【<MUSISION FEST>インタビュー】フラチナリズム「一番大事なのは、その空間というか空気ですよね」
鉄壁の防音を誇るMUSISIONという賃貸マンションは、近所への騒音を気にすることなくいつでも存分に音楽が楽しめる夢のようなマンションである。「MUSISIONに住めばどんな事が可能なのか?」を検証する意味も含め、2018年3月に敢行したのが、マンションの一室で24時間音を出しまくってみようという<マンションフェス>で、24時間の生放送に出演を果たしたのが、フラチナリズムだった。
2019年5月25日(土)に上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)で開催される<MUSISION FEST 2019>の出演を目前に、フラチナリズムに話を聞いた。
──2018年の<マンションフェス>は楽しかったですね。24時間音出しっぱなしの壮絶なイベントで(笑)。
モリナオフミ:はい。完徹の24時間、二度とやりたくないですね(笑)。
タケウチカズヒロ:エグくて苦かったですね。
モリナオフミ:それが最高だった(笑)。普通のマンションなので「本当にバンバン音出してやっていいのかな?」みたいなところはありましたね。
──MUSISIONじゃないと不可能ですから。
モリナオフミ:そうなんですよ。自分の家でもついやっちゃうと、隣から「ドン!」っていうありがたいバスドラのいいキックが入りますからね。
──ミュージシャンにとって、自宅での音出し練習は悩ましい問題ですよね。
田村優太:ギターとベースは、ヘッドホンをつければある程度練習できますけど、ボーカルとドラムは大変ですよ。
都築聡二:ドラムは厳しいですね。そもそも生ドラム自体を自宅に置いて練習している人って、ほとんどいないと思いますし。
──そうですよね。持ってもいないのに始めるなんて、変わった楽器かもしれない。
都築聡二:生ドラムの練習は自宅では絶対できないので、パットみたいなやつでタカタカタカタやったりとか。それでもポストに手紙が入ってて「タカタカうるさいです」って。だからなかなか大変すよね。
──そこでへこたれて辞めちゃう人もたくさんいるんでしょうね。
都築聡二:いると思います。僕は辞めませんけど。
──自宅練習が無理となると、貸スタジオに行くしかないですか?
都築聡二:はい。本物の生ドラムを叩くとなるとスタジオに入るしかないですね。
──スタジオ代のお金がかかるなあ。
都築聡二:そうですね。限られた時間を有効活用するために、どういう練習が効果的なのかを考えてやるしかないですよね。
モリナオフミ:ボーカルも家では一切歌えないです。僕は声がでかいんで余計に。新曲を作るときも、オクターブ下で仮歌を入れたとしてもやっぱり響くので、隣の人から怒られちゃう。曲作りのときもアコギがまたうるさいんで、おそるおそる触るようにコードとメロをつけて、実際はスタジオに歌いにいくことになります。
──皆さん騒音問題には苦労しますね。
▲モリナオフミ(Vo)
▲田村優太(G)
モリナオフミ:ボーカルはカラオケっていう手もあります。僕はモノマネなんかもやらせてもらっているので、そういうのをやったりするときはカラオケで練習したりします。家では動画とかを見て歌い方を研究して、それを実践するのはスタジオだったりカラオケボックスだったり。
──家とスタジオではやるべきことが違うんですね。
モリナオフミ:そうですね。メロ書いたり歌詞書いたりは家でもできるし。
──その点、ギタリストは楽ですか?
田村優太:いや、そんなこともないんですよ。アレンジをするときも、ヘッドホンだけじゃわからないので音を出すんですけど、僕の場合は引っ越した段階で近所の人に「音楽をやってるんで」って話をしておきます。要は、周りを取り込んじゃうっていう。
タケウチカズヒロ:えらいな。
田村優太:オレ、周りには絶対挨拶しに行くから。「音があれかもしれません」って。顔見知りにはなっておきたいタイプだね。それでなんとかギリギリなことはできる感じかな。
──ベースも、スラップの練習などは意外と響いてうるさいとか。
タケウチカズヒロ:夜中はやらないように気をつけてますけど、でもそういう意味ではベースは楽なんじゃないですかね(笑)。普通に家でもやれますよ。
──とはいえ、実際は音を出さないとわからないことや練習にならないこともありますからね。
▲タケウチカズヒロ(B)
▲都築聡二(Dr)
タケウチカズヒロ:もちろんありますね。そのアンプで音を作るときもありますし、空気で感じるのは大事というか必要なんで、そうなってくると家では簡単にはできないですよね。
──そういう意味では、やっぱりMUSISIONに住みたいですね。
タケウチカズヒロ:バンドの誰かが普通にMUSISIONに住んでいれば、みんなで音を合わせるとか確認したりアレンジを詰めたりとかできますよね。スタジオに行かなくていいわけですから。
──使いこなせれば、むしろ安上がりですかね。
タケウチカズヒロ:そうだと思います。楽曲制作もいい感じになると思います。
──フラチナリズムの楽曲制作は、どのように行っているんですか?バンドでジャムって?
モリナオフミ:いや、ほとんど作り込んで生まれてくるのが多いです。僕がアコギでコードとメロをつけたものを田村に投げて、田村がフルアレンジする形です。それを受け取って、みんなそれぞれがアレンジして実際にスタジオで出すっていう流れですね。
──制作過程はクールなんですね。ステージングはあんなにエンタメなのに。
モリナオフミ:曲を作る段階では妙なテンションの曲もあれば神妙な面持ちの曲もあるんですけど、アレンジする田村がそれらを見事に察知して、固めていきます。
田村優太:でも、初めて演るときはどんなテンションなのか迷いますよ(笑)。
モリナオフミ:どうアプローチしたらいいんだろ、って?
田村優太:モリくんは作っているので想いとかも乗ってくると思うんですけど、こっちはまだ想いも共有できてないので、「モリくんだけテンションが高い」とか、そういうときはあります(笑)。
──認識のタイムラグがあるんですね。
モリナオフミ:関わってる時間に違いがありますからね。
──<MUSISION FES>では、どんなライブになりそうですか?
モリナオフミ:僕がセットリストを決めるんですけど、多分やるのはフラチナリズム的には王道というか、面白いもありつつ、アクセントとして神妙な面持ちの曲とかも入れていくのかな。どかんと盛り上げつつもぐっと心にくるようなものもひとつ残していくような、そんな作り方になっていくんじゃないかなと思います。最終的には、MUSISIONの契約を1件決めて帰りたいなと思いますね(笑)。「KAN&PAI」を演りながら「契&約」というわけです。せっかくの野外なんで、ステージだけがステージじゃないぞというところも踏まえて、人が多いところに行っちゃいそうです(笑)。
──何が起こるかわからないという、瞬発力のあるフラチナリズムらしいライブが勃発しそうですね。
モリナオフミ:そうですね。「野外」「フェス」って一番得意と言っても過言ではないぐらいなので、「楽しんでやるぞ」っていうお客さんのテンションに乗っかりつつも、僕らはさらにハイテンションで波を起こしたいと思います。
──騒いでいるボーカルとベースを、ドラムとギターのふたりは冷静沈着に見ている感じ?
都築聡二:「面白いなあ」って思ってます(笑)。「この人たち、ほんと面白いなあ」ってね。
タケウチカズヒロ:その姿勢だけは一貫してるね(笑)。
都築聡二:お客さんと一緒に笑いをシェアしています(笑)。
モリナオフミ:いつも「ボーカルを強めに返してください」って言っているのは、面白いことを聞き逃さないため(笑)?
──とても楽しみにしています。
モリナオフミ:僕らって、普通のバンドマンに比べると活動の種類が多いんですよね。流しであったり、酒飲んでるおっちゃん相手だったり、企業営業でのライブとか。もちろんライブハウスやフェスとかもありますし、いろんなシーンでやることが多いので、それぞれ客層が違うんですよね。営業のときはライブファンなんてひとりもいないので、そこはそこに見合った物を出して行かなきゃいけないけど、自分たちの曲も演奏して印象を残していきたい。カバーから始めて自分たちの曲で盛り上がるようにいろいろ考えるんですけど、いまだにセットリストとかライブの組み方とか、どれが正解かわからないですよね。僕らの出す空気にお客さんが飲み込まれるとか、お客さんの空気に僕らが染まるとか、時と場合、出順、空間によって全部違う。正解はわからないですけど、やっぱりお客さんの空気とリンクしなければいいライブはできないし、音も演出も全部含めて一番大事なのは、その空間というか空気ですよね。
──なるほど。
モリナオフミ:ライブってすげえ楽しいから、やっぱ興奮しちゃうでしょう?力入り過ぎちゃうとあれなんで、力抜いてスッとパッと出てきたい。その場、その一瞬しかないライブをやりたいですね。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
<MUSISION FEST 2019>
2019年5月25日(土)
@上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)
自由席 4,000円(税込)・当日4,500円(税別)
【ローソンチケット】 TEL:0570-084-003 Lコード:71721(https://l-tike.com/musisionfest)
【チケットぴあ】 TEL:0570-02-9999 Pコード:147-382(http://w.pia.jp/t/musision-fest/)
【e+】https://eplus.jp/musisionfest
開場/開演:11:00/12:00
出演(順不同):The Cheserasera、音速ライン、浅草ジンタ、浜端ヨウヘイ、関取花、kitri、フラチナリズム、MAISON“SEEK”
◆<MUSISION FEST 2019>特設ページ
◆フラチナリズム・オフィシャルサイト
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