【レポート】ASH DA HERO、生配信ライブ2日目＜LOVE＞に「ありったけの愛を込めて」

ASH DA HEROが毎年恒例で開催する＜ACOUSTIC NIGHT＞。今年は新型コロナウイルスの影響によって、SHOWROOMでの無観客配信ライヴという形になった。昨晩8月15日には、その初日である＜LIFE＞を行ない、自粛期間中に書き上げた新曲なども含め、アコースティックアレンジで10曲を披露。オンラインライヴであるものの、音楽でつながり合う素晴らしさや感動をみんなで共有する一夜となった。

◆ASH DA HERO 画像

今夜は＜ACOUSTIC NIGHT＞の2日目である＜LOVE＞。初日とタイトルが異なっていることから、テーマや内容も変えたライヴになるはずだ。

SHOWROOMのライヴ会場には、開場直後からオーディエンスの分身であるアバターが数多く集結。今夜のステージへの期待とワクワク感がコメントで流れ続けていた。すでに気持ちがつながり合ったオーディエンスたちの愛が充満するライヴ会場だ。


19時ジャスト。バンドのギタリスト香取真人によるアコースティックギターのコードストロークが開幕の合図だった。そこに絡むのは、Satoのメロディアスなアコースティックベース。さらにICCHANのドラムフレーズと、カオルの弾くオルガンの音色が加わると、その立体的なバンドサウンドはこちらのイマジネーションを刺激し、壮大な風景も描き出す。センターに座っていたASHは立ち上がり、アコースティックギターをストロークしながら歌い始めたのは「ALIVE」。通常のライヴでは後半やエンディングで披露されることも多いのがこのナンバー。オーディエンスのコーラスも自然に生まれる曲だが、今夜は一人ひとりが画面の向こう側で口ずさんでいるはず。再び生のライヴでASHと一緒に歌えることを強く願いながら。

「＜ACOUSTIC NIGHT＞へ、ようこそ。今夜はDAY2＜LOVE＞、ありったけの愛を込めて…」

オンラインで観るオーディエンスに挨拶して、曲は「THIS IS LOVE」へ。アコースティックアレンジにありがちなしっとりした雰囲気をまとったものではなく、イントロから壮大なコーラスも広がり、ポジティブなエネルギーを放ちながら歌うASH。視線にも力が入る。その姿はでっかい愛情で、観ている一人ひとりを抱きしめているようにも見えた。かと思えば、座りながら歌うバラード「Rain」では、優しく繊細な男の一面もにじみ出る。また＜ACOUSTIC NIGHT＞で恒例のカバー曲では、尾崎豊の「I LOVE YOU」も披露。アコースティックアレンジしたそれぞれの曲で、ブルースやソウル、ジャジーなシンガーとしての顔なども見せながら、心のひだに沁みる歌を聴かせていく。


「今夜はテーマが愛。1日目＜LIFE＞、そして2日目＜LOVE＞、この2つのテーマは実はASH DA HEROそのもののテーマじゃないかって思うんですね。ときには自分の人生をえぐり出してブルースを歌ったり。そしてときには何か得体の知れない、でも絶対に忘れてはいけない、誰しもが必ず持つことができて、でも誰しもが失ってから気づいたり、忘れてしまいそうになる愛を歌ったり。今年の＜ACOUSTIC NIGHT＞は、僕自身もASH DA HEROというものを、もう一度、知るきっかけになれた2日間になっているんじゃないかって思ってます」

そこから続く「バラッドを君に」では、アコースティックギターを一人弾きながら、大切に思う君へ手紙を綴るように、愛を伝えるASH。ラヴソングでここまで酔わせてくれるシンガーは、そうそういない。気持ちの込め方と歌のうまさに、心を奪われっぱなしだ。また自粛期間中に思ったことを歌にした「ロストワールド」では、世の中を俯瞰しながら、絶対になくしてはいけない愛、その大切さと喜びも歌い上げる。このアコースティックバージョンこそ、実は本当の形だったんじゃないかと思うぐらい、歌詞に込められた思いとアレンジが共鳴し合う「BABY GOOD NIGHT」にもしびれた。素晴らしい歌と演奏と新鮮な感動が、絶えることなく続いていくという、とんでもなく贅沢なライヴでもある。


そしてライヴ後半のこと。自粛期間中にTwitterのASHフォロワーと一緒に作った「One」では、観ているファンがASHと共に歌うように、歌詞を書き込んだコメントが連なっていく。無観客ライヴではあるが、それぞれが画面を通して、音楽やライヴでつながり合う喜びもそこに溢れていた。この幸せな気持ちこそ、ASHからのLOVEだろう。

メンバー全員のゴスペルのようなハーモニーも披露した「HERO」を感動的に聴かせ、今夜、最後の曲としてASHが選んだのは「Everything」。音源ではストリングスやコーラスがフィーチャーされているが、今夜はアコースティックアレンジであってもスケール感がでかい。

それを作り出しているのはASHの優しさや愛。

昨日の＜LIFE＞で明かされたが、小学生のころには生きるのを諦める直前まで行くほど酷いイジメを受けていたASH。過去にそれだけ辛いの経験を持つ人間だからこそ、今、人に対する優しさはハンパじゃない。悲しみも涙も全て受け止め、愛情と笑顔で返してくれる。自らHEROと名乗るASHは、普段からそういう男だ。今夜、このライヴを通して、改めてASH DA HEROの歌と彼の人間性に惚れ直すことにもなった。


「この2日間、新しい形でのライヴだったんですけど、なによりもライヴをやれたことが、本当に嬉しいです。また必ず、一緒に笑顔でライヴハウスに帰ろうね。これからいろんな日々が続くと思うんですけど、それぞれの＜LIFE＞、それぞれの＜LOVE＞を忘れずに、未来へ一緒に歩んでいけたらなと思っています。おやすみなさい」

なお、生配信を見逃した方も、配信LIVEチケットを購入することで、8月17日〜24日の期間中毎日19時から、初日“LIFE”と2日目“LOVE”のライヴ模様をSHOWROOMのアーカイブ配信で楽しむことができる。何度観ても感動がそこにあるはずだ。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎進藤景太