【レポート】wyseライブ活動再開、「死ぬまでここに立っていたいと思います」

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wyseが5月20日および21日の2日間、東京・新宿BLAZEにて<wyse Live 2023「Clear Sky」>を開催した。2022年6月にライブ活動休止を発表してから約1年、月森(Vo)、TAKUMA(B, Vo)、HIRO(G)、MORI(G)の4人は、新たな決意と覚悟を持ってステージに立った。

◆wyse 画像

1999年の結成以来、紆余曲折を経て現在に至っていることはBARKSの短期連載インタビューでも語られてきたが、新曲も披露され、瞬間瞬間を噛み締めるように鳴らされた新旧織り混ぜての楽曲たちは時を超えてキラキラと輝きを放ち、切っても切れない4人の絆を感じさせてくれた。ライブに向けて生み出された新曲「Clear Sky」「Down」が初披露され、新宿BLAZEが感動に包まれた2日目の模様をお伝えしよう。

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拍手の中、メンバーが次々にステージに登場し、ライブは月森の甘く伸びやかなボーカルが映える「ヒカリ」で幕を開けた。手塚プロダクションとのコラボ企画シングルとして2018年にリリースされたこの曲は、未来への希望を浮かび上がらせるwyseらしいメロディックなナンバー。HIROのギターソロは光が散らばるような輝きを放った。

続いて、MORIのアルペジオで始まるインディーズ時代のナンバー「無色の雪」へ。月森とTAKUMAのボーカルのかけ合いも素晴らしく、ミラーボールの光が回る中、客席が手を揺らし、早くも幸せな空間が広がっていく。普遍的なメロディを持つ曲たちに真っ白な心で向かい合うバンドだからこそwyseの曲はいつだって瑞々しく響く。結成15周年を迎えたタイミングで書き下ろされた「Primal」(2017年発表アルバム『Breathe』収録)はwyseのことを歌った楽曲だ。“混ざり合えずに進んだ4色の空は”という歌詞が耳に飛び込み、メンバーから笑顔がこぼれる。歴史を彩ってきた大切な曲たちを愛おしむように、丁寧に鳴らし歌うwyseが目の前にいた。





眩い照明がステージから放たれ、「Over Drive」(2020年発表アルバム『Thousands of RAYS』収録)からはエレクトリックなダンスビートを取り入れたナンバーが披露される。「もっと! もっと!」と煽った「L.A.S.P.U.P. -Unperformed Performer-」では間奏でTAKUMAが前に出てスラップを披露、サポートドラマーのshuji (ex. Janne Da Arc)、サポートキーボーディストの炭竃智弘のプレイもフィーチャーされて大歓声。場内の熱気と演奏の熱量が増す中、2022年にリリースされたシングル「Adapt」、「SHA☆LALA」と立て続けに踊れるナンバーたちが放たれ、HIROがステップを踏み、MORIが前に出てグルーヴィーなソロを奏でる。月森とTAKUMAのかけ合いボーカルもスリリングだ。

「昨日と今日と約1年ぶりの公演ということで楽しみにしていたんですけれど、予想以上にみなさんの想いや声援が大きくて、もう満足してます(笑)。今日、初めてという方もいらっしゃると思うんですが、1年間ライブを止めていただけで、僕らは音楽活動自体は止めていなくて、レコーディングもしていました。昨日、初めて届けることができた曲なんですが、この曲があったからこそ、今、この場があるんじゃないかと思ってます」──月森

ピアノにストリングスが絡むイントロから始まったのはライブ休止中の2022年にリリースされた憂いに満ちた美しいバラード「月を想うトキ」だった。今のwyseだからこその歌と演奏、深い表現力が染みわたる。青く染まったステージで切々と歌う月森の姿も印象的だった。

「wyseはもう長いこと、みんなのおかげで活動してこられて、途中で空白があったり、いろいろなことがありましたけど、今日という日があることに感謝してます。存在できているのはやっぱり、ここにみんなが来てくれているからだと思います。会いに来てくれて本当にありがとう」──TAKUMA

TAKUMAが10代の時に書いた曲に、今もメンバーと共に魂を込めて演奏ができること、全ての曲たちにみんなが魂を吹き込んでくれたことに感謝を伝えた。

「面白いのは何歳の時に書こうが全員まっすぐで、その時、一生懸命残すんだけど、どんどん変化するのよね。音も歌も演奏もライブも一瞬しかないと思っていて、今日という日にその瞬間にしかない音を届けたい。僕らはずっとそうやってきた。今日も変わらず、今日ここにしかない曲を届けたいと思います」──TAKUMA


そんな言葉の後に届けられたのはTAKUMAが10代の時に書き、wyseのライブで数えきれないほど演奏されてきた「With…」。温かい光を放つ照明の中、何度も聴いたこの曲がいっそう優しく切なく染みわたってきたのは、人生経験を重ねたwyseが歌い、奏でているからだろう。集まったファンにとっても思い出が増えた分だけ、大切な人や失った人への思い出がよぎる。HIROのエモーショナルなギターが響き、「With…」から「J’s Song」に移行するwyseインディーズ時代のナンバーは今、この瞬間しかない煌めきを放ち、楽曲に対して全員が真正面から向き合う熱量に揺らされずにいられなかった。メロディックでハートウォーミングなミドルチューン「Like Sewing up」ではMORIが明度の高いソロを奏で、wyseの願いが届けられた。

wyseの名前が知られるキッカケとなった曲「With…」の思い出について語り、サポートミュージシャンを含むメンバー紹介。TAKUMAが言葉を繋いだ。

「昨日、新曲をやったんです。昨日来た人は新宿が割れるぐらいのリアクションをしてくれると思いますが(笑)。初めての人もあまり考えなくていい。いろいろ溜まっている感情をリズムを感じながら楽しみながら表現してほしい。決まり事なんかなくて、違った動き、違ったノリをしてもいいので自由に楽しんでほしい。カッコいい新曲をやるので盛り上がりましょう! 2023年のwyseです!」──TAKUMA

そう宣言して披露された新曲「Down」はエッジーなアッパーチューン。初期からwyseが持っていた尖った部分と再結成してからのサウンドアプローチが融合したナンバーで、点と点が繋がり、新たな1本の線が描かれていくようなカタルシスを覚えた。TAKUMAのボーカルで始まる「Calling…」では4人がステージの前まで出て客席はダンスフロアと化し、「MORAL」で加速。HIROとMORIのツインギターが刺激的に絡み合う「IN THE SADNESS」に続いて、間髪入れずに2019年の充電完了後に4人を象徴するナンバーとしてリリースされた「RAYS」が放たれた。





「楽しんでるかい? 新曲「Down」カッコいいでしょ? 当たり前です。wyseが作る曲は全部カッコいいですからね。昨日、その曲を組み込んだセットリストでお届けしたんですけど、実はもう1曲、ライブのタイトルにもなっている「Clear Sky」という曲を書きました」──TAKUMA

拍手が沸き起こる中、第四期の始まりの重要な曲について伝えた。

「次の曲はシングルでもないし、シングルにならなくてもいい。だけど、wyseの歴史に「Clear Sky」という曲が生まれて残ることに意味があると思っていて、このメンバーでやることに意味がある。月森がセンターでしっかりとメッセージすることに意味がある。そういう想いでメンバー全員で作った1曲です。昨日ももちろんだけど、今日もそれ以上に大切な気持ちがあるので、この曲をしっかり届け、残したいと思います」──TAKUMA

ライブのタイトルに掲げられた「Clear Sky」はメンバー、そしてwyseと共に歩んできたファンに向けた歌詞が、揺るがない意志を物語る清々しいナンバーだった。もう迷ったり、うつむきはしないというメッセージにこれまでの歴史を重ねたせいなのか、月森は歌いながら時折、両手で顔を覆った。後から後から感情が溢れ出してくる姿に「月森!」という声があちこちから飛び、長く深く、月森は頭を下げた。歌い終わって後ろを向いてしまった月森をTAKUMAが気遣い、体制を立て直すのをしばし待って、声をかけた。

「君がちゃんとメッセージした方がいいと思います」──TAKUMA

「2日間、どちらも最高に素晴らしいライブでした。ライブバンドなので、死ぬまでここに立っていたいと思います」──月森

第四期wyseに賭ける想いを宣言し、本編ラストは、“涙色の僕にサヨナラを”と歌う「I believe」。最後までステージに残った月森はもう一度、深く頭を下げた。



アンコールではTAKUMAが「もう少し楽しい時間、過ごしましょうか?」と投げかけ、コロナ禍でwyseを求めてくれる全ての人たちに伝えたかった曲「b’coz I love you」、月森とTAKUMA 背中合わせでパフォーマンスするアグレッシブなナンバー「BLAST」を投下した。MCでは10月21日のHEAVEN’S ROCKさいたま新都心を皮切りに4都市2DAYS、8公演(FCイベント含め全12公演)のツアー<wyse Live Tour 2023「IV」>が開催されることも発表となった。

そして最後を飾ったのはwyseとファンの未来に光のシャワーが降り注ぐような名曲「Glorious Story」。4人4様でそれぞれがまっすぐで正直であるがために、壁にぶつかるなど彼らの輝かしいストーリーは決して順風満帆ではなかった。が、逆に言えば、だからこそ、wyseの音楽には妥協がなく、その瞬間瞬間を輝かせ続けてきたのかもしれない。

月森は生声で「ありがとう!」と叫び、TAKUMAは「最高の時間でした。ありがとう。今の世の中、4ヶ月あると何があるかわからないけど、僕らも10月からのツアーを目指して大切に進んでいくから。みんなもいろんなことがあると思うけど、1個ずつ丁寧に頑張って、また一緒に楽しくライブしましょう」とメッセージした。終演のアナウンスが二度流れても、アンコールを求める声は鳴り止まなかった。

取材・文◎山本弘子
撮影◎今元秀明

■<wyse Live 2023 “Clear Sky”>2023.5.21(日)@東京・新宿BLAZE セットリスト

01. ヒカリ
02. 無色の雪
03. Primal
04. Over Drive
05. L.A.S.P.U.P. -Unperformed Performer-
06. Adapt
07. SHA☆LALA
08.月を想うトキ
09. With…
10. J’s Song
11. Like Sewing up
12. Down
13. Calling…
14. MORAL
15. IN THE SADNESS
16. RAYS
17. Clear Sky
18. I believe
encore
19. b’coz I love you
20. BLAST
21. Glorious Story

■<wyse Live Tour 2023「IV」>

▼2023年
10月21日(土) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
10月22日(日) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
11月04日(土) 大阪・OSAKA MUSE
11月05日(日) 大阪・OSAKA MUSE
11月18日(土) 愛知・名古屋 Electric LadyLand
11月19日(日) 愛知・名古屋 Electric LadyLand
12月09日(土) 東京・大手町三井ホール
12月10日(日) 東京・大手町三井ホール
open15:00 / start15:30
※12/10公演のみopen13:30 / start14:00
▼チケット
スタンディング¥6,000(税込)
※東京公演は指定席

■<wyse FC chain 会員限定イベント「Love & Peace 2023」>
【-Evolve-】
10月21日(土) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
【-Flame-】
11月04日(土) 大阪・OSAKA MUSE
【-Catharsis-】
11月18日(土) 愛知・名古屋 Electric LadyLand
【-Glow-】
12月09日(土) 東京・大手町三井ホール
open18:45 / start19:00
▼チケット
スタンディング¥4,500(税込)
※東京公演は全席自由
※入場時にドリンク代別途必要 ※開場・開演時間は変更になる場合がございます。

【オフィシャルFC「chain」チケット先行(抽選)予約受付】
受付期間:5.21(日)19:00~6.4(日)23:59
※エントリーURLはFC会員向けメールでお知らせ

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