モジュラーMIDIコントローラー・システム「GRID」のクラウドファンディングがスタート
「モジュラー/DIY系MIDIコントローラーは開発ばかりされ広く発売されることがない」神話に終止符を打てるか?
自分の欲しい機能を過不足なく装備したMIDIコントローラーというのは、案外見つからないものだ。そんな「夢のコントローラー」を追い求めたことがある者ならば、どこかの時点で「モジュラー」や「DIY」といったコンセプトの商品に巡り合ったことがあるだろう。この手の商品は、Lividの「Elements」からSpecial Wavesの「Mine」まで何種類も登場し、常に何かしらの情報がMIDIコン界隈を賑わせ続けてきたが、未だ、広く販売されるまでに成長したシステムは見当たらない。
しかし、この「GRID」は、今度こそ成功するのではないかと感じさせる、いくつもの特徴を備えている。
まず、GRIDのモジュールはそれぞれ単体で完全に機能するので、ミニマム$105(+送料)のコストで、GRID体験をスタート可能だ。モジュールをはめる筐体やブレーンとなるモジュールを別途購入する必要があるシステムでは、ちょっと見たことのないリーズナブルさだ。
また、上と関連しているが、GRIDはモジュール同士を側面の磁力コネクターでピタピタとくっつけて拡張し、不要なモジュールはパッと離すことが可能なので、従来のシステムの多くがそうであったように、システムを導入する段階でコントロール・サーフェイスの規模にコミットする必要がないのだ。例えば、ソフトシンセのパラメーターをいくつか変えたいだけてあればポットを16個装備したPO16を単体で使えば良いし、翌日、Native InstrumentsのF1のようなコントローラーが欲しければ2つのモジュールを縦に接続して活用し、またあくる日、NovationのLaunch Control XLのようなコントローラーが必要になれば4つのモジュールを正方形にアレンジして活用すれば良いのだ。これも、ベースとなる筐体を購入してモジュールを追加していくシステムでは、実現できない利点だ。
さらに、前代未聞というほどではないが、PCとのUSB接続1つで、最大6つのモジュールに給電でき、給電不足を補いたければ、PCと接続している以外のモジュールにUSB電源を接続することも可能だ。余ったUSBポートから2台目のPCに接続しても動作するので、一体となったコントロール・サーフェイスを活用し、DAW用のコンピューターとDJ用のコンピューターを同時に操作することも可能だ。そして、使用中に一部のモジュールを着脱しても、残りのモジュールの使用には、何ら影響しないホット・スワップにも対応している。
別の視点では、クラウドファンディングのゴールがフレキシブル(達成しなくても返金せず製造に移す可能性あり)であり、かつ、わずか250モジュールの申し込みがあれば達成できる金額であることも、非常に心強い。
GRIDに物足りない面があるとすれば、それはまだまだモジュールの種類が足りないという点だが、この点についても開発者たちは意欲的で、ファンディングが成功した暁には、オーディオ・インターフェイス・モジュールや、エンコーダーを搭載したモジュールなどを、次々と提供していくつもりだという。
クラウドファンディングは日本時間の11月15日からスタートしており、まだまだ初期の段階であるが、筆者が見てきた中でも最も「現実的」と思えるプロジェクトだけに、何とか成功を収めてもらい、MIDIコントローラー市場に新風を吹き込んで欲しいと切に願っている。
文:DJ MiCL
「GRID」
$105 + 送料
One Grid Module (WORLD)
16個のポットを搭載したPO16、16個のボタンを搭載したBO16、そして多機能なPBF4の好きなモジ ュールを1つ受け取る。発送予定時期は2019年4月。
$199 + 送料
Two Grid Modules (WORLD)
好きなモジュールを2つ受け取る。発送予定時期は2019年4月。
$299 + 送料
Three Grid Modules (WORLD)
好きなモジュールを3つ受け取る。発送予定時期は2019年4月。 日本への送料は、いずれのオプションでも$29ドル。
◆「GRID」クラウドファンディング
◆「GRID」日本語商品ページ