演)
3月27日(日)開演17:30(開場16:45)いわき芸術文化交流館アリオス・大ホール (新規公演)
4月13日(水)開演18:30(開場17:30)東京国際フォーラムホールA (2021 11/26(金) 延期公演)

公演公式HP:
https://www.classics-festival.com/rc/aska-premium-concert-tour-higher-ground-2021/

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