【インタビュー】BAND-MAID、武道館への感情とこれまでの歴史が詰まったお給仕

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■メンバー5人の意志の固さというか強さというか、気合の入り方が見えてくる

──それがステージ上の臨場感に繋がった部分もあったわけですね。さて、この記事はこの映像作品のリリース直後にアップされることになるので、これを読んでから映像を見ることになる人が多いはずです。なので、改めて個々に「これぞ!」という見どころを教えてください。具体的な曲や場面でもいいですし、たとえば「この場面での誰かの一瞬の表情」みたいな細かいところでもいいので。

MISA:私は……自分のソロの時の表情を見て欲しいですね。改めて映像で見てみて「あ、こんなに顔で弾いてたんだ!」って気づいたんです(笑)。すごく集中しているのが顔でわかるんですよ。結構、目を瞑っちゃうんですけど、この時は眉間に皺を寄せていたりとか。すっごく真剣だったんだな、と。そういうのが表情にすごく出ているなって思いました。無意識のうちの表情というか、自分でもわからない部分というのに、こうやって映像化されたものを見て初めて気付かされるというのがありますね。ああ、自分はこういう表情で弾いてるのか、と。

AKANE:私も自分の話になっちゃうんですけど、曲の始まりの瞬間、前の曲から次の曲に移っていく瞬間の表情も撮られていて。ドラムを演奏中の映像っていつもだいたい横から撮られているんですけど、そういうのとも違って結構新鮮だったし、そういう場面での自分の顔っていうのを今まで見たことがなかったんで「あ、こういう顔してんの?」とか思ったり(笑)、表情やしぐさで「お、カウントとろうとしてるな」というのがわかったり。

──つまり、通常はカメラがドラムを追わないような場面でのAKANEさんの様子が収められているわけですね?

AKANE:そうなんですよ。普段は抜き出されることもないし、照明も落ちているから暗いシーンだったりはするんですけど、たまたまドラムから繋がる曲でそういう場面を残しておいてもらえていて。結構自分でもびっくりしたというか「ここ、使ってもらえるんだ!」みたいな新鮮さがありましたね。たまたま「NO GOD」っていう曲でソロパートもあったから撮っていたんだと思うんですけど、結果的に普段見られないような表情が見られて。だから多分、細かく探してみるとメンバーのいろんな表情も見つかるんじゃないかなと思います。そういうのをいっぱい探しながら楽しんで欲しいです(笑)。

MISA: SAIKIがカメラに向けて指さしてたりするシーンもあるもんね。人じゃなくてカメラに向けてるから……。


──客席に向けて指をさす時の感じとはちょっと違うというか、カメラを通してマンツーマンで直接指さされるわけで、ちょっとドキッとするかも。

MISA:うん、うん。そういう違いがありますね。

AKANE:そうやって、一人ひとりをピックアップしながら観るのも面白いだろうと思いますね(笑)。

MISA:うん。結構長いから、ずーっとそうやって観るのは大変だろうけど(笑)。

──小鳩さん的には、どんなところに着目して見て欲しいですか?

小鳩ミク:やっぱり演出を見て欲しいなって小鳩は思っていて。昔の曲をセットリストの中で続けざまにやったシーンがあるんですけどっぽ、時計がぐるぐるぐるぐるってタイムマシンみたいに戻る映像は、あれ以前のお給仕ではやったことなかったので。あの演出が単純にカッコいいから見て欲しいというのもあるんですけど、ああいう演出自体、自分たちがこれだけの曲数をやれるようになったからこそできることというか。もともと私たち、徐々に徐々に曲を増やしてきた感じで、最初の頃なんかはワンマンをやる時に曲が足りないって言ってたこともあったくらいなんですっぽね。それからこうして何年も続けてきて、時間を遡って最初から私たちの歴史を一緒に見ていくような見せ方ができるぐらいになったんだなって思うと、すごく感慨深いというか。自分としても嬉しいし、不思議な感じがしましたっぽ。これだけ続けてこれたんだなっていう歴史が詰まっていたし、今だからこそ、ここまで続けてきたからこそできた演出だと思いますっぽ。しかも、昔の曲を遡るところでどんな曲をやろうかって、すごく迷いながら選曲していった経緯もあったので。

──楽曲オーディションみたいな感じになるわけですよね。

小鳩ミク:そうですっぽ、そうですっぽ。みんなで何曲も挙げていっては削っていったんですっぽ。色々考えた結果、ああいう形になって。そこで、できれば実際にあの時やった曲だけじゃなく、その時代の他の曲たちも一緒に聴いて欲しいなって思うんですっぽ。この映像を観たあとに。

──なるほど。これを見たうえでCDを取り出して「この曲の頃にはこんな曲もあったな」と、同じ時代の曲を改めて聴いてみて欲しい、と?

小鳩ミク:そうですっぽ。そういうことって自宅で観ているからこそできることじゃないですか。そういう曲も、この流れに沿って楽しんでもらえたらいいなって思いますっぽ。

──時間を遡っていく内容があるだけに、ライヴ映像作品ではあるけども、ちょっとベストアルバム的な楽しみ方もできるわけですよね。だからこの作品は、BAND-MAID初心者にとっての入口にもなりやすいかもしれません。

小鳩ミク:もちろん、そうですっぽ。


──ああいう演出をいつか本当に武道館で、もしくはもっと大きな場所で観てみたいものです。さて、SAIKIさんのお薦めの見どころはどんな部分でしょうか?

SAIKI:見どころは……全部ですけど(笑)。なにしろオープニングからカッコいいので。1曲目に「Warning!」をやっていますけど、その前にあるオープニングSEも重要で。もともとBAND-MAIDがずっと使ってきたのは、可愛い感じのテイストのワルツからカッコいいロックに変わっていくっていうイメージで作ってもらったものでしたけど、それが新しくなって。ホントは武道館でやるはずだったお給仕が配信になっても、ちゃんとその新しいSEを冒頭に持ってきたかったというのがあって。しかもそれが、見どころになってると思います。メンバー5人の意志の固さというか強さというか、気合の入り方というのがその場面から見えてくるので。だから「最初からお見逃しなく!」っていう感じです(笑)。



──要するに、武道館でできなくなったからといって、あの時点で見せたいものが変わったわけではなかったということですよね?

SAIKI:はい、そうですね。武道館でやりたかったことというのを、ちゃんと配信を通しても伝えられるようにしたかったんです。そこで見せたいものというのは変わらなかったから。そういう気合が映像からも感じてもらえるはずだと思います。

──お待たせしました、KANAMIさんからも見どころをひとつ紹介してください。

KANAMI:ずっと何を言おうか考えていたんですけど(笑)、SAIKIが今言ったSEのこともすごく大事なところで。今回のSEは、日本武道館に向けて、それに合ったテイストに変えましょうねって話がそもそもあったんです。それで……どういうイメージで頼まれたんだったっけ? 今、それをすごく思い出そうとしていたんだけど……。

SAIKI:武道館からまた新しい始まりを、というイメージ。初めての武道館ということで、記念日となるような特別な日だったので。そこからまた私たちが始めていく世界征服、というイメージをSEに表してくださいって言いました。

KANAMI:パチパチパチ(無言で拍手)。


──KANAMIさん、それを実際に形にした時点で、その時の記憶が消えたのかも。

KANAMI:ホントに今「何だったっけ?」って、まったく思い出せなかったです(笑)。

SAIKI:それまでのSEよりも、もっと壮大な世界に向けてというか、もっと広い感じで、みたいなことを言っていたと思う。あと……宇宙戦争だっけ?

KANAMI:思い出した! 「ゲームでラスボスのところに行くまでの道のりみたいな感じ」って言ってた。

小鳩ミク:それが「ENTREE」ですっぽね。(完全生産限定盤に付属の)CDに入ってますっぽ。

KANAMI:そうなんです。今回、それも新しいことのひとつで。以前のSEっていうのはタイトルもなかっし、ちゃんとレコーディングしたこともなかったので。今回は「せっかくだからレコーディングしちゃおうぜ」ということになって。今までのSEではドラムも打ち込みだったんですけど、ちゃんとドラムもベースもギターも録って……ある意味、記念品みたいな感じ?

小鳩ミク:記念品ではないっぽ(笑)。

KANAMI:記念品ではないんですけど(笑)、SEをレコーディングしてCDにするっていう、記念すべき新しい試みにはなりました。

小鳩ミク:うん。なんか、「いつかSEも収録したいね」っていうのは結構前から言ってたことだったので、今回それができて良かったですっぽ。

KANAMI:あと、実際、SEの音源が欲しいっていう声がすごく多かったんです。だから「入れちゃおう、やったね!」みたいな。

──これは喜ばれるはずだと思いますよ。自分でプレイリスト的なものを作る時に1曲目に入れたくなるんじゃないかと思うし。

小鳩ミク:そうですっぽね、確かに。

──しかもやっぱりオープニングSEを聴くと、気分的に上がるじゃないですか。いよいよ始まるぞ、という感じがあって。

AKANE:そうそう、上がります。

──その気分をご自宅でもどうぞ、みたいな。

KANAMI:うぉー!(拍手)


──いやー、まさに至れり尽くせりですね。この完全生産限定盤は、単純にあの日のライヴが収録されているだけじゃなくて、それも含めたプラスアルファの要素が本当に充実している。

KANAMI:しかもマルチチャンネルとかもあるし。メンバー各々に固定カメラがあって。あれは超緊張した!

小鳩ミク:緊張したっぽね。今まで特典用にそういうのを別に撮るというのはあったんですけどっぽ、お給仕中の同時収録じゃないですか。それは初めてのことだったので。

AKANE:なかなかすごいことをしたよね。

MISA:新曲もある中でね。

KANAMI:顔がみんなガチガチだった(笑)。緊張してるなー、みたいな。

小鳩ミク:「間違えられない!」みたいな変なプレッシャーがありましたっぽ。

MISA:そうそう、だから変に動けないし。

AKANE:その状況下での、リアルな姿を見られます(笑)。

──しかしとにかく、通常のライヴでも、配信やライヴ映像作品でもなかなか見られない要素が詰め込まれた作品ということになりそうですね。

小鳩ミク:そうですっぽね。

──そしてそんな2月11日から3ヵ月を経て先日の配信お給仕を迎えたわけですけど、歴史を総括した前回とは違って、今回は『Unseen World』に伴うライヴの内容になっていたわけじゃないですか。それだけでも感触の違いは大きかったはずだと思うんですけど、たとえばアルバムのツアーがようやく始まったかのような感覚でもあったんでしょうか?

小鳩ミク:そうですね、アルバムをもってツアーをするいつもの感覚ともまたちょっと違ったかな、と思いましたっぽ。ツアーだと、やっぱり徐々に徐々に新曲を出していくっていうのが、これまでの自分たちのスタイルだったりもしたので。こんなに一気にほぼ全部やりますっていうのは、初めてに近いことでしたし。なので、アルバムのツアーが始まったのとは感覚的にだいぶ違うというか、むしろ初めてのことに挑戦したみたいな感じ方でしたっぽね。


──緊張感の種類がちょっと違う、みたいな?

(全員、無言で頷く)

小鳩ミク:ツアーの感覚っていうものを、ちょっと忘れかけちゃっているかもしれないですっぽ。さっきも過去のツアースケジュールを見ながらみんなで話してたんですけど、今までずーっとツアーを回ってきていただけに、こうしてちょっと期間が空いただけで、過去のツアーが遠い昔のことのように若干思えますっぽ。まだそんなに長いブランクにはなってないはずなのに、「ツアーってどんな感覚だったっけ?」みたいなところがありますっぽね。

KANAMI:ツアーを回っている時は、ご主人様、お嬢様の反応を見ながら次の日のセトリを変えたりとか、そういうこともしていたので。

──配信でも反応は得られるけども、それを翌日のライヴに反映させられるわけじゃないですもんね。

小鳩ミク:回数ももちろん減っているので、一回一回のお給仕に賭ける気持ちにも多分、違いがあると思いますっぽ。もちろんツアーでも1本1本のお給仕を大事にはしてきましたけど、配信の一回とツアーの中の一回って、全然違うものだなって思いますっぽ。

──実際そうなんでしょうね。しかも、だからといって毎日のように配信をすればいいというわけでもないだろうし。

小鳩ミク:それはきっとできないですっぽ(笑)、多分。気持ちがもたないと思いますっぽ。逆に配信のほうが体力というより気持ちをすごく使うかなって思うので。

KANAMI:うん。やっぱりメンタルがね。

小鳩ミク:メンタルは消耗するっぽね、やっぱり。

KANAMI:いつもだったら、こっちから発するものに対してお客さんからパワーが来て「うおぉぉ!」となるんですよね。そこで、翌日のライヴに向けての気持ちも「うおぉぉ!」ってなるんですけど……今はこっちから出すばかりなので。

小鳩ミク:さっきも言ったようにコメントとかで反応があるのが見えてはいるけど、終わった後に返ってくる感がありますっぽね。ちょっと遅れて文字が届く、みたいな。だからまたちょっと違うなって思いますっぽ。

──こういう話をするほどに、当たり前の日常が恋しくなってきますよね。さて、前回『Unseen World』のインタビューの時にも話に出ましたけど、皆さんは外出自粛ムードの色濃い日常の中でも、リモートで繋がった状態で曲作りを重ねていたわけですよね? 先日のお給仕が終わった時点でひとつの流れが一段落した感じもあると思うんですけど、新曲作りは今も相変わらず続いているんですか?

小鳩ミク:それは、ずっとですっぽ。

KANAMI:毎週送っています。毎月曜日にデモを提出することになっていて。

小鳩ミク:宿題みたいだっぽ(笑)。

KANAMI:一応毎週、日曜日までにほぼほぼ終わらせておいて、月曜日に最終チェックをしてディレクターへ送っているんです。

小鳩ミク:KANAMIは真面目で、とっても偉いんですっぽ。



──すごいです。でも、曲のアイデアって、出てくる時もあればそうじゃない時もあるはず。毎週、定期的に閃くようなものではないじゃないですか。

KANAMI:はい。でも、作り続けてないと出て来なくなってしまうので。ギターの練習と同じで、3日休むと3日分、自分の発想力とか技術力、スピードも落ちちゃうから。だからとにかく毎日ギターに触れるようにしているんですけど、それと同じように曲作りもしています。

AKANE:性格が出てるよね。

KANAMI:だって、やらないと戻っちゃうんだもん。「あれ? これって、どうやったんだっけ?」って(笑)。毎週月曜日が来るのが早く感じますけど、でも半分趣味みたいなところもあるといいますか。やっていて楽しいことだから、全然辛くないです。今は!

──「今は」という但し書きが付きました。

小鳩ミク:いきなり「辛い!」になったらどうしようっぽ(笑)。

KANAMI:辛かったこともあったもん(笑)。でも、もう大丈夫です!

小鳩ミク:実際、次のリリースが具体的に決まっているわけではないんですけど、BAND-MAIDの楽曲は常にずーっと作っているので。いつ出すかは、いつも後から決めるんですっぽ。そろそろ出そうか、みたいな話になったら、そこで初めて「じゃああれとあれを持ってきて……」みたいにして始まるんで。普段からそういう感じなんですっぽ

──では、そうして蓄えられたものを何らかの形で近いうちに聴かせてもらえることを楽しみにしつつ、カメラ越しではない形でお給仕を楽しめる日を心待ちにしていたいと思います。

小鳩ミク:そうですっぽね。早くやりたいですっぽね!

取材・文◎増田勇一
撮影◎野村雄治



映像作品『BAND-MAID ONLINE OKYU-JI(Feb. 11, 2021)』

2021年5月26日(水)発売
予約:https://lnk.to/OKYU-JI_20210211

■完全生産限定盤[2Blu-ray+CD+PHOTOBOOK]
豪華BOX仕様
PCXP-50828 / 9,900円(税込)
[Blu-ray Disc-1]
OKYU-JI(LIVE)本編映像28曲+パッケージ用に特別収録したOKYU-JI(LIVE)映像収録5曲
[Blu-ray Disc-2]
Multi-Channel Video対応(各メンバー固定カメラ)OKYU-JI(LIVE)映像収録(全5曲)
1. Warning!
2. After Life
3. NO GOD
4. Manners
5. Giovanni
[CD]
BAND-MAID OKYU-JI NEW SE「ENTREE」収録(全1曲)
[PHOTOBOOK]
BAND-MAID PHOTOBOOK(100P)

■通常盤[Blu-ray]
PCXP-50829 / 6,600円(税込)
[Blu-ray]
OKYU-JI(LIVE)本編映像28曲+パッケージ用に特別収録したOKYU-JI(LIVE)映像5曲

●通常盤 [DVD]
PCBP-54421 / 5,500円(税込)
[DVD]
OKYU-JI(LIVE)本編映像28曲+パッケージ用に特別収録したOKYU-JI(LIVE)映像5曲

[本編収録曲](全形態共通)
BAND-MAID / BAND-MAID ONLINE OKYU-JI(Feb. 11, 2021)(全28曲)
1. Warning!
2. DICE
3. Screaming
4. I can't live without you.
5. BLACK HOLE
6. Thrill
7. REAL EXISTENCE
8. Don't let me down
9. alone
10. FREEDOM
11. YOLO
12. Don't you tell ME
13. After Life
14. NO GOD
15. 輪廻
16. without holding back
17. サヨナキドリ
18. about Us
19. Daydreaming
20. Mirage
21. Bubble
22. Manners
23. onset
24. Choose me
25. Blooming
26. Different
27. Giovanni
28. DOMINATION

パッケージ用撮り下ろしOKYU-JI(LIVE)映像(全5曲)
モラトリアム
1.the non-fiction days
2.glory
3.Play

Bonus Track
1.Smile(Acoustic Ver.)

※価格、収録内容共に予告なく変更する事が御座います。

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