【インタビュー】佐藤タイジ、開催目前の<THE SOLAR BUDOKAN>を語る「フェスという文化を守りたい。開拓者でありたい」
■傍観者でいたくないんです
■私たちはベストを尽くして開催します
──まさにこのインタビュー中にタイムテーブルが完成しましたので、今年の見どころについてうかがいたいと思います。まず、ライブの間にトークコーナーが盛り込まれていますが、昨年よりもその回数が増えましたね。
佐藤:僕がよく言うのは、「ステージが終わって楽器を片付ける時に音楽がないのってすごくさみしい」ってことなんですよ。先日、<TOKYO DANCE MUSIC WEEK 2021>という配信イベントに参加したんですけど、ステージ直後にカンファレンスがあって。汗を拭きながら、ライブの感想やいろんなテーマを喋ったというのがよかったんですね。今は打ち上げも出来ないから、出演ミュージシャン同士が演奏終了後にトークするという機会すらないんですよ。もちろん仕方ないことだし、打ち上げとも違うんだけど、そのカンファレンスが有意義だった。観ている人も楽しいですよね。
──では、ステージ直後のアーティストの生声が聞けるようなコーナーでしょうか?
佐藤:今のところその予定です。あと、ライブとライブの幕間に気候変動問題のことがわかるような映像を入れ込みたいなと。例えば、今、欧州車はガソリンをやめて電気へ移行してるじゃないですか。先に日本がハイブリッドへ取り掛かったんだけど、追い越されている。それってなんなのかと言ったら、気候変動に対する切迫感の違いですよね。このままだったら絶対やばいっていう感覚が、日本は少し弱い。しかも、次期首相候補は、CO2を減らすために安全確保された原発から動かそうみたいなことを言ってる。恐ろしいことですよ。CO2を出さない、気候変動から地球を守る、そのために放射性物質放出の危険を犯すって…何をやろうとしてるのか全くわからん。それに対しては全力で、間違ってると言わなあかんと心から信じてますし、これは続けていこうと思ってます。
▲佐藤タイジ(シアターブルック) in <THE SOLAR BUDOKAN 2020>9.26@中津川公園
──トークコーナーでのテーマのひとつにもなりそうですね。
佐藤:そう。だから今年、声にしようとしているのは投票の重要性なんです。映画『アメリカン・ユートピア』って観たことあります? その中でデイヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)が「私は次の選挙のために“投票しますキャンペーンをやっている”」ってMCで発言するんですよ。“私は次の選挙で投票します”っていう約束をネット上に掲げて、“投票するという行為”を心理的に働きかけるような方法なんですね。もちろん法的な拘束力なんてないんやけど、約束をした人は必ず守る。僕は、そのやり方が大好きやし、デイヴィッド・バーンも大好き。選挙制度が違うからアメリカでのキャンペーンをそのままコピーするわけではないんだけど、CO2を減らすために原発を動かすのは違うってことを言葉にして、「私は次の選挙に行きます」と言おうと思っています。
──まずは声を上げることが重要だと。
佐藤:賛同してくれるミュージシャンの方々や協賛企業のコミュニティでも広げもらうことができたらいいですね。ちなみに、先日の都議選の投票率は50%を切っているんですよ。そんな状況で、国の大事なことが決められている。俺らは寄ってたかって束になって「それではあかんやん」って言ったろうと。今、言わないとダメやと思うんです。
──ミュージシャンが政治的発言をすることに対しては意見が分かれるところですが、そうやって社会を動かしていくことができると。
佐藤:我々が国を動かしているんだという意識を持つことですよね。市民が必ず動かせることは歴史が証明してるから。今もっとも、日本人は政治に対する不信感を持っている。それは3.11があって、コロナがあって、オリンピックがあっての不信感なんだと思う。だけど、僕はそれを不信感へ持っていくのではなく、ポジティヴな方向へ切り替えないといけないと思ってるんです。
──<THE SOLAR BUDOKAN>が原発反対をスローガンに掲げるのではなく、自然エネルギーを有効活用しようというポジティヴなメッセージと提案を実現しているように。
佐藤:そうなんです。特に若い子たちへ、投票に行かないことが自分たちの将来にどんな悪影響を及ぼすかを伝えたいんですよ。それって誰も教えてくれないことで、学校の先生も絶対、選挙に行きなさいとは言わないから。でも俺ら音楽家は自由だから言うんです。「あなたの好きにしなさい、俺は行くから」と。ミュージシャンはカッコいいんですよ。俺が政治家にならないのは、ミュージシャンのほうが断然カッコいいからで。
──なるほど。先ほど、TOSHI-LOWさんの提案を実践されたというお話がありましたが、昨年はタイジさんがいろんなバンドに飛び込んでセッションしました。今年もそういうセッションが観られそうでしょうか? 昨年の奥田民生さんやOAU、Charさんなどとのセッションは最高でしたから、これぞ<THE SOLAR BUDOKAN>というセッションを観たいというファンが大勢いると思います。タイムテーブルを見る限りでは、いろいろなセッションも予想できますし。
佐藤:楽しかったですよね、去年も。ああいうのをいっぱいやりたいんですよ。もちろんステージ上が密にならないようにというが大前提ですし、できるところではセッションしたいなと思ってるんですけど、それを先方バンドが許してくれるかどうかですね(笑)。どんな感じで絡めるかというのは、事前にどれだけ仕込めるかということでもあるので、時間的にだいぶ限界があるから。ただ、今年の<THE SOLAR BUDOKAN 2021 ONLINE>も事前収録や生配信があるので、いろんな人とセッションできそうです。やっぱり、いつもやらへんミュージシャンとセッションするのって緊張感もあって、楽しいんですよ。
──なので、あまりない組み合わせとか意外性のあるセッションも観たいです。
佐藤:でしょ(笑)? 俺もそういうのがいい。若手先輩問わず、音楽で会話したいですね。
──では、目前に迫った<THE SOLAR BUDOKAN 2021 ONLINE>に向けて、楽しみにしている人や配信で観てみたいと思っている人へメッセージをお願いします。
佐藤:今、いろいろ言われてしまっているフェスや音楽業界が、元どおりになるとは全然思ってないんです。だけど、1日でも早く健康的な状況になれるように。状況は変わっていくと思います。俺は、どっちに向かっていくかを傍観していたくはないんです。開拓者でありたいんです。
──この<THE SOLAR BUDOKAN>の立ち上げも、傍観者でいたくないという思いからでした。
佐藤:そう。フェスをただの悪者みたいに言ってる人は、どれだけフェスが現実社会に良い影響を及ぼしているのか、知らないだけなんですよ。<FUJI ROCK FESTIVAL>では90年代から、ゴミの分別とリサイクルを実験したやないですか。分別ゴミって、区役所とかがやり出したんじゃないんですよ。<FUJI ROCK FESTIVAL>が最初で、どこまでゴミをリサイクルできるかという社会実験として、NGO団体の“A SEED JAPAN”とともに取り組んだんです。それが今、社会に還元されている。<THE SOLAR BUDOKAN>の再生エネルギーもそう。だから、フェスという文化をなめんなよって思っているし、フェスという文化を守りたい。改めて言いますが、私たちはオーディエンスひっくるめて今、開拓者なんです。私たちはベストを尽くして開催します。
取材・文◎吉羽さおり
編集◎梶原靖夫 (BARKS編集長)
■<THE SOLAR BUDOKAN 2021 ONLINE supported by BlendVision >
・オフィシャルサイト:http://solarbudokan.com
・クラウドファンディング:https://wefan.jp/crowdfunding/projects/tsb2021
▼Day1
9月25日(土) open12:30 / start13:00 (予定)
・配信のみ:シアターブルック / The BONEZ / Nothing’s Carved In Stone / a flood of circle / GLIM SPANKY / OAU / サンボマスター(※2019年<中津川ソーラー>映像) / 一青窈 / 光風&カラムシ / 武藤昭平 with ウエノコウジ / Omoinotake / PUSHIM / the band apart (THE SOLAR BUDOKAN 2020映像)
▼Day2
9月26日(日) open12:30 / start13:00 (予定)
・有観客&配信:RED ORCA / ComplianS (佐藤タイジ&KenKen) / Creepy Nuts / Nulbarich / ACIDMAN / ストレイテナー
・配信のみ:androp(SPECIAL映像1曲) / 安藤裕子 / 佐野元春 (SPECIAL映像1曲) / 福原みほ with 森俊之 / SOIL&“PIMP”SESSIONS / 竹原ピストル / The SunPaulo (THE SOLAR BUDOKAN 2020映像)
▼チケット
・1日券Day1/1日券Day2:3,500円 (税込)
・2日通し券:7,000円 (税込)
※ご購入時システム手数料として別途200円が必要となります。予めご了承ください。
購入:9/21(火)18:00〜申込開始
https://up.auone.jp/articles/id/85217?ref=os
※上記URLへのアクセスは、9/21(火)18:00より可能となりますのでご注意ください。
※視聴チケットのご購入者を対象とした期間限定の事後配信を予定しております。詳細は、上記URLにて発表させて頂きます。
▼「uP!!!」とは(https://up.auone.jp/)
「uP!!!」は、厳選された音楽ライブや演劇公演のチケット先行、スポーツ観戦やイベントへのご招待などプレミアム体験を提供し、エンターテインメントライフをより豊かにするサービスです。加えて、人気アーティストのパフォーマンスが楽しめるライブ映像を提供致します。
※全てのサービスをご利用いただくには、auスマートパスプレミアムへのご入会が必要です。
■有観客ライブ<THE SOLAR BUDOKAN IN HANEDA>
東京都大田区羽田空港1-1-4 HANEDA INNOVATION CITY ZONE H
※京急空港線、及び東京モノレール「天空橋」駅に隣接
▼出演
RED ORCA / ComplianS (佐藤タイジ&KenKen) / Creepy Nuts / Nulbarich / ACIDMAN / ストレイテナー
※本公演チケットは下記クラウドファンディングからのみとなります。
参加申し込み: https://wefan.jp/crowdfunding/projects/tsb2021
締め切り:9月21日(火)17:59
主催:THE SOLAR BUDOKAN実行委員会 / ワイズコネクション / WOWOW / ディスクガレージ
(問)ディスクガレージ・カスタマーセンター 050-5533-0888
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