【インタビュー】wyse、TAKUMAが語る「Brand New World」と“発信する”ということ「僕らが存在する意味や価値」
wyseが11月11日、ニューシングル「Brand New World」をリリースする。2021年に再始動10周年を迎える彼らがコロナ禍の2020年の最後に、「どうしても伝えたかった曲」だ。人々が迷いや不安の中にいる状況を踏まえ、“新しい世界”というタイトルをつけられた新曲には、コロナ以降も継続的に発信を続けてきた4人の視点が明確に刻み込まれている。その真意とは?
◆wyse 画像
また、同楽曲がエンディングテーマに起用されたテレビ東京『プレミアMelodiX!』にて、18年ぶりに地上波の音楽番組に出演したときのエピソードや、5月に実施した無観客無料配信ライブの手応えなど、この半年を振り返りつつ、メンバーが鳴らすバンドサウンドにフォーカスを当てた2曲の新曲について、wyseを代表してTAKUMA (B, Vo)が語ったロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■ライブにしても音源にしても
■誰に向けて発信するか?だと思う
──約半年ぶりのインタビューになりますので、まずは近況からお聞きしたいです。
TAKUMA:wyseとしては最近ずっとニューシングル「Brand New World」のレコーディングをしていたので、気づけば2020年も10月が終わってしまったなぁ…という感じですね。
──TAKUMAさん個人としては、間もなく40歳の誕生日(11月17日)を迎えますが、心境の変化はありますか?
TAKUMA:ずっとwyseを見続けてくれている方からしたら、“TAKUMAが40!?”って驚きもあると思うんですけど(笑)。この年齢まで音楽を好きでいられていること、やり続けていられることが幸せだなと思いつつ、今年はコロナで大変な1年でもあったのでね、メンタルを含めて、より体調に気をつけなきゃいけないなと、そう思うようになりました。
──例えば食事に気をつけているとか、身体を動かしているとか?
TAKUMA:もともと野菜は好きなんですけれど、意識して摂るようにしたり。あとは、ほっとくと食べなくなる傾向があるので“今日は何食、何を食べたんだろう?”って気にしたりしてますね。それと今年はライブが減っているので、単純に身体を動かすことが少なくなってるんですね。なので、家でトレーニングはしていますね。
──若いときに思い描いていた40代とのギャップってありませんか? もっと大人になっていると思ったら、そうでもなかったとか(笑)。
TAKUMA:20代前半は“早く30歳になりたい”と思っていて、いざ30歳になった時には“40歳になったら、どんな男になっているんだろう?”って考えていたんですが。目前となった今、じゃあ、目標に近づけたかというと“まだまだ”と思うことはありますね。それでもひとつひとつの出会いのおかげで、自分の考え方を正してもらいながらここまで来れたので、理想通りなのかわかりませんけど、みなさんのおかげで“いい40代を迎えたい”という道の上にはいることが出来ているのかなとは思います。
──素晴らしいです。
TAKUMA:最近思うのは、ここまで音楽をやってきた自信や自負や誇りだったりがあって、そういう経験値とか信じている想いだけで何かをやろうとしがちなんですけど、そうじゃないなって。まわりの人から学べることはたくさんあるんです。僕とは違う経験値を積んでいる方々から吸収することがあるからこそ、僕はまだ成長できるって思うようになりました。と同時に、責任感が増したというか、より自覚を持って生きていかないといけないと感じています。
▲シングル「Brand New World」 |
TAKUMA:ライブにしても音源にしても、“誰に向けて発信するか?”だと思うんですね。もちろん自分たちがやりたくてやっているし、自分の想いはあるんですが、月日を重ねてくると、誰かのために届けたいという気持ちのほうが大きくなるんです。ファンの方々が大切な時間を割いて、住んでいる場所も違うなかで駆けつけてくれて、ひとつの空間を共有することは決して当たり前じゃない。すごいことだって改めて痛感したし、ライブがあるからこそ普段は気づかない自分に気づけたり、届けたいメッセージも溢れるんだって感じました。
──コロナ禍の混乱のなか、早い段階で配信ライブ開催を決定しましたが。
TAKUMA:お客さんを入れてのライブが今年は難しいのではないか?という状況があって、“ならば”と配信ライブの開催を決めたんですが。そこも、自分たちがやりたいという気持ちだけではなくて、“今、全国のみんなはどうしてるんだろう?”って。僕たちも苦しいししんどいけど、たぶん、みんなも同じ気持ちだと思ったんですね。だったら、音楽を届けることで、今マイナスになっているものがプラスに転じるようなことはできないだろうか?という想いがありました。
──しかも、カメラ20台をいろいろな角度に設置して、ライブの臨場感が伝わるようなこだわりに溢れた配信ライブは、当時はある意味でチャレンジだったと思うんです。
TAKUMA:そうですね。カメラの台数が多ければいいというわけでもないと思うんですが、wyseとしてどういうライブを届けたいのか? どういうクオリティのものが求められているのか? それが問われるだろうと思っていたので、様々な点で僕たちはチャレンジするべきだと思いました。カメラのアングルや切り替えもそうですけど、配信だと実際に会場で鳴るものとはまた別の、異なる音が届くことがあったり、照明にしても画面に映ると実際より暗かったりするので、メンバーやスタッフとどう演出していくのかを試行錯誤して、“より良いものを”と追求を続けました。
──画面上に流れる視聴者のコメントを取り上げたり、一方通行でないコミュニケーションもwyseならではでした。では、ニューシングル「Brand New World」についてうかがいますが、この曲はテレビ東京の音楽番組『プレミアMelodiX!』のエンディングテーマとしてオンエアされていました。同番組へのパフォーマンス出演は、地上波としては自身18年ぶりとなりましたが、いかがでした?
TAKUMA:とても有難かったですね。今の時代は配信も含めていろいろな発信方法がありますが、テレビ東京に入ったとき、やっぱりテレビの力はすごいなと感じました。僕個人は意外と“やったるで!”みたいなタイプではないので、後ろでベースを弾いていればそれでよくて。ほかのメンバーとか月森がいい感じで歌って映ればいいなっていう、そんな視点ですよね(笑)。「僕のカットはいいですよ」って伝えていたので。
──謙虚(笑)。でもサビを一緒に歌っているじゃないですか。
TAKUMA:そう、「2ヵ所だけはカメラで抜く」って言われました(笑)。テレビはやっぱり楽しかったですね。18年ぶりのテレビ出演っていう事実もすごいことですけど、Twitterとか見たら、友人やファンが「応援しているバンドがテレビに出る」って喜んでくれたり「見てよ!」って拡散してくれたりとか、反響も嬉しかった。さっきの配信ライブの話とも繋がるんですが、少しでも光が届けば、みんなの中に何か生まれるものがあればいいなっていう、そんな想いがありました。だから、呼んでいただけて有難かったですし、改めてみんなが好きな、みんなが誇れるwyseで居続けなきゃいけないと思いました。
──TAKUMAさんは平常心だったかもしれないですが、ほかのメンバーの様子はどうでした?
TAKUMA:MORIは自分の映り方やポジションをわかっているので、「Brand New World」という楽曲も意識した上で、昔使っていたグレッチのデュオジェットで演奏してましたね。HIROは自然体でしたけど、レコーディングではエレキとアコギの両方を弾いていたり、ギターが無音になる箇所もあって、そういう部分は「どうパフォーマンスをしようか?」って話し合ったりとか楽しんでやってました。月森はメインボーカルなので、やっぱり少しプレッシャーを感じていたかな。朝9時からの収録だったんですけど、僕も歌う人間として早い時間からの歌唱にはプレッシャーがかかるっていうのはよくわかるんです、喉の関係もありますしね。なので、収録前から身体のメンテナンスをしていたみたいです。いちばんドッシリしていたのはサポートで参加してくれたドラムのshuji (Janne Da Arc)さん(笑)。とても大きな安心感を与えてくれる存在です。
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