【ライヴレポート】HYDE、<LIVE 2018 追加公演>で「自分の中にあるモンスターを!」
HYDEが9月10日(月)、ZEPP TOKYOにてソロツアー<HYDE LIVE 2018 追加公演>の東京公演7日目を開催した。同ツアーは6月29日より東京4DAYS、札幌2DAYS、名古屋4DAYS、仙台2DAYS、大阪6DAYSの規模で行われた<HYDE LIVE 2018>の追加公演となるものであり、9月1日ZEPP TOKYOから10月14日の福岡BARK UPまで、東京8DAYS、名古屋2DAYS、福岡4DAYSの全14公演で開催中だ。
◆HYDE 画像
その東京8DAYS全公演にサポートアクトとして迎えられたのが、Starsetだ。最新アルバム『Vessels』が全米ビルボード総合チャート初登場11位、ロックアルバム部門では初登場3位という異例のセールスを記録するなど、米国オハイオ州出身の4ピースに全世界からの注目が熱い。
これまでHYDEは、<VAMPARK FEST>や<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>、<VAMPS LIVE 2016>をはじめとする日本公演に世界的なアーティストの数々を招致してきたが、ソロでもスタンスは変わらない。その共演は会場を瞬時にワールドクラスへ染め上げるのみならず、HYDEが海外の第一線級バンドと如何に渡り合っているかがうかがい知れるもの。ステージに滲む、お互いへのリスペクトは国境を越えて美しい。<HYDE LIVE 2018 追加公演>開幕直前には、Starsetの代表曲「Monster」にHYDEがヴォーカル参加した「Monster feat. HYDE」が配信リリースされるなど、両者の親交も熱いようだ。BARKSでは同公演の前日に、HYDEとStarsetの対談取材を実施しているので、そちらの記事もお楽しみいただきたい。
そして東京公演の第7夜は夕方から降り出した強雨が、前日までの灼熱をクールダウンさせてくれた。しかし、一歩会場に入るとZEPP TOKYOのフロアには極上の熱気が渦を巻いている。定刻通り18時30分、Starsetのステージからライヴが幕を開けた。最新アルバム同様、オープニングSEは「The Order」から。ステージ上に設置されたLEDパネルが映し出す宇宙の映像美が楽曲の持つ深遠なイメージを増幅させ、ロン・デシャント(B)、ブロック・リチャーズ(G)、アダム・ギルバート(Dr)といった3人の宇宙服を模した衣装が、さらにSF感を演出。ヴァイオリンとチェロを加えたバンド編成は壮大でドラマティックな音楽性を象徴する。なお、ステージ上にアンプやスピーカーの類はない。ダスティン・ベイツ(Vo&Key)とアダムをセンターに、右翼にブロックとチェリスト、左翼にロンとバイオリニストを配した左右対称のメンバー配置は、左利きのロンのベースがステージ袖へ伸びることによって、シンメトリーが一層強調されて端整だ。それらを一目見ただけで、世界観へのこだわりを感じさせるというもの。
1曲目の「Frequency」はアタッキーなバスドラムとヘヴィなギター&ベースを軸にした重厚なサウンドではあるが、大胆なストリングスの導入と美しい旋律が情感溢れる彼らならではのナンバー。そして2曲目のイントロが聴こえてきた瞬間、場内にどよめきと嬌声が響き渡った。HYDEファンにはお馴染みの「Monster feat. HYDE」だ。同曲2番でステージに登場したハーフマスク姿のHYDEは、表現力の高い艶やかな歌声で見事にStarsetサウンドと融合してみせた。ダスティンとHYDEが同じお立ち台に足を掛けてのフェイクの掛け合いは、あまりにも濃密な空気を会場に作り上げてしまったようだ。それは結果、Starsetが序盤からオーディエンスを味方につけたと言い換えることもできる。
「Carnivore」「Last To Fall」といったストリングスをフィーチャーしたミディアムチューンが激しく会場を揺らし、ロンのピアノとダスティンの歌のみでスタートした「Ricochet」は、ベーシストのロンが担うべき低音域をチェロがカバーして雄大に響かせるなど、彼らの持つ音楽的な多様性と柔軟性を印象づけた。
「トウキョウ! Do you like Heavy Song!?」──ダスティン
という短いMCの後に怒濤の後半戦へ。オーディエンスを煽るようなMCはこのひと言のみ。ほぼノンストップで繰り広げられる洪水のような音の中にキャッチーなメロディが光り、Starsetの魅力が高度で綿密なアレンジだけでないことに改めて気づかされる。ドラマティックでスケールの大きな音楽性は、まるでひとつの長編映画を観ているかのように映像的でもあった。ラストの「My Demons」ではオーディエンスとの掛け合いで物語を最高潮に引き上げ、「Amazing!アリガトウ!バイバイ!」という言葉と極上の余韻を残してステージを去った。
こうしたStarsetのステージに、HYDEも刺激を受けていたことが後のMCで明かされる。そして、HYDEのステージはその余韻が冷めやらないうちに幕を開けた。近未来感と退廃感が同居したようなステージセットは危険な匂いを撒き散らし、下手からベース、キーボード、ドラム、ギターに順に配置されたマスク姿のバックメンバー4人が怪しさに拍車を掛ける。
ニューシングル「FAKE DIVINE」をはじめとする序盤戦は圧倒的な体感スピードで展開された。とりわけ現時点での最新シングル「AFTER LIGHT」も、すでにオーディエンスの身体に馴染んでいるようで客席との掛け合いコーラスは完成の域に達している。ステージの快調ぶりを示すようにHYDEは客席へこう語りかけた。
「俺たちならやれるよな! 自分の中にあるモンスターを見せてくれよ、東京!」──HYDE
それまで付けていたハーフマスクを脱ぎ去ると、激しく頭を振りながらより凶暴に暴れはじめ、強力な4つ打ちビートに支配された新曲がオーディエンスを跳ね上げさせずにおかない。具体的な演奏曲目については10月14日の最終公演まで控えたいが、セットリストの約半数でリリースされたばかりの新曲や未発表曲が惜しげもなく披露されるという点は、<HYDE LIVE 2018>ツアー前半戦と同様だ。しかしながら、公演を重ねるごとに刺激が増し、各楽曲間に発生する化学反応がドラマを描いて、全体を通じてのストーリーがより研ぎ澄まされているという事実こそ特筆に値する。もちろん、前述の「FAKE DIVINE」をはじめ、続々と情報公開されてきたHYDE楽曲提供による新曲も、<HYDE LIVE 2018 追加公演>に新たな息吹を吹き込んでいた。
「来月公開される映画(『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』)に楽曲提供をしていて。ちょうど1年前くらいかな、作ったのは。働きものでしょ(笑)。その曲を自分たちでもやろうかなと、セルフカバーを。なので、歌詞を新たに僕が書いて。“監獄から自分自身を解放してやってくれ”という内容です。みんな普段、イイ子ちゃんしてるんでしょ。だって、イイ子ちゃんじゃないと世の中、生きていけないからね。それはしょうがない。でも、この場所ではみんな、自分自身を取り戻してハッチャケてほしいと思って作りました。「監獄ROCK」という曲です」──HYDE
ヘヴィなシャッフルビートがインダストリアルな香りを振りまく爆音は、エッジが効いて切れ味抜群。キャッチーなサビの旋律に乗せた日本語詞が大合唱必至のナンバーとして場内を暴発させた。この他、<HYDE LIVE 2018>スタート時にはなかった新たな演出もステージをエンターテイメントに富んだものにしているので、これからライヴを体験する方々はお楽しみに。
そのままライヴは躍動感に満ちた中盤を経て、さらなる怒濤の展開へ。ツアーの日々のなかで強靭さを増していたグルーヴが、濃縮された状態で解き放たれる。バンドサウンドは屈強だ。マスク姿であるが故に、その素性を明かすことはしないが、曲と曲の間に繰り出されるキーボードやギター、ドラムソロを聴けば、各々が確かなテクニックを有したスペシャリストであることが明白。さらに言えば、HYDEの新曲もバンドサウンドも、その魅力は勢いばかりではない。キーボーディストによるピアノの独演はあまりにも流麗でメランコリックだった。客席に向けて立てるようにセッティングされた鍵盤はエキセントリックだが、そこを伝う指さばきの美しさに思わず見とれてしまったほど。また、アンコールでのバンマスにしてベーシストの“UFO現象は本当にあります”話は、ステージと客席との距離感を縮めて爆笑を呼んだ。
そしてやはり、なによりもHYDEのヴォーカルだ。キレの良いパフォーマンスは言うにおよばず、アグレッシヴでヘヴィなラウドチューンでは身体全体を共鳴させるような圧倒的パワーとシャウトで会場を震わせる一方で、本来の妖艶なトーンとどこまでも伸びやかな発声まで、驚異的なダイナミクスをあますところなくみせつけて、オーディエンスを圧倒した。ピッチもリズムも桁違いの安定感。これらは対談でStarsetのダスティンも絶賛したところではあるが、海外アーティストからの絶大なる評価も当然の事実であることを証明してみせた。
「楽しいね。Starsetの曲順が変わって、「Monster」が最初のほうにきたから、おかげで彼らのステージをゆっくり観ることができました。感動したっていうかね。彼らの演奏はもちろんなんだけど、みんなが楽しんでいる姿を観られたのが一番嬉しかったです。本当にカワイコちゃんだと思います。この後、フェスとかにも出るので。お前たちがいないとしっくりこないんでね、来てほしいな」──HYDE
ラストは、前回ツアーでも「僕が好きなデュランデュランのカバー」と語っていた「ORDINARY WORLD」で締めくくり、薔薇をステージから撒き散らして、投げキッスで鳴り止まない歓声に応えてステージから去った。そして、<HYDE LIVE 2018 追加公演>は、あいだに関東でのフェス出演や<HYDE主宰 HALLOWEEN PARTY×ユニバーサル・サプライズ・ハロウィーン 2018>を挟みながら、名古屋、福岡へと舞台を移す。
取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
撮影◎田中和子
■<HYDE LIVE 2018 追加公演>9月10日(月)@ZEPP TOKYOセットリスト
SE. The Order
01. Frequency
02. Monster
03. Carnivore
04. Last To Fall
05. Ricochet
06. Bringing It Down
07. My Demons
◆【対談】HYDE × Starset へ
■<HYDE LIVE 2018追加公演>
09月01日(土) ZEPP TOKYO ※サポートアクト STARSET
09月02日(日) ZEPP TOKYO ※サポートアクト STARSET
09月04日(火) ZEPP TOKYO ※サポートアクト STARSET
09月05日(水) ZEPP TOKYO ※サポートアクト STARSET
09月07日(金) ZEPP TOKYO ※サポートアクト STARSET
09月08日(土) ZEPP TOKYO ※BEAUTY & THE BEAST ※サポートアクト STARSET
09月10日(月) ZEPP TOKYO ※サポートアクト STARSET
09月11日(火) ZEPP TOKYO ※サポートアクト STARSET
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
▼名古屋公演
10月02日(火) ZEPP NAGOYA
10月03日(水) ZEPP NAGOYA
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
▼福岡公演
10月09日(火) DRUM LOGOS
10月10日(水) DRUM LOGOS
10月13日(土) BARK UP
10月14日(日) BARK UP
(問)キョードー西日本 092-714-0159
▼開場 / 開演
平日 OPEN 18:00 / START 19:06
祝休日 OPEN 16:00 / START 17:06
<ZEPP TOKYO 公演のみ>
平日 OPEN 17:30 / START 18:30
祝休日 OPEN 16:00 / START 17:00
※開場 / 開演時間は予定です。変更となる場合があります。
▼チケット
・1Fスタンディング 6,660円
・2F指定席(オリジナルグッズ1個付) 10,000円
※DRUM LOGOS、BARK UPは1Fスタンディングのみ
※オリジナルグッズは、公演当日に限り、ご来場いただいた方にのみお渡しいたします。
※6歳未満入場不可、6歳以上要チケット
【BEAUTY & THE BEASTのみ】
・男性1Fスタンディング 6,660円
・女性2F指定席(オリジナルグッズ1個付) 10,000円
※女性1F後方スタンディング 6,660円 BEAUTY & THE BEAST公演のみ、チケット一般発売後、追加でBEAUTYエリア(女性 / 1F後方スタンディング)のチケットを販売する可能性があります。
▼一般発売日
2018年8月18日(土) 10:00am~
■Starsetデジタルアルバム『ヴェセルズ (Japanese Version)』
※Japanese Versionのみ「Monster feat. HYDE」追加収録
試聴・購入: https://umj.lnk.to/4JQfG
■HYDEシングル「FAKE DIVINE」
【初回限定盤A (CD+撮り下ろしコンセプトブック)】
UICV-9294 2,800円(税抜)
※コンセプトブック収録内容:12ページ・EPサイズ(7インチ四方)
【初回限定盤B (CD+DVD)】
UICV-9295 2,000円(税抜)
※DVD収録内容:「FAKE DIVINE」ミュージックビデオ/<HYDE LIVE 2018>ハイライト映像
【通常盤 (CD)】
UICV-5077 1,200円(税抜)
<収録曲>全仕様共通
1. FAKE DIVINE
2. 監獄ROCK
※10月12日公開映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』提供曲「人類滅亡の歓び」をHYDEバージョンとしてセルフカバー
▼CD購入者特典
・全国のCDショップ及びWEBショップ:スペシャルポスター(A2サイズ)
※一部対象外の店舗あり
・VAMPROSE:スペシャルクリアファイル
※先着プレゼントのため、なくなり次第終了となります。
<抽選型プレゼント企画“MONSTERS CHANCE”実施>
※「MONSTERS CHANCE」は、CD購入者を対象とした抽選型プレゼント企画です。
※「MONSTERS CHANCE」への応募にはCDに封入のシリアルナンバーが必要です。シリアルナンバーは、初回限定盤、通常盤共通となります。詳細は、HYDEオフィシャルサイトにて後日改めて発表。
■HYDE主宰<HALLOWEEN PARTY 2018 supported by XFLAG>
10月26日(金) 幕張メッセ国際展示場 9・10・11ホール
10月27日(土) 幕張メッセ国際展示場 9・10・11ホール
10月28日(日) 幕張メッセ国際展示場 9・10・11ホール
Open 15:30 / Start 17:00
【出演アーティスト】
▼10月26日(金)
HYDE / BREAKERZ / MY FIRST STORY / ももいろクローバーZ / HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA ...and more
<HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA>HYDE / BREAKERZ / MY FIRST STORY / Shinya(DIR EN GREY, SERAPH) / 逹瑯(MUCC) / 柩(GREMLINS, NIGHTMARE) / YUKI(Rayflower, DUSTAR-3) / ROLLY / 分島花音 and more…
▼10月27日(土)
HYDE / DAIGO / 氣志團 / 超特急 / HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA ...and more
<HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA>HYDE / 氣志團 / 超特急 / Shinya(DIR EN GREY, SERAPH) / 逹瑯(MUCC) / 柩(GREMLINS, NIGHTMARE) / YUKI(Rayflower, DUSTAR-3) / ROLLY / 分島花音 and more…
▼10月28日(日)
HYDE / BREAKERZ / ゲスの極み乙女。 / HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA ...and more
SPECIAL GUEST:YOSHIKI
<HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA>HYDE / BREAKERZ / 青木隆治 / Shinya(DIR EN GREY, SERAPH) / 逹瑯(MUCC) / 柩(GREMLINS, NIGHTMARE) / YUKI(Rayflower, DUSTAR-3) / ROLLY / 分島花音 and more…
※五十音順表記
※HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAは出演アーティストによるセッションバンドです。公演日によって参加アーティストが変わります。今後、参加アーティストに追加がある場合は随時発表いたします。
【チケット】
指定席 S / スタンディングブロック指定 S ¥12,000
指定席 A / スタンディングブロック指定 A ¥9,300
※3歳未満入場不可、3歳以上要チケット
一般発売:2018年10月13日(土) 10:00
【チケット先行販売】
・オフィシャル 二次先行 9月15日(土) 12:00~9月19日(水) 23:59 https://pia.jp/v/hyde18hpos2/
・プレイガイド最速先行 9月15日(土) 12:00~9月19日(水) 23:59 http://w.pia.jp/t/hyde-hwp-pr/
・ファミリーマート先行 9月18日(火) 12:00~9月25日(火) 23:59 http://w.pia.jp/t/hyde-hwp-fm/
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)
▼ご注意!
※当公演はハロウィン・ライヴです。仮装してご参加ください。仮装していただけないと…亡霊たちの機嫌が悪くなってしまいますのでご注意ください。
■<HYDE主宰 HALLOWEEN PARTY×ユニバーサル・サプライズ・ハロウィーン 2018>
OPEN 9:30 / START 11:00
10月07日(日) 大阪・ユニバーサル・スタジオ・ジャパン グラマシーパーク特設会場
OPEN 9:30 / START 11:00
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