【インタビュー】田澤孝介 (Waive)、3度目の再演で「燃え尽きることができたら」
Waiveが2019年4月30日、Zepp Tokyo単独公演<Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ>を開催する。BARKSでは“平成最後の日”に行われる同公演を前に、Waiveというバンドを再検証する連載特集を展開中だ。その第三弾はボーカリストの田澤孝介単独インタビューだ。聞き手は前回に続いて音楽ライターの大前多恵氏が務める。
◆Waive 画像
MUCC、Psycho le Cémuとの3マンイベントライヴ<MUD FRIENDS 2000~2018>で、Waiveとして2年ぶりに集結したメンバー。連載第2弾のライヴ記事でも書いているように、とても充実したステージで、このバンドが“解散中”なのはもったいない、と率直に感じた。もっとライヴを観たいし、できれば新しい曲も聴きたい、と。
平成最後の日、2019年4月30日のZepp Tokyoワンマンライヴに加え、それに先駆けて全国ツアーを開催するという吉報も届いた。解散5年後に行った第1回目の再演(2010年)、10周年の再再演(2016年)に、田澤はその都度どんな想いで取り組んできたのか? そして2018年の今年、3度目の再演に向けてどんな意気込みを抱いているのか? Rayflowerを筆頭にした、他プロジェクトとの両立はどう考えているのか?など、率直に尋ねてみた。
◆ ◆ ◆
■自然な感じでもう1回集まれる
■時間が癒した部分もあります
──個人的には田澤さんに初めてインタビューさせていただくのですが、Waive初心者の方々にも親切な記事にしたい、という想いがありまして。もしかしたら失礼もあるかもしれませんが、素朴な疑問、気になっていることもお尋ねしていきたいと思っています。
田澤:大丈夫です、ぶつけてください。もう何でも聞いてください!
──よろしくお願いいたします。10月18日の<MUD FRIENDS 2000~2018>最終日は、バンドとしてすごく仕上がっている、まとまっていると感じ圧倒されました。終演直後は「寂しい」とおっしゃってましたが、日にちが経った今、お気持ちに変化はありますか?
田澤:特に変わらず、寂しいまんま、みたいな感じですかね(笑)。1つのイベントを終えて、“次はこれに向けて行きましょう!”という動きがすぐにでもあれば「寂しい」なんて言ってられないんでしょうけど。次があるとはいえ、現状ではあのイベント以降、メンバーが集まって何がしかをした、みたいなことはないので。だから、あの時の印象のままですね、僕は。
──寂しいということは、それだけ充実感のある活動だったということでしょうか?
田澤:そうですね。Waiveの活動、というところももちろんあるんですけど、やっぱりこの間に関しては、ああいうイベントがすごく久しぶりだったのに加えて、あの対バンメンツだったから。そこに対しての“祭りの後感”は感じてます。
──同時代を生きて、駆け抜けて来た盟友のバンドたちでしたもんね。やはり、当時を思い出すこともありましたか?
田澤:思い出に浸るというよりは、長い時間を経て一堂に会して、スタッフの人たちも知ってる人たちばかりで。自分も含めて“みんな、よう長く続けたなぁ”みたいな感慨がありましたね。あと、“相変わらずカッコいいな”とか。その辺がリスペクトできているままだったし。「夢みたい」という言い方もしましたけど、自分にとっては特別な空間だったんやな、というのが実感です。
田澤:あの……これは乱暴な言い方になりますけど、何も考えてなかったですね。
──ノープランですか?
田澤:うん、ノープラン。
──ノープランで行けるものなんですか?
田澤:敢えてそうしたと言うか、沁みついてるものがあるじゃないか、と。何も考えずにやっても、当時のまま体が動くんです。久しぶりだから鈍ってる部分というのはもちろんありましたけど、”あ、たしかこうだった!”みたいな感じですぐに勘が戻ってくる。“意識して再現しよう”みたいなことじゃないな、というのはまずあったんですよ。初回と二回目の再演の時は僕、わりとそこに重きを置いてたんです。“今の自分”が出ないようにグッとこらえる作業をしてた。“今のほうが上手に歌えるよ”とか、“今ならこうしたいし、あの頃できなかったことが出来るよ”とか、そこを見せたくなるのが心情だと思うんですけど、それをいかに我慢するかに懸けていて。でも今回は、そんなことさえも考えなかったですね。理由としては前回の再再演(2016年)で、すごくいい終わり方ができて、それから2年経った今もその感覚のままで居るから、ですかね。リハーサルの雰囲気もそうですし、現役の頃にちょっと近い感じがしたんですよ。
──現役というのは、解散前ということですか?
田澤:そうですね。仲良かった頃(笑)。
──ははは。いいムードでバンド活動ができていた頃の感じ。
田澤:僕が「辞める」と言う前の感じ、というか。もしかしたら努めて誰かがそういう雰囲気を作ってくれてるのかもしれないし、本当のことは分からないですけどね。印象としては、僕はそうでした。当時のスタッフとやってる、というのも関係あるのかもしれないけど。どっちにしても、気持ち的にはすごくいいコンディションなので、感謝ばかりですね。あとは個々に思い描いてるWaive像みたいなものが交わって出来た“ああ、これこれ!”って感じが心地よかったり。
田澤:別にないかな? 過去にさんざん話し合ったものがそのまま、という感じです。
──確かめ合う必要もなく、当時からずっとみなさんの中に残っている、ということでしょうか。
田澤:うん、たぶん。確かめ合わないところもWaiveっぽい感じがしてます。現役の頃から、そういう“俺らこうだから、こうしていこう”みたいな考えを熱く語ることは、特になかった気がするんですよね。
──やりながら自然に決まっていく、みたいな感じなんですか?
田澤:うん……どうだったっけ(笑)? でも、全員でガーッとああしようこうしようと話し合うことはなかったと思いますよ。
──当時のそういう感じも、2016年の再演以降は戻ってきている、という感覚?
田澤:自分の心持ちなんですかね? 今回は特にそう感じます。
──そういう心境の変化の理由に、心当たりはありますか? 例えば、ご自身が年齢を重ねてくることによって、物事に対する向き合い方が全般的に変わった、とか。
田澤:あぁ、でもそれはあります。“出来る時にやれることをしよう”みたいな気持ちが生まれたのはあるし、あとは……これ、僕が言うのもなんなんですけど。「やろうや」という話が出て、スケジュール的にもできなくない、と。「じゃあ、もうやろうよ」みたいな。そのぐらいの自然な感じでもう1回集まれるようになった。それが僕の中では大きい変化なのかな?と思ってまして。それが“なぜなんだ?”と聞かれると、ちょっと分かんないです。前回(2016年)の再再演の感触が良かったということと、うーん……時間が経ったからかな? 時間が癒した部分もありますよね。杉本(善徳/G&Vo)くんとは元々、17、18歳ぐらいのまだ幼い時からの付き合いなので。
──すごく長いですよね。
田澤:うん。結局そういう積み重ねて来ていたものが出る、ということなのかな。
◆インタビュー(2)へ
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