【コラム】リモート楽曲制作/演奏の実験性が面白い 〜BARKS編集部の「おうち時間」Vol.010
先ごろ公開したフルカワユタカ連載コラムの一節に、「緊急事態宣言を受けてウチの事務所は、全てのアーティストに対して自宅以外からの発信を原則的に禁じた」とあった。
◆「おうち時間」動画
これは新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言を受けてのもので、同宣言以降、無観客ライブ配信や、複数人数が同じ場所で出演するようなトーク生配信番組の開催延期発表が相次ぐなど、音楽業界全体がさらに慎重な方向へ動き始めている。感染拡大の状況悪化を鑑み、メンバー、スタッフなど、関係するすべての人々の安全を第一優先に考慮しての決断だ。
しかし、アーティスト自身から発信されるメッセージは止まらない。“不要不急の外出自粛”や“密閉 / 密集 / 密接といった3密からの回避”上等。緊急事態宣言以前より、“#うたつなぎ”をはじめとする自宅等でのアカペラや弾き語り動画が心をつなぎ、閉塞感を木っ端微塵に吹き飛ばす。また、歌(とギター)のみという装飾を取り払った表現方法は、言葉と旋律が浮き彫りにされて真っ直ぐに豊かに響き、心に空いた穴を満たしてくれるようだ。
さらには、テレワーク/リモートワークを利用した楽曲制作や楽曲披露の動きが面白い。以下にご紹介する動画は、外出自粛が求めらる現状を受けて、複数人がそれぞれ離れた場所──つまり、注目すべきはオンラインのみでグループ演奏や楽曲制作を実施している点にある。アーティストの実験精神や、発信されるメッセージは尽きることなく、それ自体がアートそのもの。新たな発見もそこかしこにある。ちなみに冒頭に記したフルカワユタカは、ファンコミュニティアプリ『fanicon』内で生配信を行うため、現在自宅の音響環境を整えているとのことだ。こちらもお楽しみに。
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▼奥田民生 映像『カンタンテレタビレ』
“レコーディングの楽しさを宅録スタイルで届ける”シリーズ映像『カンタンテレタビレ』を以前より発信してきた奥田民生が、4月12日に公開スタートした映像がカーリングシトーンズのリモート演奏だ。オンラインビデオ会議アプリを利用して、離れた場所にいるスペシャルゲスト(カーリングシトーンズの斉藤和義、寺岡呼人、トータス松本、浜崎貴司)とのトークをはじめ、最終回では「ガッツだぜ!!」のリモート演奏も披露。全3回。
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▼佐野元春 & THE COYOTE BAND 特別配信新曲「この道」(Social Distancing Version)
「みんなを励ます曲を作っている。2週間後にはYouTubeで視聴できるようにしたい」とラジオ出演時に発言した佐野元春は、公約どおり4月8日夜9時に佐野元春 & THE COYOTE BANDによる新曲「この道」(Social Distancing Version) をプレミア公開した。“Social Distancing Version”の言葉通り、バンドメンバーそれぞれの自宅からインターネットを介してマルチレコーディングを行って作り上げられたものが同曲だ。メンバーそれぞれの演奏シーンのシンクロも見応えがあるが、それ以前に楽曲クオリティの高さこそツワモノ揃いならでは。
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▼BAROQUE 新曲「STAY」
不要不急の外出自粛要請にしたがって、レコーディングも撮影もすべて自宅で実施した新曲が、4月3日に公開された映像「STAY」。マスタリングに至るまでの全工程をメンバーの怜(Vo)と圭(G)のみで行った自身初の完全自宅録音楽曲となる。PCの画面越しにオンラインで繋がる2人の映像は制作途上のデモ音源が用いられているが、近日中に完成版が配信リリースされるほか、同曲のMV制作企画も現在進行中だ。
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▼“=LOVE”と“≠ME” 新曲「次に会えた時 何を話そうかな」
指原莉乃プロデュースによる“=LOVE”と“≠ME”のメンバー総勢24名が、リモートレコーディングおよびリモート撮影にて完成させた新曲が「次に会えた時 何を話そうかな」だ。作曲家や編曲家は自宅で曲を作り、メンバーは自身のスマートフォンの“ボイスメモ”アプリで自宅で歌を録音、サウンドディレクターが自宅スタジオでミックスして音源が仕上げられた。また、ミュージックビデオはメンバー自身が撮影を行い、それら素材等をもとに映像監督が自宅で編集作業を行ったという。
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▼KOJI [ALICE IN MENSWEAR]『プロミュージシャンの仕事道具完全公開』
こちらは番外編。3月4日に公開されたALICE IN MENSWEARのライブシステム紹介映像となるものだ。新型コロナウイルス対策を受けたものではないが、ライブサウンド/オペレートシステムの全貌が語られるコアでマニアックな内容は、ライブサウンド制作の裏側を知ることのできる貴重映像。実践的な内容だけに、現在ライブが出来なくてうずうずしているプロミュージシャンも必見、目から鱗の発見があるはずだ。もちろんファンにとっては“あの曲のあの部分って、こうやって出力されてるのね”と理解が深まる講座的な語り口調も嬉しい。全4回。
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なお、本日4月16日、INABA/SALASによる自宅スタジオセッション動画がB'zオフィシャルInstagramにて公開となった。これは新型コロナウィルスの影響で全国ツアーが開催延期となったため、稲葉浩志と、来日が叶わなかった米国のスティーヴィー・サラスが、お互いの自宅スタジオでセッションを実施したものだ。
構成・文◎梶原靖夫 (BARKS)
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