【連載インタビュー #1】叶~Kanae~、パニック障害を持つシンガーソングライターが歌う理由「伝わるってこういうこと」
■居場所は家庭や学校だけじゃない
■それを伝えられる場を作るのが夢
──未来の展望がだんだん開けてきたのが専門学校時代なんですね。
叶~Kanae~:そうですね。ただ、その当時、私と同じように精神的な疾患を抱えている2人と出会って、親友だったんですが、卒業後にたて続けに亡くなってしまって……。2人とも人間関係に悩んでいて、その話を聞いていたので、救えなかったという気持ちは、いまも自分の中に残っています。理解してほしいのにうまく自分の気持ちを表現できないから感情的になってしまうことも自分はわかるし、普通の人がスムーズにできることがなかなかできなかったりするんですよね。例えば結婚していたとして、忙しくてゴハンが作れなかったりすると「ごめん。今日、コンビニのゴハンでいい?」って言えなくて、自分をすごく責めてしまったりとか。責任感が強くて優しいコたちだったんですよね。
──真面目だから、“まぁ、いいか”って思えないんですよね。
叶~Kanae~:そうなんです。音楽で伝えたいことがなかったら、私も同じ道を選んでしまったかもしれないと思いました。
叶~Kanae~:はい。その友達も「ふだんは眠れないけど、叶~Kanae~ちゃんの歌を聴くと眠れるんだよ」って言ってくれていて、親友を2人失ったことで、一層そういう想いが強くなりました。
──アルバム『SPICA』(2017年1月)を聴かせていただいたとき、叶~Kanae~さんは誰か大切な人を亡くしたんだろうなと感じました。
叶~Kanae~:親友への追悼の意味をこめて作ったのが『SPICA』なんです。私の声を聴くと落ち着くと言ってくれたことがいまも原動力です。現在も不安に襲われることはありますけど、振り返ってみたら私には「趣味を見つけたら?」って言ってくれた先生もいたし、怒ってくれた友達にもいた、好きな道を選ばせてくれた両親にも感謝だなって。
──最後に、叶~Kanae~さんの今後の夢を教えてください。
叶~Kanae~:心を通わせられるのが音楽だと思っているので、これからも人に寄り添える曲、“ありのままでいいんだよ”って伝えられる歌をつくって歌っていきたいですね。それと、居場所がないと思っているコたち……私のように不登校だったり、ひとりで悩んでいるコたちが安心していられるような音楽ルームをいつか作りたいんです。私が歌を教えたり、ミュージシャンから楽器を教わることができたり。居場所は家庭や学校だけじゃないっていうことを伝えられる場を作るのが夢です。
取材・文◎山本弘子
撮影◎そらいなおみ
■無観客配信ライブ<文月〜ピアニスト〜>
※毎月奇数月開催 (2020年)
https://www.youtube.com/channel/UCPlde6GV3NAZzTAc6MVLN9g
■6ヶ月連続配信リリース第一弾「ピアニスト」
01. ピアニスト
※6ヵ月連続新曲配信リリース
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