【世界珍楽器さんぽ #9】なぜ増やした?ベルがふたつあるラッパたち
今回紹介するダブルベル金管楽器は、ベル(開口部)がふたつついてるトランペットやトロンボーンなどの金管楽器です。こちらはプロ奏者でも使う人が少数なので、近所の演奏会ではまず見る機会がありません。
この不思議な姿をした楽器ですが、ベルがふたつあるからといって和音が出るわけではなく、音にリバーブがかかるわけでもありません。じゃあ何のためにベルをふたつにしているかというと、それぞれのベルで音色がちょっと変化しています。
上記の動画ではダブルベルユーフォニウムを演奏しており、柔らかいメロディは上向きのベル、運指の早いメロディは前向きのベルから音を出していようです。音色の変化がおわかりでしょうか(逆だったら大変申し訳ない)。
ベルが上や横を向いた楽器(ユーフォニウム、チューバ、ホルン)は、柔らかで流麗な音色を持ちます。対してベルが前を向いた楽器(トランペット、トロンボーン)は、硬質でハキハキした音がします。この両者の特徴を兼ね備えた楽器として制作されたのが、ダブルベルユーフォニウムです。
ダブルベル楽器では、楽器内部の弁を切り替えて空気の通り道を変え、音色を瞬時に変化させます。片方のベルにミュートを入れ、ほぼノーモーションでミュートサウンドを出すことも可能です。ジャズやポップスの演奏では、この特徴は非常に便利になります。
ただ、ここまで瞬間的な音色の切り替えが要求される場面はそう多くないので、ダブルベル楽器は広く普及していません。私もダブルベル楽器のプレイヤーとは生でお会いしたことが無く、熱狂的な愛好家がいる楽器、という印象です。
(BARKS編集部 安藤)
■今日の楽器「ダブルベル楽器」
分類:金管楽器
特徴:ベルがふたつ付いた金管楽器
日本での入手難易度:中古30万円前後から入手可能
ひとこと:ダブルベルチューバは重すぎて無理そう