【ライブレポート/インタビュー】Day1はミュージシャンとパフォーマーの異種格闘技フェス!<17 ARTIST LIVE>
■<17 ARTIST LIVE Supported by Zepp>Day1 優勝者
■samu.world.36 インタビュー
今回「17LIVE(イチナナ)」史上初めて出場ライバーを Player Day、Singer Dayに分け、2日間に渡って開催された<17 ARTIST LIVE Supported by Zepp>。ここでは1日目のPlayer Dayの人気投票において見事優勝を獲得したsamu.world.36のインタビューをお届けしよう。Player Dayの出演ライバーのなかでも、いろいろな意味で“異彩”を放ち、インパクトあるダンスで人々を魅了、パフォーマンスを通してメッセージを発信し続けていたsamu.world.36。彼があのライブで、さらにはこうして勝ち取った優勝者インタビューを通して、世の中にどうしても伝えたかったメッセージとは。
◆ ◆ ◆
■自分と同じような性別の人たちに勇気を持って欲しい
■ちょっとでも伝えるために、ちゃんと伝えるために、ガチで挑む
――まずは優勝した感想を聞かせて下さい。
samu.world.36(以下samu.):めちゃくちゃ嬉しいです。ここまで応援してもらえるなんて本当に思ってなかったので、両性愛者という性別でもここまで応援してもらえたのは感謝しかないです。
――当日のパフォーマンスはどんなコンセプトで挑んだステージだったんですか?
samu.:1番はいままで応援してくださった、お世話になったすべてのみなさんに向けてのお礼ですね。プラス、自分のことを知らない方に「この人は踊ってる人でこういう踊りをする人なんだ」というものが伝わるもの。
――踊るとき、他のイチナナライバーさんの楽曲を使っていたところは新しいなと思ったんですが。
samu.:そうですね。みんな自分の曲を使うと思うんですけど、私は自分の曲は1曲だけで、あとは知り合いで仲良くしてもらってるライバーさんの曲を使わせてもらいました。頑張ってるライバーさんって素敵だなと思うんで、こうして私が曲を使うことで、自分だけじゃなくて他のライバーさんも知って欲しいという気持ちで使わせていただきましたね。
――心温まるお話。ちょっと感動しました。当日オープニングで踊っていた「stop」はライバーさんの曲なんですよね?
samu.:仲良くしてもらってるDJフミヤさんの曲ですね。最初のドラムロールで幕が開いて、“stop”っていってところで「みんな、これから始まるから止まってSAMU.のことをしっかり見て!」という思いでこの曲はパフォーマンスしました。
――「mind」もライバーさんの曲ですか?
samu.:はい。この曲は初めて聴いたとき、ダークファンタジーな世界に入ったような気がして、すぐこの曲で踊りたいと思った曲なんです。イメージ的には、一人ぼっちの男の子が暗いところにいて、そこから頑張って光に向かおうとしてるというコンセプトで踊りました。
――そんなストーリーを頭で描きながら踊ってたんですね。
samu.:はい。僕は曲に対して思いがあって踊ってるからそうなるんだと思います。ただ踊ってるだけではないんです。そこに気持ちがこもってないと、観てる側は感動しないですから。
――samu.さんに釘付けになったのって、まさにそこなんですよ。なかでも「私にとって大切な曲です」といって披露した「アヤマチ」さんの曲は、めちゃくちゃ引き込まれました。
samu.:こちらは私の想いがあって、私の同級生の友達と作った曲なんですけど。これができたとき、僕は曲を聴いて泣いちゃったんですよ。だから、あの日踊ってるときも泣きそうになりながら踊ってたんです。
――エモーショナルな感情を放出しながも、これを踊ってるときのsamu.さんは動きや表情で男性に見えたり女性に見えたりして。そこがなによりも素敵でした。
samu.:うわー、すごい伝わって嬉しいです。これは2つの性別を出そうと思って踊ってたんですよ。最初は男で、サビに向かう途中に女になっていくんですけど。曲のなかに“狂わせた光景”というのがあって。私、中学の頃まではいじめられてたんで、それが狂わされた光景なんですね。でも、そんな光景しか見えなくても大丈夫、強くなれる。ありのままでいいんだという想いで作ったものなんです。
――そうやってもがき苦しみ、生きてきたsamu.さんの人生が、こちらに訴えかけるような表情からもすごく伝わってきました。
samu.:配信をやってても、表情が豊かなところはリスナーさんにすごく褒められる部分なんですが。それは、私のなかにこの世に訴えかけたいことがあるからだと思います。
――一番最後に踊った「自分を信じて」は、まさにsamu.さんの訴えかけたいメッセージがそのまんまつまったような曲でしたよね。
samu.:はい。これはくにっしーさんというライバーさんの曲なんですけど。17LIVEにはVS機能が付いてて、それを通じてくにっしーさんとはつながったんですよ。そこでくにっしーさんに「なにか歌ってもらっていいですか?」といったときに歌ってくれたのがこの曲で。「うわ、これ自分のことじゃん!」と思ってものすごく感動して。絶対にこれは踊るべきだし使うべきだと思って、一番最後に使わせてもらいました。僕、最後の最後にカメラを引っ張るようにして踊ったんですけど。そこは自分を信じて強く生きていって欲しいというメッセージを投げかけながら踊りました。
――もうね、観ていて想いが伝わってきて泣きそうになりました。
samu.:ありがとうございます。僕のような両性愛者って、まだ日本には広まっていないので、それをこの17ARTIST LIVEを通して広めたかったんですよ。自分と同じような性別の人たちに勇気を持って欲しいんですよね。私、中学の頃は全然勇気がなかったんですけど、高校に入って年齢を重ねていくごとに、もっと自分を出していけばいいんだって思えるようになったんですね。海外には目指すモデルはいても、日本にはまだ私のような両性愛者の理想像とするモデルがいないんです。自分は今回、“ダンス”という武器を使って世の中にはこういう性別の人間が存在していて、両性愛者でも自分に自信を持って生きていけばいいんだよというのをちょっとでも伝えられたらという思いで、このライブに出たんですよね。
――samu.さんには今回のライブを通して、届けたいメッセージがあったんですね。
samu.:そうなんです。これは公式配信でもいったんですけど、だからこそ今回の17 ARTIST LIVEはガチで挑んだんですよ。それで、優勝者はインタビュー記事に載るというのがあったんで、僕はそこで性別のことを世の中に訴えかけようと思ってたんです。
――ではそんなsamu.さんの生い立ちから現在に到るまでを探っていきたいと思います。samu.さんはハーフなんですよね?
samu.:そうです。お母さんがフィリピン人でお父さんが日本人です。生まれたのはフィリピンで、育ちはフィリピンと日本、2国を行ったり来たりしてるんですよね。だから、フィリピン語と英語、日本語の3ヵ国語話せる感じでございます。
――どんな子供だったんですか?
samu.:僕は明るい子でした。でも、日本に来たとき、日本語がすごく難しくて話せない。プラス小学校2、3、4年生になると性別に対していろんなことを抱くようになって。自分自身、これはダメなことなのかなと思ってしまったり。あとは周りから冷やかれるようにもなって。そういうのでどんどん自信のない子になっちゃいましたね。でも、本当は明るい子で、ダンスもすごいやってました。
――最初にダンスに興味を持ったきっかけはなんだったんですか?
samu.:気づいたらやってました。聞いた話では私は3歳から踊ってたらしいです。でも、一番きっかけとなったのはレディー・ガガですかね。あとはリアーナ。その2人の音楽で「踊りたい!」って気持ちが芽生えたんですよ。小学1年生の頃なんですけど、その頃流行ってたガガの「Bad Romance」とか「Paparazzi」とか聴いて「なにこれ、踊りたい」という気持ちが強くなって。ガガで一番好きなのは「Born This Way」なんですけど。この、ありのままに生きるというのいまでも聴くと泣いちゃうんです。ものすっごく響きますね。そのなかでも“It doesn’t matter if you love him, or capital H-I-M”のところからは、あなたはゲイでもバイセクシャルでもキリスト教でも関係ないよというのをすごく感じました。それが小学3〜4年ぐらいかな。
――もしこういう曲たちに出会わなかったら?
samu.:自分は踊ってないかもしれないです。だから、ガガの曲に救われたといってもいいかもしれないです。
――ではガガ、ダンスで救われたsamu.さんは、どうやって自分のセクシャリティーを肯定できるようになっていったんでしょうか。
samu.:子供の頃から気づいてはいたんですけど、それを認めたくなかったんですよ。両親もそれについて認めてなかったので「お前は男なんだ」ってずっといわれてきて。高校2年生のときに、自分はとうとう家出をしてしまったんですよね。両親はすごく心配して、警察とかもきたりしたんですけど。それで、自分が家に帰ったとき、両親から「分かってたけどちゃんといって欲しかった」といわれたんですよ。私は本当は高校を卒業してから両親にはカミングアウトするつもりだったですけど、それでいうタイミングがちょっと早まっちゃって。そこから、人生の価値観がガラッと変わって、全然世の中が怖くなくなりました。メイクもやりだしたりして、誰の前でも堂々と両性愛者だっていえるようになりましたね。家族よりも先に、高校では高1の頃から「お前、男好きだろう」っていわれたら「そうだけど」とはいってたんですけど。みんなの前で両性愛者だっていえるようになったのは、さっき話した高2で価値観が変わって以降ですね。
――一番大変だったのはいつ頃でしたか?
samu.:小学校5〜6年から中学の頃ですかね。中学の頃は恐れながら学校に行ってました。男の軍団とか女の軍団がいると「外国人だ」、「おかまが来た」とか「ゲイが来た」とかめっちゃ見られて冷やかされてたんで、すごい端っこのほうを歩いてました。いまだにトラウマになってます。その当時のことは。
――そんな大変な思いをしながら中学までを生き抜いて。そのsamu.さんが高校で「男好きだろう?」といわれても「そうだけど」といえるぐらい少し強くなれたきっかけは?
samu.:担任の先生に人生で初めてカミングアウトをしたんですね。すごい苦しかったんですよ。高1の頃。その頃は親の縛りつけも強かったので、リストカットのような自殺行為もしたことがあって。あまりにも辛すぎて高校の担任の先生にカミングアウトしたら、その先生が受け止めてくれたんですよ。「別にそういう子がいてもおかしくないし、それも一つの個性だよ」、「自分のありのままで大丈夫だよ」とすいってくれた。そこで一つ強くなれたんです。学校自体も偏見がないところで、そんなに親しくない友達でも「samu.ってどっちなんだろう?」って聞かれると「samu.は男でも女でもなくsamu.っていう性別だよ」っていってくれるような感じだったんですよね。
――そこは恵まれましたね。そうして、高2からは家族も含めて、みんなに対してありのままの自分でいられるようになったと。
samu.:そうです、そうです。
――その頃、将来はなにになりたいと思ってたんですか?
samu.:子供の頃からタレントか料理人になろうと思ってたんですよ。僕は子供の頃から料理がすごく好きで。いまも家族の料理とか家のお掃除は両親が共働きで忙しいので、主に私が担当してるんですよ。だから、将来は料理人になろうと思ってたんですけど、それと並行してタレントを目指してダンスのレッスンを受けたりしていて。そのなかで、このコロナのお陰で17LIVEに出会うことができたんですよ。
――どういうことですか?
samu.:スカウトして頂いたんです。タレントを目指して頑張っていたところを。最初は信じてなかったんですけど、自分がこういうことを訴えたい、苦しんでる人たちを救いたいという気持ちのほうが勝っちゃってやるようになったんです。そもそもライブ配信なんて全然知らなかったですからね。17LIVEに出会ったことで、私の人生は180度変わりました。
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