【速レポ】<中津川ソーラー>曽我部恵一、「今日はフォークフェスティバルだと思ってますから」
さすらいの旅人のような雰囲気だった。時間になったころ、SEやきっかけの合図もなく、ふらりと現れたのが曽我部恵一。手にしたアコースティックギターを軽くチューニングして、やっぱり何か言うわけでもなく、さりげなく歌い始めた。
◆曽我部恵一 画像
曲はサニーデイ・サービスの「シルバースター」。オリジナル曲はバンドの精神的な混乱期に作られているが、あれから20年、今、曽我部がアコギで弾き語りするのは、郷愁や切なさも感じさせるフォークスタイルのそれ。さらに曽我部恵一BANDからのロックンロール「天使」もフォークスタイルで聴かせる。曲のアレンジは全然違うが、クリーンでよく伸びる曽我部の歌唱に歓声と拍手も起こる。
「久しぶりに中津川に来て、最高っすね。随分前に、2回目ぐらいに出たの。そこから呼んでくれないのね、タイジ君(笑)。今日は中津川の素晴らしい空気を満喫したいと思います」
そこから「抱きしめられたい」をはじめとするソロ曲はもちろん、曽我部恵一BAND、さらにサニーデイ・サービスのナンバーも惜しみなく披露していく。とくにサニーデイ・サービス時代からの「青春狂走曲」では、他の観客に邪魔にならないように、そっと口ずさむファンも。曽我部が「中津川!」と煽ると、幅広い年齢層の観客がハーモニーコーラスも楽しむ。秋風がちょっと涼しい中津川で、音楽で心を温かくしていった。
「昔、このへんで中津川フォークジャンボリーというのがあってね。あっちに会館があるでしょ。そこに当時の写真が飾ってあってね。僕の好きなフォークシンガーがいっぱいいて、いいなと思って。エンケン(遠藤賢司)さんとかね。僕、今日はフォークフェスティバルだと思ってますから」
そう言って笑わせる。飾ってある写真の中には、客席の遠くから撮られた伝説のグループ、はっぴいえんどのライブ写真もあったという。そこで同バンドにも在籍した大瀧詠一のソロアルバムからの曲をカバー。当時のシンガー達をリスペクトしながら、時を超えた“フォーク・ジャンボリー”を繰り広げる曽我部だった。
そのカバーを除けば、全て曽我部自身が作ってきた様々な時代のナンバー。その足跡を知るファンは噛みしめるように聴き入り、当時の思い出なども回想しているようでもあった。しかしノスタルジーばかりに浸らせないのが、曽我部の歌。歌の表情が豊かで、繊細さもパワーもあって、アコギ弾き語りでも各曲を鮮やかに聴かせる。ラスト「STARS」ではファンの叩く大きなハンドクラップやコーラスも加わり、曲をさらに輝かせながら夜空にも響いた。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎平野大輔
【曽我部恵一@RESILIENCE STAGEセットリスト】
02. 天使
03. 抱きしめられたい
04. おとなになんかならないで
05. キラキラ!
06. 青春狂走曲
07. それはぼくぢゃないよ
08. 若者たち
09. LOVE-SICK
10. STARS
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018>
2018年9月23日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
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