【インタビュー】田澤孝介 (Waive)、3度目の再演で「燃え尽きることができたら」
■実は僕が一番あるのかもしれないですね
■Waiveはこうじゃないと!みたいなのが
──ところで田澤さんは、いろいろと他の活動もお忙しいですよね? <MUD FRIENDS>はRayflowerのツアーと並行して行われていましたし、そういう中で、Waiveのフロントマンとしてのアイデンティティーの保ち方、モードの切り替えはどのようにされているのでしょうか? 各現場に行けばパッと切り替わるものなんですか?
田澤:あのね、Waiveは特にそれが強いです。だから、他のプロジェクトからWaiveに戻ってくるのは容易いんですよ。簡単にWaiveモードになる。逆に、Waiveモードに慣れていたのを、別のモードに戻すのは難しい。
──それはなぜだと思われますか?
田澤:……歴史ですかね。例えばRayflowerにも歴史はあるし、Waiveにもあるし、それぞれにあるんですよ。でも、バンドの歴史という以前に、やっぱりノリかな?言葉にすると軽く聞こえますけど(笑) 17歳、18歳ぐらいのノリに戻るんですよね。杉本くんとは、まぁMCを聴いていただいたら分かるんですけど、楽屋とかでもあんな感じなんですよ。
──呼吸ピッタリな漫才コンビ感がありました(笑)。
田澤:そうそう、ずっと2人であんなことばかりを言い合えるので(笑)。だからかな? 沁みついてるものがあるんでしょうね。あと、メンバーが同世代だというのもあるし。
田澤:うん、永遠かもしれんなぁ……。笑いのツボや、そういう小さいことを含めての感覚ですかね。もちろんみんなそれぞれ大人になってはいますけど、実家みたいな感じなんかな? 知らんけど(笑)。
──メンバーのみなさんは兄弟?
田澤:そうなんですかね?
──兄弟喧嘩もたまにはするけどっていう。
田澤:あぁ、そんな感じなんかな。あと、止まってるから、というのもあるかも。Waiveというものが、形を変えずにそのままあるから。
──解散状態にある、という状態を指して、ですか?
田澤:そうそう。(解散せずに)現在進行形で変わっていってたら、当然曲もいっぱい増えてるでしょうし、方向性も一つじゃなかったかもしれないし。でも、バンドとして今戻る部分は、要は活動していた5、6年間分のWaiveということでしょ? ヒュッと戻れるのはそういうことかもしれないですね。Rayflowerは現在進行形なので、確固たるバンド像を今つくってる最中やから、すごく難しいのかもしれない。Waiveの場合はWaive像っていうのがもうあるから。
──揺るぎないものがある。
田澤:そうです。例えば、“Waiveのヴォーカルの人はこんなんやったわ”みたいなのとかね。
田澤:どうなるんだろう? いやぁ~……でも変わらんと思うな。
──変わらないままでありたい、という願望もあるんですか?
田澤:うーん……まだ分かんない(笑)。例えば“新曲をやるぞ!”となったらまたちょっと変わるのかも。
──田澤さんとしては、新曲をガンガン増やしたい、という想いはないのでしょうか?
田澤:僕はないです。それだと勝てないと思ってるから。もちろん勝ち負けじゃないんですけどね。例えば、「いつか」みたいな曲があるわけですよ、もう既に。そこを目指して“「いつか」みたいな曲”を書いたって、勝てるわけないじゃないですか(笑)?
──いや、でも分からないです
よ?
田澤:でも大変だと思う。だから、これまでに書いてない方向性のものを書くか、一回もう出てる既存の曲と同じベクトルで、更にいいものを書くか、しかないと思うので。
──焼き直しになっちゃいけないですもんね。上回らなければいけない。
田澤:そうそう! 結果的に上回る可能性もあるとは思うんですよ。楽曲というのは聴いてくれた人、ファンのみんなと一緒に育てていくものだから。なので、自分らでその先々の評価はできないんですけど、だからこそ、出すまでの踏ん切りがつかないというかね。“これでホントにいいんだろうか?”って、たぶん最後の最後まで悩むだろうし。
──それはそうですよね、“自分たち内OKライン”が相当高くなっているでしょうし。
田澤:だから、再再演の時の新曲2曲「エンドロール」と「Days.」、あれは見事でしたね。すごくビシッとハマった。ちゃんと今までのWaiveを踏まえて、現在を歌ってるし。かつ、きっと何年後かに歌っても褪せないメッセージがあって。すごいなぁと思います。
──田澤さんは今、ご自身でも作詞作曲されているわけですよね? “Waiveでもつくりたい!”という欲求が湧いてきたりしないんでしょうか?
田澤:ワチャーッとする曲だったら書いてもいいかもしれないですね(笑)。だから、それぐらいプレッシャーなんです。Waiveのストーリーを背負う曲、というのは僕にとってはプレッシャー。自分が書いたら面白いかもしれないけど、それは今までのWaiveとはまた違うことになってくるから。
──やはり、“Waiveブランド”を大事にしなければいけない、という意識が強い?
田澤:うん、僕の中ではそれはあるかな。だから、例えば“自分の想いを書いてみよう”みたいなのがいいことだとは、今は思えないので。無駄というか、“いや、そんなことせんでも”っていうのはあるなぁ……実は僕が一番あるのかもしれないですね、“Waiveはこうじゃないとヤダ!”みたいなのが(笑)。今言ってて気付いたんですけど。
──何も考えてない、というお言葉とは裏腹に。
田澤:これだけいっぱいあるからこそ、何も考えなくて良かったのかもしれないですね。本能で従う、じゃないですけど。
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