【ライブレポート】BREAKERZのAKIHIDE、X’mas公演で「音のプレゼントを皆さまに」
BREAKERZのギタリストAKIHIDEが全10都市16公演を廻る<NAKED MOON>ツアーを11月からスタート。同ツアーはAKIHIDEのアコースティックギターと唄による独創をメインとしたライブとなっており、そのツアーファイナルにあたる12月23日の三井ホール公演は<AKIHIDE “SOLO” LIVE 2018 NAKED MOON -X’mas Edition->として、これまでのツアー内容とは一味違うスペシャルな一夜となった。
◆AKIHIDE 画像
シルクハットを被ったAKIHIDEがステージに登場して着席。1曲目「White Christmas」が演奏されるとAKIHIDEの後ろに映し出されたのはツリーの形をした電飾だ。まさにクリスマスエディションにぴったりな幕開けとなった。「メリークリスマス」と挨拶代わりに一言、そのまま「Ghost」へ。冒頭はこれまでの公演同様、AKIHIDEのソロステージが展開される。
「<NAKED MOON -X’mas Edition->へようこそ。<NAKED MOON>ツアー廻ってまいりました。シンプルな編成で体温を感じていただけるようなライブをしてまいりました。今夜はそんなライブと、そしてクリスマスエディションとして、カラフルな音の景色もお届けしたいと思います。最後まで楽しんでいってください」──AKIHIDE
続いては、AKIHIDEが敬愛してやまない久石譲の楽曲「風の通り道」をカバー。「合奏と違い、一人で演奏するというのは、その時心に浮かんだ情景を自由にその場のフィーリングで音に表すことができることだ」とAKIHIDEは語っていたが、まさにその瞬間にAKIHIDEが感じたものが音に乗って、届けられていくよう。そしてアルバム『ふるさと』より冬にぴったりなインスト「待雪草」へ。雪の深い中、最初に芽を出し希望の春を知らせる花が、待雪草だ。移ろいゆく季節の情景をアコギ一本で描いた。
冒頭に演奏した「Ghost」は6thアルバム『機械仕掛けの遊園地 -Electric Wonderland-』(6月発表)のリード曲だが、そのほかの収録曲も今回のソロライブにあたり、アレンジを施して練習を重ねたという。しかし「それが楽しく、新たな発見が生まれた」とはAKIHIDEの弁だ。そんなアルバム収録曲から「ブリキの花」を披露。そして独演セクションの最後はアルバムのラストナンバー『夕凪のパレード』だった。AKIHIDE作品にたびたび用いられるモチーフが“月”、“雨”、“夕焼け”だ。地元・八王子の夕焼けが綺麗で、「そんな地元の景色は音楽を作る上での原風景となっている」と<NAKED MOON>ツアー初日の八王子公演MCでも語っていたとおり、ギターと唄が優しく温かく響き、弾き語りセクションが終了した。
そして、続いてはデュオタイム。参加ミュージシャンは砂山淳一(B)、豊田稔(Per)、小林岳五郎(Key)の3名。まずは「ON Keyboard!小林岳五郎!たけちゃん!」とAKIHIDEの呼び込みで登場した小林がAKIHIDEの音楽に深みと鮮やかさを添えてくれる。「Namida」は「心に溜めている涙を、その涙をためないで泣いてもいいんだよ」という想いで作ったそうだ。小林のピアノが加わり、優しくも鮮やか、そして叙情的に。「戦場のメリークリスマス」の旋律で楽曲をつなぐ鍵盤プレイの後、楽曲「Lapis Lazuli」へ。AKIHIDEのギターカッティング、曲後半にはピアノを弾きながらの小林によるボイスパーカッションパフォーマンスが客席の盛り上がりを高めた。
次に<NAKED MOON>ツアーを一緒に廻った相棒とも言える砂山とセッション。AKIHIDEのソロプロジェクトには欠かせないバンドマスターとしてサウンドを支えてきた砂山との演奏曲は「影踏み」だ。ウッドベースの低音に厚みを増すメロディー。コーラスでもAKIHIDEのボーカルも支える。2曲目は「月夜のララバイ」。四季をコンセプトに開催された昨年秋から今年夏までのシーズンライブで初お披露目された楽曲だが、2人バージョンにアレンジされた一味テイストの異なる楽曲が、ツアーを経て息の合った演奏で届けられた。
デュオコーナーの最後に迎えた豊田と届けられたのは、今までとは雰囲気をガラリと変えたナンバー「Battle」。「聖なる夜に、あってはならないような…。それは今日やめよう?っていうような曲を演奏したいと思います」とAKIHIDE。目が離せない演奏テクニックの応酬が熱く激しい。続く「LION」も豊田による唯一無二のパーカッションが光った。
最後のコーナーでは全員集合。ここからはカラフルな音楽が届けられたのだが、その前に今ツアーで各会場恒例となっていたAKIHIDEと砂山の紙粘土企画の話へ。突如始まったこの企画は各地でテーマを募集し、そのリクエストに応えて製作してきた。今回はせっかくなので小林と豊田にも挑戦してもらい、いままで作ってきた作品たちと共にクリスマスツリーのオーナメントとして、会場に特別展示された。これもまたクリスマスエディションらしい素敵な企画となった。
「オーナメントだけでなく、やはり音楽でクリスマスをお届けしなくてはなりません!」と演奏されたのはジョン・レノン「Happy X’mas」。4人の演奏で届けられる色とりどりメロディー、ステージのバックに灯されたツリーも輝き、耳だけでなく目でもクリスマスを感じられる。。さらに、ハンドクラップを煽り、“前向きな朝顔”をテーマにした「朝顔のマーチ」へ。各ソロパートではクリスマスらしい旋律を盛り込んだりと、この夜ならではのアレンジで楽しませる。恒例のクラップゾーンでは速いテンポも完璧で、場内に一体感が生まれた。
「今日は<NAKED MOON -X’mas Edition->にお越しいただき、本当にありがとうございました。最後にお贈りするのは、随分昔に作って心の奥の引き出しにしまってあった大切な曲です。皆さんが歩んでいる日々の大切な時間の中、今日こうして会場に足を運んでくださいました。皆さんが歩んできた日々、その道のりにはいろんなことがあったと思います。素敵な景色の道もあれば、望まずとも進まなくてはいかなかった道、時には大きな壁や崖や山など、皆さんだけの道に皆さんだけの日々があって。そうして今日ここで繋がって、おかげで今日同じ時間を過ごすことができました。何かを手にして、無くして、それの繰り返しかもしれませんが、無くすこともきっと意味のある今日につながる大切なカケラだったのだと僕は思います。今日からこの先たくさんの長い道を歩くと思います。その先に素敵な未来や夢が待っていると僕は願い、信じ、祈って、最後にこの曲をお贈りしたいと思います」──AKIHIDE
このメッセージと共に届けられた楽曲は「ノスタルジア」。多幸感に溢れた<NAKED MOON- X’mas Edition ->の本編が終了した。
アンコールで再び登場したAKIHIDEは「今回ツアーを廻ってきて、ギターと向き合う時間がすごく有意義だった。ギター1本と自分というのが原点的で、ある意味挑戦的だった」と語り、「ギターと出会い、ギターがくれた夢や縁でこうして皆さんと出会えました。皆さん本当にありがとうございます」と改めてファンへ感謝の気持ちを表現した。「ギター1本で何かを奏でられるようになりたいと思ったのは、病院で寝たきりの生活を送っていた知人のためにと思ったのがきっかけで、その方がチャンスをくれ、それが種となり、作品をつくり続けてできたのが『Lapis Lazuli』だった」そうだ。同じように、誰かに曲を贈りたいと思った時、沖縄の祖母へ捧げた曲「Okinawa」が披露された。琉球テイストを感じさせるメロディーの中に沖縄の様々な情景が浮かぶ。
再びゲストミュージシャンがステージに登場。砂山がサンタ帽を被って登場し「あれ?そんな仕込み聞いてなかった!スナサンタがいる!」と驚きの声を上げたはAKIHIDEだったが、これは砂山による粋なサプライズ。そして、今回のツアーでは新曲はなし、既存曲のみで構成されていたものの、「音のプレゼントを皆さまに」と、いままで披露したことがなかった15年くらい前に制作したという新曲「青空」へ。ミディアムテンポでゆったりと進むメロディーに、AKIHIDEのファルセットが溶けていく。ライティングもステージを青一色に染め上げた。
最後はやはり、AKIHIDEのソロライブでは一番演奏されている定番曲「黒猫のTango」。クリスマスアレンジされた同曲が会場を大いに沸かせる。新たにピアノとパーカッションを加えたバンド編成による“X’mas Edition”は、この時期にぴったりの特別な一夜となった。
撮影◎達川範一(Being)
■<AKIHIDE “SOLO” LIVE 2018 NAKED MOON -X’mas Edition->2018年12月23日@日本橋三井ホールSETLIST
01. White Christmas(cover)
02. Ghost
03. 風の通り道(cover)
04. 待雪草
05. ブリキの花
06. 夕凪のパレード
07. Namida
08. Lapis Lazuli
09. 影踏み
10. 月夜のララバイ
11. Battle
12. LION
13. Happy X'mas(cover)
14. 朝顔のマーチ
15. ノスタルジア
encore
en1. Okinawa
en2. 青空
en3. 黒猫のTango
■<増崎孝司(DIMENSION) presents「the LOUNGE 2019」feat. 柴崎 浩 & AKIHIDE(BREAKERZ)>
神奈川 Motion Blue yokohama
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