【レポート】叶〜Kanae〜、新月の無料配信ライブ第一弾で「目線を合わせることは、心を合わせること」
叶〜Kanae〜が2020年7月より、奇数月の新月の夜に無料生配信ライブをレギュラー展開中だ。その第一弾が実施されたのは7月21日。スタジオからアットホームな雰囲気とともに届けられたライブは、叶〜Kanae〜ならではの温かな時間だった。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
◆叶〜Kanae〜 画像
19時を少し回った頃に、配信ライブ<文月〜ピアニスト〜>がスタートした。緊張感が表情と声から少しだけ伝わってくるものの、飾らずありのままの言葉を紡ぐ叶〜Kanae〜がいつものように語りかけるというオープニング。寄せられるコメントを見ては嬉しそうな笑顔を浮かべ、最初の曲「ピアニスト」から配信ライブが幕を開けた。
「ピアニスト」は6ヵ月連続配信リリースの第一弾新曲であり、まさにこの日から配信がスタートしたばかり。ライブ初披露ならではの張り詰めたテンションが歌い出しに漂ったものの、その空気感を自らの歌声がかき消していくように伸びやかだ。そして、人を思う気持ちが詰まったこの曲が、そっと空間に染み込んで優しく広がっていく。
歌い終えた叶〜Kanae〜がはにかみながら、まるで目の前にいる人と直接会話をするように画面に語りかけた。視聴者のコメントを見逃さないように一生懸命追いかけては答えていく。
続いて「スマイルキャッチャー」「風音」「Gitanes and Jane」といった3曲を楽しそうに、嬉しそうに歌い上げる叶〜Kanae〜の姿には、最初の緊張感なんてまるでない。クリアで伸びやかな歌声はそっと包んでくれるような歌詞の感情を雄弁に伝え、歌うことが本当に楽しいと伝えるような笑顔がすべてを明るく照らしてくれる。そしてMCへ。
一つ一つの質問に真摯に答えていくコーナーでは、どんな言葉も聞き逃さずに自分の気持ちを伝えていく叶〜Kanae〜。さらには、新型コロナウイルスの影響で起こった仕事の変化、自身の感情を一言一言、慈しむように話し出した。「目線を合わせることは、心を合わせること」とは「目線シャッター」を歌う前に叶〜Kanae〜が語った言葉だ。オンラインライブではあったとしても、一対一の対話。この夜のライブを貫く核のようなひと言でもあった。
「Tokyo Train」では、薄く透明なガラスのように繊細な歌声だからこそ、それに心が共鳴して振動するようなワンシーンを描き出した。しかし、MCでは再びほっこり。次回の配信スケジュールを紹介した場面では、視聴者コメントの指摘どおり、画面の前で皆がメモを取っている姿が目に浮かんで、自然とみんなが笑顔になったはずだ。
代表曲「低気圧ガール」は自身の楽曲のなかでも最もRock色の強いナンバーだ。今回はピアニストの伊藤辰哉のアレンジに乗って、POPで軽やかに歌い上げる。まるで森の中の隠れ家で行われているパーティーを覗いているような世界感は、夕暮れ時のオレンジの空がゆっくりと紺碧に染まり、月が少しずつ姿を露わにするように時が進む。そんな優しい空間だ。そして叶〜Kanae〜の歌声は“こっちにおいでよ。一緒に歌おうよ”と呼びかけるような包容力と力強さを持っている。
ラストナンバーは2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに生まれた「始まりの旅」だった。音源未発表曲であり、ライブでもほとんど披露されたことがない幻の楽曲が、ウクレレで弾き語られる。しっとりと歌い上げた叶〜Kanae〜は、最後に笑顔を見せた。パニック障害を抱えながら笑顔を絶やさず、ひたむきに生きている彼女だから歌うことができる楽曲だ。ライブ前に見せた無邪気な彼女を思い出して、胸が熱くなった。
慌ただしい時間帯にも関わらず、都会の喧騒とは全く別の心地よい時間を共有した1時間が、あっという間に過ぎ去った。後ろ髪を引かれながら、次なる配信リリースと、9月17日に実施される配信ライブ第二弾を楽しみに待ちたい。
■無観客無料配信ライブ<青月〜だれかさん〜>
※毎月奇数月開催 (2020年)
https://www.youtube.com/watch?v=zLcvyPuJC0g&feature=youtu.be
■6ヶ月連続新曲配信リリース
2020年9月17日(木)配信リリース
01. だれかさん
▼第二弾「ぼくのブルーベリーパイ」
2020年8月19日(水)配信リリース
01. ぼくのブルーベリーパイ
▼第一弾「ピアニスト」
2020年7月21日(火)配信リリース
01. ピアニスト
http://kanae-ocr.com/discography/