【対談】Psycho le Cému × lynch.、コロナ禍の現状と支援活動を語る「約束の日を作り続けて、その希望に向かっていく」

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■ずっとlynch.を見てたことで
■“玲央イズム”を受け継いでる

──玲央さん曰く“変わってない”というPsycho le Cémuですが、DAISHIさんとseekさんから観たlynch.の印象は?

DAISHI:そういう意味ではlynch.さんも、スタイルはストレートで王道な感じで、歳を重ねていくところを見せているのがカッコいいんじゃないかなって思うんですよね。大人のロックバンドって感じがして。

玲央:あんまり抗ってる感じはないですね。

葉月:さっきseekさんが仰った、「求められてるものを全力でやる」っていうのは、今のlynch.にすごく共通してるなと思います。僕らが一度メイクを落としたのは、いわゆるJ-POPに合わせるためじゃなくて、ヴィジュアルシーンのなかで違いを出したかったからで。さらに尖るために落としたんです。だから、よりヴィジュアル的な考え方で、自分たちのやりたいことを貫いたんですけど、それがわりとファンとすれ違っちゃったんですよね。“英語詞ばっかりだし、メイクもしてないし、なんかおもしろくない”みたいな声も出てきちゃって。自分もそれを感じてたので、やっぱりやるべきことをやったほうがいいのかなあって。

DAISHI:ただ、メンズの僕としては、その当時もめちゃくちゃカッコいいと思ってましたけどね。気合いというか、闘ってる感じをビシビシ感じましたよ。

葉月:ありがとうございます。たしかに、すごく闘ってましたね。

▲葉月 [Vo / lynch.]

seek:僕はずーっとlynch.を見てきてて、メイクしてる年も、メイクを落とした年も見てたんですけど。もっと根っこの部分にあるバンドとしてのブレのなさ、地に足が着いてる感じを、lynch.結成時から変わらず感じてるんですよ。再始動前のPsycho le Cémuは正直、ブレーキがないまま走ってるみたいな状態でしたから。それでまあ、盛大に事故って。コケたら立たれへんみたいな生き方だったんで。

DAISHI:そうしとったなあ。

seek:だから、lynch.の活動を見てるとすげえ羨ましくて。やっぱりそこは、玲央さんがいろんな経験を経て、lynch.を作ったというところが根底にあるからやと思うんです。だからこそlynch.としてこれだけ長く、ブレないスタンスで続けてこられてるんやろうなと思います。僕自身も、その時期にずっとlynch.を見てたことで、結構な“玲央イズム”を受け継いでるんで。

玲央:ははははは。僕は逆に、Psycho le Cémuを見てて、羨ましかったんですよ。ないものねだりなんですけど、客観的に見た時に、自分たちにはその加速装置がないって思っていたので。じゃあどうする?って考えた時に、ない人間の走り方をすればいいと。その走り方に共感してもらうスタンスで活動していきましょうって。ただそれだけの話なんです。

──お互いが羨ましいと思っていたというのは興味深いですね。

DAISHI:両極端な感じだからですよね。僕は高校の時からD'ERLANGERのコピーバンドをやってたので、lynch.みたいなスタイルのカッコいいバンドをやりたい気持ちが、この歳になってもあるんですよ。ド真ん中いってる感じが羨ましいですもんね。

seek:そのイメージもあって、僕は最初、玲央さんに対して“想像してたのと違う”っていう印象があったんですけど(笑)。

玲央:どういうことですか(笑)!?

seek:“The名古屋”ド真ん中のヴィジュアル系ギタリストだ!って思ってたんだけど、話をしてみたら、いい意味でむちゃくちゃビジネスマンというか。バンドを回していくこととか、バンドの作り方をすごく考えられてるんですよね。

──lynch.の15周年お祝いコメントでも、そう書かれていましたよね。

seek:そうです。当時、やっと僕がパソコンを始めたくらいだったんですけど、すでに玲央さんは、各地ホテルから会場への所要時間とか、Wi-Fiの有無とかロビーならWi-Fi接続可、みたいなリストをエクセルで作ってて、対バンツアーの資料としてそれをいただいたんですよ。“バンドマンにそんなきっちりした人おらんやろ!?”っていうのがかなり衝撃でした。CDの作り方とかライブのブッキングの仕方も、それまで僕らは事務所とかレコード会社に全部任せきりだったから。CD1枚がどうやって作られるんだろう?っていうことは、恥ずかしながら20代後半から知ろうとし始めた状態やったので。だから、その時期に玲央さんに教えてもらったことって本当に大きいんです。あと、この対談の機会に聞きたいんですけど……lynch.のメンバーって、外から見てたら、ちょっと普通じゃない人の集まりみたいな感じじゃないですか?

玲央:ははははは! 仰るとおりです。

▲lynch.

seek:そのやべえ人たちが、これだけ長くバンドとしてよく繋がり続けてるなあと思ってて。普段、バンド内でどんな会話してるんやろ?って聞いてみたかったんです。

玲央:会話はないよね。

葉月:ないですねえ。

seek:僕らは逆に、ずっと5人で喋ってるんですよ。

──誕生日をメンバー同士で祝うくらい仲がいいですよね。

seek:そうそう(笑)。喋ってる会話のなかに、バンドをどうしようか?みたいな話が入ってくる感じなので、会話をしてないとバンドが回っていかない作り方なんです。

玲央:僕が意識してるのは、バンドって言葉には“輪っかで束ねる”とかそういう意味もあるんですけど、その束ね方をギュッて締め付けすぎないことなんですね。喋りたくない人間は喋らなくていいっていうくらいの遊びがあったほうがいい。ただ、「何かを投げかけたら、“了解”だけでもいいから返してね」って。変にギュッて締め付けちゃうと、やっぱり窮屈に思う人が出てくるので、そこは気をつけてますね。気をつけてるっていうか、自然とそういう感じになってきたかな。

葉月:最近やっとそうなれたっていう感じはありますよね。結成当時は、やっぱり強めに束ねないとどうにもならなかったから、玲央さんがギュッとしてくれてたんですよ。僕なんて21歳とか22歳のガキンチョでしたから、「どっかの事務所に入りましょうよー」くらいの感じで(笑)。でも、そうじゃなくて地道にやっていくことが大事なんだって、玲央さんが仕切ってくれたので。僕が30歳くらいになってから、いろいろと提案するようになって。そこから7〜8年経って今、“lynch.ってこうだよね”っていうイメージが周りから見てもあるでしょうし、僕ら的にもあって。わりとそこに従って、自然に身を任せてる感じですかね。

seek:コロナ禍になってからのこの1年は、バンドや人生に対する考え方が変わりかねないたいへんな時期やったりするわけじゃないですか。この時期に、メンバーが何を考えてるかを俺は知りたいと思ってたんですよね。それが、オンラインミーティングではなかなかわかりづらく感じることも多くて。lynch.的にはそういうのないですか?

葉月:それはなかったですよね。

玲央:うん。オンラインミーティングも1〜2回しかやってないし。

DAISHI:そこは、メンバーにフィットネスの大会に出た人とかがいないからじゃない?(DAISHIは2020年8月、フィットネス大会『メンズアスリートモデル ノービス +40』に出場)

玲央:はははは!

seek:せやな、何考えてるかわからんくなるからなあ(笑)。一瞬、色黒になった時ありましたからね。ヴィジュアル系や言うてんのに。

玲央:そうそうそう(笑)。あれすごかったですね。

DAISHI:ありがとうございます(笑)。

玲央:僕らは特に、名古屋住まいっていうのが幸いしてるんじゃないですかね。東京より感染者数が少ないっていうこともあって、スタジオにも入れてたし。

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