ブリング・ミー・ザ・ホライズン、5年ぶり来日公演で見せた進化と成熟
Photo by Kazushi Toyota
ブリング・ミー・ザ・ホライズンの単独公演が8月19日、東京・新木場STUDIO COASTにて開催された。
◆東京公演 画像
1月にリリースされた最新アルバム『アモ』を引っさげて約5年ぶりの来日を果たした彼らは、8月16日に大阪、8月17日に東京で<サマーソニック2019>に出演。<SUMMER SONIC EXTRA>として開催された単独公演にはゲスト・アクトとしてHYDEも出演し、チケットを入手できた幸運なファン約2,500人が日英ロック・アーティストの共演に熱狂した。以下、同公演のオフィシャル・レポートをお届けする。
◆ ◆ ◆
8月19日、3日間にわたり繰り広げられた<サマーソニック2019>の余熱をふたたび沸点へと誘うかのような、きわめて熱いライヴを観た。東京・新木場STUDIO COASTでのBMTHの単独公演のことである。しかも今回はゲスト・アクトとして、あのHYDEが出演。午後7時の到来を知らせるかのように定刻ちょうどに彼のステージが始まる頃には、場内は当然のごとく人で埋め尽くされていた。
HYDEは畳み掛けるように約30分間のステージを披露。今日的な欧米のロックと温度差のないその音楽とたたずまいは、彼の作品などについて予備知識を持たない観客にも違和感なく刺激的なものとして映ったことだろう。かねてからBMTHの名をフェイヴァリット・バンドとして挙げてきた彼は「つまらなければ無視してくれて構わないけど、少しでもいいと思ったら気持ちを返して欲しい」と客席に告げていたが、そう呼び掛けるまでもなく満員のオーディエンスはポジティヴな反応を示していた。
Photo by 田中和子
そして待望のBMTHのライヴが始まったのは、午後8時を5分ほど過ぎた頃のこと。イントロダクション映像がステージ後方のスクリーンに映し出され、白いジャンプスーツで武装したメンバーたちが配置に着く。そこに鮮やかな赤のスーツに身を包んだフロントマンのオリーことオリヴァー・サイクスが躍り出ると、最新作『アモ』を象徴する楽曲のひとつである「マントラ」が炸裂し、同時にステージ両脇に陣取ったパフォーマーが白煙を噴射。フロアは一気に過熱し、一体感に包まれていく。
以降も、その場に充満する熱は上昇するばかりで落ち着く気配がない。ファンは当然ながら旧作からの楽曲も熟知していて、その予兆をとらえた時点で歓声が上がり、サークルピットが出現し、合唱が起きる。2019年を代表するロック作品のひとつとして数えられるべき『アモ』は確実にこのバンドの支持層を広げているが、BMTHとコアなファンの相思相愛関係は昨日や今日になって始まったものではないのだ。
オリーは4曲目の「メディスン」を「人間関係についての“学び”の歌」と紹介する。その言葉が示すように、BMTHは結成から約15年の歴史のなかで音楽的にも人間的にも多くを学び、段階的に飛躍的な成長を遂げてきた。そうした進化や成熟の過程を音楽の変遷自体から感じ取ることができるのも、このバンドの大きな魅力のひとつであり、同じ時間軸を生きてきたファンの共鳴理由であるはずだ。ライヴの軸となっていたのはあくまで『アモ』だが、過去の楽曲群をも現在なりのクオリティと説得力をもってアップデートされた状態で届けてくれるこのバンドに対し、彼らの音楽と長い年月を過ごしてきたファンたちは、この上ない頼もしさを感じていたに違いない。
Photo by Kazushi Toyota
計4名のパフォーマーを交えての、映像とのシンクロニシティなどを伴ったスタイリッシュなステージングは、彼らのライヴが焦燥感や怒りに導かれていた時代とは真逆のものだともいえる。かつてはそうした若い感情のほとばしりを躊躇なくさらけ出すことが、彼らのスタイルでもあった。が、今現在、彼らのライヴは、反骨精神を失わぬまま、より広い世界をも巻き込むことのできる“ショウ”としても成立しているのだ。たとえば、各楽曲に同調しながら映し出される映像が、ある意味いずれも混沌感や意味深長さを伴うものでありながら、色調的にはむしろ明るく、陰鬱な気分を生むような類のものではないという事実も、そうした現在を象徴しているように感じられた。
Photo by Kazushi Toyota
この夜のBMTHのライヴは、時間にすれば約85分という比較的コンパクトなものだった。が、きわめて濃密なそのひとときはオーディエンスに時間を忘れさせ、満足感のみを味わわせたことだろう。そしてステージを去る間際、オリーはオーディエンスに対し、11月の再会を予告していた。その言葉の真意はまだ明かされていないが、とにかく次の機会が楽しみでならない。そして今回の好機を逃した人たちには、次回こそ彼らの現在の姿を確実に目撃して欲しいものである。
文◎増田勇一
◆ ◆ ◆
なお現在、この公演のセットリストに基づくプレイリストも公開中だ。
https://lnk.to/BMTH_Setlist2019
2019年1月30日(水)発売
SICP-5940 ¥2,200+税
※初回仕様ステッカー封入
配信アルバム/輸入盤CD
2019年1月25日(金)発売
再生・購入リンク:
https://sonymusicjapan.lnk.to/BMTH_amo_jp
ブリング・ミー・ザ・ホライズンの単独公演が8月19日、東京・新木場STUDIO COASTにて開催された。
◆東京公演 画像
1月にリリースされた最新アルバム『アモ』を引っさげて約5年ぶりの来日を果たした彼らは、8月16日に大阪、8月17日に東京で<サマーソニック2019>に出演。<SUMMER SONIC EXTRA>として開催された単独公演にはゲスト・アクトとしてHYDEも出演し、チケットを入手できた幸運なファン約2,500人が日英ロック・アーティストの共演に熱狂した。以下、同公演のオフィシャル・レポートをお届けする。
◆ ◆ ◆
8月19日、3日間にわたり繰り広げられた<サマーソニック2019>の余熱をふたたび沸点へと誘うかのような、きわめて熱いライヴを観た。東京・新木場STUDIO COASTでのBMTHの単独公演のことである。しかも今回はゲスト・アクトとして、あのHYDEが出演。午後7時の到来を知らせるかのように定刻ちょうどに彼のステージが始まる頃には、場内は当然のごとく人で埋め尽くされていた。
HYDEは畳み掛けるように約30分間のステージを披露。今日的な欧米のロックと温度差のないその音楽とたたずまいは、彼の作品などについて予備知識を持たない観客にも違和感なく刺激的なものとして映ったことだろう。かねてからBMTHの名をフェイヴァリット・バンドとして挙げてきた彼は「つまらなければ無視してくれて構わないけど、少しでもいいと思ったら気持ちを返して欲しい」と客席に告げていたが、そう呼び掛けるまでもなく満員のオーディエンスはポジティヴな反応を示していた。
Photo by 田中和子
そして待望のBMTHのライヴが始まったのは、午後8時を5分ほど過ぎた頃のこと。イントロダクション映像がステージ後方のスクリーンに映し出され、白いジャンプスーツで武装したメンバーたちが配置に着く。そこに鮮やかな赤のスーツに身を包んだフロントマンのオリーことオリヴァー・サイクスが躍り出ると、最新作『アモ』を象徴する楽曲のひとつである「マントラ」が炸裂し、同時にステージ両脇に陣取ったパフォーマーが白煙を噴射。フロアは一気に過熱し、一体感に包まれていく。
以降も、その場に充満する熱は上昇するばかりで落ち着く気配がない。ファンは当然ながら旧作からの楽曲も熟知していて、その予兆をとらえた時点で歓声が上がり、サークルピットが出現し、合唱が起きる。2019年を代表するロック作品のひとつとして数えられるべき『アモ』は確実にこのバンドの支持層を広げているが、BMTHとコアなファンの相思相愛関係は昨日や今日になって始まったものではないのだ。
オリーは4曲目の「メディスン」を「人間関係についての“学び”の歌」と紹介する。その言葉が示すように、BMTHは結成から約15年の歴史のなかで音楽的にも人間的にも多くを学び、段階的に飛躍的な成長を遂げてきた。そうした進化や成熟の過程を音楽の変遷自体から感じ取ることができるのも、このバンドの大きな魅力のひとつであり、同じ時間軸を生きてきたファンの共鳴理由であるはずだ。ライヴの軸となっていたのはあくまで『アモ』だが、過去の楽曲群をも現在なりのクオリティと説得力をもってアップデートされた状態で届けてくれるこのバンドに対し、彼らの音楽と長い年月を過ごしてきたファンたちは、この上ない頼もしさを感じていたに違いない。
Photo by Kazushi Toyota
計4名のパフォーマーを交えての、映像とのシンクロニシティなどを伴ったスタイリッシュなステージングは、彼らのライヴが焦燥感や怒りに導かれていた時代とは真逆のものだともいえる。かつてはそうした若い感情のほとばしりを躊躇なくさらけ出すことが、彼らのスタイルでもあった。が、今現在、彼らのライヴは、反骨精神を失わぬまま、より広い世界をも巻き込むことのできる“ショウ”としても成立しているのだ。たとえば、各楽曲に同調しながら映し出される映像が、ある意味いずれも混沌感や意味深長さを伴うものでありながら、色調的にはむしろ明るく、陰鬱な気分を生むような類のものではないという事実も、そうした現在を象徴しているように感じられた。
Photo by Kazushi Toyota
この夜のBMTHのライヴは、時間にすれば約85分という比較的コンパクトなものだった。が、きわめて濃密なそのひとときはオーディエンスに時間を忘れさせ、満足感のみを味わわせたことだろう。そしてステージを去る間際、オリーはオーディエンスに対し、11月の再会を予告していた。その言葉の真意はまだ明かされていないが、とにかく次の機会が楽しみでならない。そして今回の好機を逃した人たちには、次回こそ彼らの現在の姿を確実に目撃して欲しいものである。
文◎増田勇一
◆ ◆ ◆
なお現在、この公演のセットリストに基づくプレイリストも公開中だ。
■ブリング・ミー・ザ・ホライズン 8月19日(月)東京・新木場STUDIO COAST 単独公演 セットリスト・プレイリスト
https://lnk.to/BMTH_Setlist2019
■ニュー・アルバム『アモ』|『amo』
2019年1月30日(水)発売
SICP-5940 ¥2,200+税
※初回仕様ステッカー封入
配信アルバム/輸入盤CD
2019年1月25日(金)発売
再生・購入リンク:
https://sonymusicjapan.lnk.to/BMTH_amo_jp
この記事の関連情報
THE LAST ROCKSTARS、新曲「MASTERY」と格闘ゲーム『鉄拳8』とのコラボMVを公開
【速レポ】モンパチフェス<WWW!!24>HYDE、「めんそーれ!台風は曲げときました」
【ライヴレポート】HYDE、<HYDE[INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA->最終日に強烈なドラマ「現実を楽しもうぜ!」
【インタビュー】HYDE、『HYDE [INSIDE]』の圧倒的表現力と攻撃性「不思議な、日記みたいなアルバム」
HYDE、マイファスのHiroも登場したツアー最終日「クレイジーな僕の芸術を愛してくれてありがとう」
HYDE、<HYDE [INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA->幕張メッセ公演を生配信
HYDE、原宿のPOP-UP STOREにサプライズ訪店+隠れイラスト描画
HYDE、ヴォーカリストとしての理想像を語る
HYDE、神戸公演でオーストリアのオリジナルハット着用