ジーン・シモンズ「ロックが死んだのは、若いファンが原因」
「ロックは死んだ」との持論を持ち続けるキッスのジーン・シモンズは、それを招いたのは若い世代のミュージック・ファンだと考えているそうだ。
2014年、『Esquire』誌での息子との対談で「ロックは歳を取って死んだんじゃない。殺されたんだ」と話し、その後も「ロックは死んだ」と繰り返し発言してきたシモンズは、ニューヨークのラジオ局Q104.3の番組で、それはラジオのエアプレイやストリーミング数の観点からかと問われると、こう答えた。
「あらゆる点でだ。そして、その原因は若いファンたちだ。君らが、自分らの愛するものを葬ったんだ。ストリーミングが出てきてすぐ、君らは、陰に潜んでいた素晴らしいニュー・バンドたちのチャンスを奪ったんだ。彼らは音楽をリリースしたって、ちっとも金にならないから仕事を辞められない。君らがダウンロードしている限り、1ペニーの100分の1とか1000分の1にしかならない。100万回、10億回ダウンロードされてやっと数千ドルだろ。そういうファンに葬られたんだよ。この業界は死んだ。ってことは、次のザ・ビートルズとかは、俺らのようなチャンスには恵まれないってわけだ。俺らには、金を出してくれるレコード会社がいて、アルバムが作れたり、ツアーができた。9時5時の仕事を心配しなくてよかった。9時5時の心配があると、自分の作品にじっくり取り組めない」
そして、「Napsterや違法ダウンロードが出てきたころ」状況が変わったと、こんな喩え話を上げた。「1匹のキツネが鶏舎から卵を盗んだ。でも、殺されることはなかった。そうすると、他のキツネたちは“おい、俺ら、卵がただで手に入るぜ”と言い出す。そんなことしてたら、農家が破産し、卵が無くなるってことに気づきもせずに。卵がないスーパーもつぶれ、卵を配達していたトラック会社もつぶれる。最初に卵を盗んだキツネを殺さなかったからだ」
シモンズは、2014年の時点では、「インターネットとかNapsterとかのせいだ。ダウンロードしファイルシェアするのは、新しいバンドがフルタイムで活動できるチャンスを潰すことになる。俺らが始めたときと同じように、いまも才能のある連中はいる。でも、新しいバンドは母親の地下室で暮らさざるを得ないだろ。人々がダウンロードやファイルシェアするせいで、音楽はフルタイムの仕事にならないんだから。あいつらの特権だよ。俺らがそれを許したんだ。止めるよう訴えなかった。だから、みんなの責任だ」と話し、このような状況では第2のザ・ビートルズや第2のザ・ローリング・ストーンズが誕生するとは思えないが、それでも、新しいバンドには頑張って欲しいとエールを送っていた。
Ako Suzuki
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