【連載インタビュー #3】叶~Kanae~、新曲「遠距離恋愛」を語る「“大丈夫、あなたは輝いてる”ってエールを贈りたい」
■メロディや歌詞とマッチした音
■イメージは木の温もりです
──さっき、遠距離恋愛をしたことがあるという話をしてくれましたが、叶~Kanae~さん自身の経験が落とし込まれた箇所もありますか?
叶~Kanae~:“離れたくないねと もう一度言うね”っていうところですね。久しぶりに会って帰りたくないんだけど、夜行バスで帰らなきゃいけない彼を見送ったときのことを思い出したり。
──ちなみに距離はどれぐらい離れていたんですか?
叶~Kanae~:奈良と東京でした。彼に「気をつけてね」と言ったらバスの運転手さんに「彼は乗ってるだけだけど、こっちが運転を気をつけなきゃね」って笑って言われたりとか(笑)。
叶~Kanae~:はい! 何人かの友達とZOOMでやりとりしているときに歌ったら「素敵だね」って。音源はこれから聴くと思うので反応が楽しみですね。
──お友達に捧げた歌でもあり、遠距離恋愛している女のコにエールを送る歌でもあるのかな?
叶~Kanae~:まさにそうです! 彼のSNSをパトロールして不安になっちゃう人もいるかもしれないですけど、“心配しなくて大丈夫だよ。あなたはとっても輝いてるから”ってエールも送りたかった。
──叶~Kanae~さんの声と温もりのあるサウンドの相性が抜群ですが、リクエストしたことはありましたか?
叶~Kanae~:ギターのナチュラルな音とアルトフルートを入れたかったんです。アレンジャーの佐々木久夫さんが「カントリーっぽい雰囲気を出してみました」って言ってくださったんですけど、イメージは木の温もりです。普通のフルートだとちょっと音が高すぎると感じて、初めてアルトフルートを取り入れたんですが、メロディや歌詞としてマッチして大正解だったと思いました。
叶~Kanae~:最後の夏を演出したくて、“色”をコンセプトにしたんです。ライブのタイトルが“青月”なので、書き下ろした新曲「3時13分」はバックの映像も衣装も“青”で統一したんですが、夏って空がいろんな色に変わるイメージがあるので、新曲にも空が出てきたり、「Orange Colored Sky」というジャズのスタンダード曲をカバーしたりとか。あとは第二弾配信曲の夏ソング「ぼくのブルーベリーパイ」にも“オレンジ色に染まる君がきっと美しいから”っていう歌詞が出てくるんですね。そういうところにこだわってセットリストを組みました。今年はコロナ禍で夏祭りも花火大会もなかったから、綺麗な季節を表現してみんなに届けたかったんです。
──「3時13分」は見せ方も新しい試みでしたね。
叶~Kanae~:はい。地球とか宇宙をイメージした映像をプロジェクターに映して、初めてウィスパーボイスで歌った曲です。それと最近、ミュージシャンの方が一発録りした動画がアップされているYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』が気になっていたので、この曲だけはヘッドホンをして、“こういう感じで歌を録ってます”っていうレコーディング風景をみなさんに見てもらえたらなと思って歌った曲です。
叶~Kanae~:はい。家が厳しかったこともあって、私は10代の頃から結婚しないほうが自分の家は円満なんだと思っていたし、自分が本当にやりたいことを願うことすらあきらめていたんですね。でも、この曲を書いているときに前に付き合っていた人のことを思い出して“あのとき私は、家庭を持ちたいって思っていたんだな”って。
──心の底では結婚したかった?
叶~Kanae~:はい。自分で本音を押し殺していたんだなって気がついたんです。なかなか本当のことって人に言えなかったりするじゃないですか? 特に日本ではそうなのかもしれないけれど。
──言語自体、グレーな表現が多いですし。
叶~Kanae~:確かに(笑)。相手に合わせる傾向があるけど、曲を書いているときは自分の本音を表現していいんだなって確信できたのが「3時13分」だったんです。そのときに“私はあなたの瞳に映る最後の人になりたい”と思ったので、そのまま歌詞にしました。
──叶~Kanae~さんにとって大きな意味を持つ曲なんですね。
叶~Kanae~:ええ。歌詞の書き方も今までと全然違うし、ちょっとスケールの大きい曲ですね。自分が幸せになることで、まわりの人にも波及していくようなイメージで書いた曲です。
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