【俺の楽器・私の愛機】477「ゴミ捨て場で」
【moris】(愛知県 失業給付マン 高校生の頃はおじさんだと思ってた年齢)
私がゴミ収集車に乗っていたかれこれ6年ほど前のことです。
20代半ばというドロップアウトするにはやや手遅れなタイミングで学校をドロップアウトした私は手っ取り早く生活費を稼ぐためにゴミ収集のバイトを始めました。精神的にも肉体的にもきついことはありましたが、時間だけはのんびりと過ごせました。朝から昼飯まで働いて、昼飯食ったら3時過ぎまで。
あとは定時まで洗濯をしたり風呂に入ったり洗濯をしたら思い思いに過ごします。時間はありますので同僚はそれぞれ筋トレや読書に励んだり、中にはゴミで出てたものを集めてきてちょっとした家電製品なら修理できるようになったジャンク屋みたいな人もいたり。
そんな環境だから私がアパートのゴミ捨て場から彼女を持って帰ってきても面白がりはしても変な顔をする人はいませんでした。大体のパーツは不足していてボディも汚れだらけ。まさにゴミ捨て場に相応しい状態でした。しかしボディやネック、ヘッドは無事で楽器として死んではいなかったのです。修理を始めました。
パーツを集めるため同僚にギターが出ていたら持ってきてくれるよう声をかけ、工具類はジャンク屋に借りてゆっくりと彼女を修理しました。今思えば彼女に学問をドロップアウトした挫折感や仕事がなかなか決まらない不安感を慰めてもらったような気がします。
なんとか仕事もみつかり最終出勤日のことです。自転車で通勤していたのでどうやって彼女を連れて帰ろうかと考えていたら運転手のおばちゃんが家まで送ってくれることになりました。自宅前でゴミ収集車の後ろから自転車と彼女をおもむろに取り出した時の通行人の顔は忘れられません。
おばちゃんは餞別だと袋一杯のお菓子とビールを持たせてくれました。それから転職や失業や結婚や引越しなどありましたが、彼女はまだ私の部屋にいます。
ところで私が好きなRHYMESTERにこんなフレーズがあります。「一山いくらの企画女優だろうがstill my love for you」
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また、ちょっとした感動小説のようなエピソードがきた。人生色々ですが、そこに音楽や楽器が介在することで、人生にパッと明るい彩りが加わりますよね。大事なのは、やっぱり出会い。でもその出会いを活かせるかどうかはその人の感受性と健やかな思い次第。人生の宝というのはその人にしかわからないものです。(JMN統括編集長 烏丸)
★皆さんの楽器を紹介させてください
(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
※最大5枚まで
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