【インタビュー】SKYKIDD、「みんなで作った」初の全国流通盤

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■活動を志した頃からの夢

──初の全国流通盤である『milestone』はクラウドファンディングのもと制作されました。無料プランがあることも、目標を金額ではなく人数になさったことも珍しいなと。

SKYKIDD:“コロナ禍で活動を止めないためにも、クラウドファンディングをやってみないか?”というお話をいただいて。僕はあまりクラウドファンディングの知識がなかったし、応援してくれる人を集められるのか不安もあったんですけど、やってみて良かったですね。自分が思っている以上に“音楽をやっている人にとってこの状況は大変だよね”とあたたかい声をかけていただいて。応援が目に見えるのはクラウドファンディングのすごいところだなと思うんです。

──受け手の反応が可視化する良さがある、と。

SKYKIDD:昔の知り合いや、過去にライブをちょっと観てくれたことがある人も参加してくださって。クラウドファンディングをやっていなかったら、そういう人たちの存在に気付けなかったと思うんです。メッセージを送ってくださったり、クラウドファンディングをやっていることを広めてくださったり──これをきっかけに僕の活動を気に掛けてくださる方々が増えた気がします。

──参加者さんには『milestone』の制作状況も逐一報告なさっていたんですよね。

SKYKIDD:そうです。レコーディング見学プランの参加者さんには、ZOOMでレコーディングの様子を配信して、なかなかお客さんに見せられない曲作りの裏側を観ていただきました。アルバムができるまでの過程を共有できたので、みんなで作った作品という感覚が強いですね。CDが売れない時代に僕が盤を出すなんて、応援してくれる人がいなければできなかった。自分のCDがレコード屋さんに並ぶこと、カラオケに自分の曲が入ることは、活動を志した頃からの夢だったんです。それも全部、サポートしてくださる方々、クラウドファンディングを通じて応援してくださる方々の存在があってこそです。

──5曲目に収録されている「ひとりじゃない」という楽曲タイトルどおりですね。

SKYKIDD:そうですね。RYOMAさんがつけてくださったタイトルなんですけど、ソロ活動をスタートさせるにあたってひとりでステージに立つイメージが全然湧かなかったんです。でもSHOTAROさんが作ってくれた曲を歌って、RYOMAさんからいろんなアドバイスをいただいて、グッズのサポートをしてくださっているスタッフさんもいて、お客さんもいる。だからステージに立っているときもひとりじゃないし、僕に関わってくれる人もみんなひとりじゃないよって思うんですよね。「ひとりじゃない」はそのメッセージを込めた楽曲です。

▲SKYKIDD/『milestone』

──そして完成した『milestone』。トラックの幅の広さ、ボーカルアプローチのレンジの広さも特徴的な作品です。

SKYKIDD:SHOTAROさんのトラックはどの曲も世界観が確立されていて、聴いただけですぐ“ラブソングにしたいな”とか“全力で走り抜けていく精神性が出るものにしたいな”みたいにインスピレーションが湧くんです。リード曲の「Freaky Night」もSHOTAROさんにトラックをもらってすぐイメージが湧いて、サビの歌詞をすぐ書いて、こんなにばっちりハマったの初めてというくらいハマりました(笑)。ほかの部分の歌詞はブラッシュアップを繰り返して、夜のダンスフロアを舞台にした曲に仕上がりました。



──SKYKIDDさんは“自分の感情や言葉を等身大のリリックで描くことを大事にしている”とおっしゃっていますよね。

SKYKIDD:だからほぼ実体験で。でも「パーセント」は高嶺の花のような存在の人を好きになったことを想定して書いてます。YouTubeで音楽を聴きながらコメント欄を見ていたら“この曲を聴いてると自分がイケてる人間だと錯覚する”や“デートするときこの曲を聴きたい”というコメントがあって、僕もそれに共感したんですよね。《流行りの曲を 耳に纏って》というのはそこから着想を得た歌詞なんです。自分の曲も、聴いてくれる人のモチベ上げになってくれたらなと思います。

──SKYKIDDさんはメロディを歌うのもラップも、どちらも等しくこなせるボーカリストですよね。どちらかが得意というよりは、どちらも武器になっているというか。

SKYKIDD:ラップ歴のほうが断然短いんですけど、“声質や発生はラップのほうが向いてると思うよ”とRYOMAさんやSHITAROさんにも言っていただいて、自分もそうなのかもしれないなと思います。メロラップっぽいアプローチが多いんですけど、それがいちばん自分にはハマってるのかなと思ったりはしますね。

──「Back to the Basic」はラップのみで構成されています。トラックの浮遊感のあるうわものと、鋭いラップやビートのコントラストがクールな楽曲という印象がありました。

SKYKIDD:これはSHOTAROさんが10年以上前に作ったトラックで、FRONT LINEさんの「Answer」という曲のリメイクでもあるんです。だから歌詞に《目の前にあるそう これがAnswer》というラインを入れています。ヒップホップ要素が強い曲を作ってみたかったので挑戦してみました。ラップを本格的に始めるきっかけになった曲でもありますね。……ラップをやることに対して、先輩から“歌をうまく歌えないからってラップに逃げるな”と言われたことがあるんですよ。その人たちを見返したいという想いが強く込められているので、攻撃的な歌詞にもなってますね。


──「Step into the light feat. RYOMA, 村田綾」も、「Back to the Basic」と同様にFRONT LINEさんからの継承ありきで生まれた楽曲だそうですね。

SKYKIDD:村田綾さんはもともと女優やタレントとして活躍中の方で、過去にFRONT LINEさんとラジオをきっかけにコラボ楽曲を発表していて。僕も3月に配信した「feel so nice / FRONT LINE with SKYKIDD」をNACK5『サンデーライオンズ』の2020シーズンテーマソングに起用していただいたので、ラジオのつながりができて。そういういろいろが合わさって、「Step into the light feat. RYOMA, 村田綾」も村田さんとFRONT LINEさんのコラボ楽曲と近いニュアンスのある曲になってます。

──お話を聞いていると、『milestone』はFRONT LINEの歴史も重なったアルバムでもあるんですね。SKYKIDDさんとRYOMAさんとSHOTAROさんは、アーティストとプロデューサーという関係というよりは、ファミリーなんだろうなと。

SKYKIDD:あははは。チーム感はかなり強いと思います。おふたりのおかげで、自分ひとりでは絶対にチャレンジできないことにチャレンジできているので、本当にありがたいです。今回の作品はいままで自分がやってきたことからだいぶ変化があるし、周りの人から見ても曲のクオリティや方向性もすごく変わっていると思うんです。近い未来にコラボレーションした楽曲のリリースもあるので、今後も『milestone』を軸に違う面を見せていけたらと思います。だからいま、自分にすごく可能性を感じていますね。

取材・文◎沖さやこ

1st Mini Album『milestone』

2020年11月18日(水)
¥2,000(+税) / MRNT-0007
[収録曲]
1. Freaky Night
2. Let’s get it on
3. Back to the Basic
4. パーセント
5. ひとりじゃない
6. Step into the light feat.RYOMA,村田綾
7. Sunrise
8. feel so nice / FRONT LINE with SKYKIDD

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