【インタビュー】wyse、TAKUMAが語る充電完了後の初アルバム「励みや支えになるものを届けたい」
wyseが5月20日、3年ぶりのオリジナルアルバム『Thousands of RAYS』をリリースした。音楽番組『バズリズム02』5月度エンディング曲としてオンエア中の「Last Letter」は、そのミュージックビデオを野性爆弾のくっきー!が楽曲イメージに合わせて絵画を描き下ろすなど、アルバムの話題性が高まりをみせているが、注目すべきは、そこに込められたメッセージの深さとサウンド面の充実ぶりにある。
◆wyse 動画
充電完了のアナウンスとほぼ同時に配信リリースされた「RAYS」や、21周年記念ライブで披露された新曲など全11曲を収録した本作は、世界が出口を模索する時代やいまを生きる人の心に光を当て、温かさを灯すようなアルバムに仕上がった。また、5月23日と31日には<Thousands of RAYS ZERO>と題して、無観客ライブの生中継 “LIVE STREAM”実施が発表されるなど、新型コロナの影響で中止となってしまったレコ発ツアーだが、その先の新展開も提示。煌めくメロディとメッセージに磨きをかけるバンドのいまについてwyseのTAKUMAに話を訊いた。
◆ ◆ ◆
■今回はメロディがしっかりあって
■メッセージが残る曲にしようよって
──“#StayHome”期間中はどんな日々を過ごしていますか?
TAKUMA:今年に入って、2月からずっとアルバムのレコーディングをしていたんですけれど、そんな中、日本でも新型コロナウィルスの感染が広がって…。なので、4月中旬くらいまでは家でレコーディング作業を。レコーディングが終わってからは、トレーニングしたり、料理したり、普段できなかったことをやってみたりしながら時間を使っていました。
──普段できなかったこととは?
TAKUMA:料理にしてもそうですが、そもそもゆっくりした時間がなかったので。あとは部屋の模様替えをしてみたり、観る時間がなかった映画をDVDなどで観賞したりとか。
▲TAKUMA (B, Vo) |
TAKUMA:そうですね。でも、そういう日々の中、自分たちが表現することが制約されていって、音楽から遠ざかっていく気がして…。“このまま音楽から離れてしまうのかな”っていう気持ちが生まれたりもして。そんなこともあって仲間と作った曲をTwitterにアップしたり。
──ソロでオンラインライブもしていますものね。
TAKUMA:これまで通りのライブをするのが厳しい状況だし、特にお世話になってきた、顔が浮かぶライブハウスの方には特別な想いがあるので、そしてそれは自分のファンのみんなに対しても同じ気持ちで。新しい形でなにかやることで上手く転がることはないかなって。これまでと違うことをやって感じられることがあったらプラスだなと思っていますね。
──そんな日々の中、2月の充電完了ライブでいち早くファンにアナウンスした3年ぶりのオリジナルアルバム『Thousands of RAYS』がリリースされますが、制作に入る前にメンバーと共有したことは?
TAKUMA:充電完了発表と同時にクリスマス公開を目指して、去年9月から曲作りを始めて「RAYS」を配信したわけですが。同じタイミングで「暝色」「雨上がりの空」「Parasite City」の4曲を形にしたことは以前のインタビューでお話しましたけど、実はそれ以外にも10曲以上作っていたんです。とはいえ、それらの曲でアルバムを構成する考えはなく、4曲で一度区切って、そこからまたアルバムに向けて新しい曲を作り、構成を立てるという流れでした。結果、今回は特に制作のスピードが求められていることもあって、アルバムは僕とMORIが作った曲で構成されているんです。
──HIROさんも今作では曲を書いていないですものね。
TAKUMA:たぶんギターリフだとか、曲の断片だとかはあったと思うんですけれど、HIROも今回は「TAKUMAに委ねるよ」って言ってくれたんですね。そこからMORIと2人で、お互いにどんな曲を書くか話し合って、そういう意味では全員が信頼しあった上で進行していきました。
──曲の振り分けについては、たとえばアップテンポをMORIさんが担当するとか、どんな感じでやりとりしていったんでしょうか?
TAKUMA:まず、すでにライブでも披露している4曲は収録することを決めていたので、残りの曲について「MORIは何曲書けそう?」「TAKUMAはどんな感じ?」「俺は頭の中にあるものをゼロから作る感じ」っていう会話から始まりました。MORIはタッチが強く勢いのある曲を書くイメージがありますけれど、「今回はメロディがしっかりあって、メッセージが残る曲にしようよ」って話をして。MORIがwyseに書いてきた曲の延長とはちょっと違うテイストの曲がいいって、メンバーと話しながら曲が生まれていきました。4曲がバラエティに富んだ曲調なので、その上でどんな曲が必要だろう? どんな曲をやりたい?っていうところから始まったし、東名阪ツアーが発表になったタイミングでもあったので、バランスも考えて、いま入れるべき楽曲をチョイスしていった感覚はあったかもしれない。
──そうだったんですね。「RAYS」に“この光 幾千は合わさってひとつへ”という歌詞が出てくるので、アルバム『Thousands of RAYS』というタイトルと繋がっていると感じたのですが。
TAKUMA:そうですね。全ては僕らが充電期間に入ったところからスタートしていると思うんです。その期間に感じたことが曲になって、選ばれたのが「RAYS」だったので、アルバムの主軸になる曲ではありますね。
──コズミックでダンスなインストナンバー「Moon Dance」から「RAYS」に移行する流れがアルバムのアートワークとピッタリだなと思いました。
TAKUMA:2月に恵比寿LIQUIDROOMで開催した21周年ライブ<wyse 21st anniversary live「RAYS」>で、物語の序章という意味合いでオープニングSEとして作ったのが「Moon Dance」。最初はアルバムに収録する予定はなかったんですが、CDを再生したときに、この曲から始まるとワクワクするでしょ? 映画にたとえたら冒頭のシーンみたいな。
──そうなんですよね。「Moon Dance」で幕を開けて、「未来」という感動的な曲で幕が閉じるのも映画のエンディングみたいだなと感じました。
TAKUMA:ありがとうございます。
──先ほど4曲がヴァリエーションに富んでいるという話をしてくれましたが、アルバムの曲順はどういうふうに考えていったんですか?
TAKUMA:もともと先の4曲がアルバムを意識して作ったものではなかったので…。全曲どれも個性的ですし、並び順はかなり考えましたね。それぞれが潰し合わないように、お互いの曲を活かしあって曲を並べたときにメッセージがちゃんと伝わるものにしたいなと。
──さまざまなタイプの曲が収録されつつ、ミドルチューン「雨上がりの空」から青空が見えるポップなダンスチューン「SHINING DAY」に移行する中盤も景色が“空”というワードで繋がっているなと。
TAKUMA:その2曲はおっしゃる通りで、真っ白なページを彩るように生きていきたいねっていうメッセージがあって。そして最後に「未来」で終わることでアルバムをリピートできる。次へと向かうメッセージを大事にしたかったので、そこに気づいていただけると嬉しいですね。
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