【インタビュー】sads、清春が語った「sadsにとっての流れに一区切りつけたい」
■ある種の過渡期に来てる部分はあると思う
■一旦、ここで立ち止まるべきかな、と
──楽しみにしています。で、そのアルバムの完成を待たずして、6月1日には<The reproduction 7th anniversary「EVIL 77」VS 7 days>と銘打たれた対バン・シリーズのライヴが始まるわけです。しかもこれが、あり得ない顔合わせによるものばかりで。
清春:あ、YUTAROの助言が大きいですね。最初、「フェスとか対バンとかってどうなんですか?」みたいに言ってきて。「(共演者は)僕が集めますけど」とか強気な感じで。SUPER BEAVERとかa flood of circleはYUTARO繋がりですね。ミオヤマザキも彼の知り合いを通じてコンタクトをとって。LOUDNESSは僕からオファーしたんですけど、先日のライヴにうかがった時に改めて高崎(晃)さんにお願いをして聞いて頂けました。HER NAME IN BLOODも僕からダイキにラインして。BiSHは(楠瀬)卓哉(ソロ作品やツアーに参加しているドラマー)を通じてお願いしました。彼がちょっと前にバックで演奏してたりもして、先方の事務所の方がちょっと僕のこと好きみたいで(笑)。東京ゲゲゲイはYouTubeでたまたま知って、絶対一緒にやりたいと思ったんです。この人たちと何か一緒に、と。
清春:岡崎体育ってひと?が一瞬ファンクラブのVIP待遇の件で騒ぎになったことがあったじゃないですか。誰かがリツイートしたその話題が僕のツイッターのタイムラインに入ってて。で、僕はよく知らなかったからそんな人気あるのか、ってYouTubeで見てみたんですけど、その画面の横にオススメで東京ゲゲゲイが出てきたんですよ。「何これ? 知らない!」と思って。普通におもしろ映像なのかなと思いながら見てみたら、度肝を抜かれまして……しばらくポカンとしましたね。それでほとんどの映像を見漁って。で、うちの映像を手掛けてる小田切監督の奥様がコンテンポラリー・ダンサーなんですね。小田切と話してる時に「なんで清春さん、東京ゲゲゲイなんか知ってるの?」という話にもなったらしく。僕はその時点ではミュージックビデオに出てもらいたいなあと思ってたんだけど、そこで話してるなかで、ライブを一緒にやったほうが面白いかも、ということになったんです。それで正式にうちのマネージャーのからオファーさせてもらい。完全なる超ラヴコールですね、久しぶりの(笑)。誰かからオファーを受けることはたまにあっても僕から「出て欲しい」とか言うことって滅多にないから。
──どちらにしてもすごい顔ぶれが揃いました。しかしそもそもYUTAROさんから「対バンとかどうですか?」と持ち掛けられた際、清春さん自身にもsadsをもっと広くアピールしたいという気持ちはあったわけですよね?
清春 : 彼が言うわけですよ。僕がまだ会ったことのない誰かについて「あいつ絶対、清春さんのこと好きですから」とか(笑)。「いやお前無理矢理そう言わせてんじゃないの?」と思ったりもしますけど(笑)。まあそういうのもありながら、なるべく楽しくやろうとは思ってて。いわゆるフェス系というか、フェスによく出てるバンドばかりに声掛けるのもアホらしいと思ったし、そこでLOUDNESSという偉大な存在は絶対必要だと思ったんですよね。結果、アイドルもいれば、キワモノ視されてるような人たちもいて。まあでもこの対バン・シリーズはYUTAROのアイデアであることは確かです。あいつ結構提案型なんですよね。
──sadsを観たことがない人たちの目にどう映ることになるのかが楽しみです。
清春:ですかね。BISHとの日なんてほとんどうちのファンいないすよ(笑)。すごい勢いですもんね、今。
──確かに。そうした賑やかな6月の先に、<The reproduction 7th anniversary「FALLING」>というこれまた全7公演のツアーが控えているわけですけど。
清春:実はまだ発表してないんですけど7月のツアーはあくまでその<FALLING>の”CHAPTER 1”で。つまり”CHAPTER 2”も”CHAPTER 3”もあるってことなんです、それぞれ7本ずつ。だから対バンのを含めて、7本のシリーズを4回やることを予定していて。”CHAPTER 2”と”CHAPTER 3”には、当然ですけど”CHAPTER 1”とは違ったテーマもあって、とにかく”7”が続いていくことになります。
清春:わからないですね。どうなるかも。経験で言うと実際にやってみてからでないと先のことはわからないというのがあるので。今回は2010年の7月7日にデビューして、『7』っていうアルバムで再結成したsadsが7年を経え、更に通算7枚目のフルアルバムだったりとか。要するに、満7年を過ぎたところで一旦ちょっと考えようかな、という時期に来たんだと思う。僕が今年で50歳になるというのもあったりとか、来年が僕にとってはデビュー25周年だったりというのもあるんだけど。そこでこれからどう生きていくべきかって考えた時に、このハード過ぎる音を得意としているバンドの中での歌唱を続けていくことが年齢的に容易でなくなってはきたんだよね。まあ正直なところ、時折爆音の中にいて燃えきれてない自分が出てきてしまってる。多分、自分が思う近年の自分の良さみたいなものを抑えて、昔からの激しい部分を思い出しながらやってることを自覚してるからだとも思う。今も突進することも嫌いじゃないし得意なことではあるんだけどね。自分の肉体面とか、メンバーの人生にどこまで自分が関われるのかとか、または付き合って貰うのかとか、そういうことをいろいろ考えてしまうような場面がライブで何度かありまして。もちろん最後に加わったYUTAROも含めてそれぞれみんな自立してるんですけど、やっぱりsadsというバンドに彼らを迎えて僕と関わってくれたことにより、各々がそれまでの音楽人生とは違うステージに立ったはずだと思うんですね。それこそK-A-Z君やGO君とは黒夢の復活から一緒なので、そろそろ丸10年を迎えようとしてるわけじゃないですか。そこで、ある種の過渡期に来てる部分はあると思う。もちろんまだまだお互いやりたいと思ってるのは間違いないんだけど、一旦、ここで立ち止まるべきかな、と。ソロで追求していきたい音楽があるなかで、一年に何回か夏にはsads、という形でやっていると、やっぱりなんか他の活動も含めてすべてが短く終わってしまうですよ。夏にsadsをやって、秋にソロを作って年明けに作品を出して……という周期で動いていると、どちらも中途半端なところで終わってしまう。そこでちょっと、この7年の後はペースを変えたいなというのがある。解散するとかそういうことではないんだけどね。毎年、夏が来るたびにやってたようなことを来年はやめてみようと。僕はそういった意味合いを<FALLING>というツアー・タイトルに込めたつもりだったんで、それを見てもらえればすべて伝わるだろうと思ってたんですよ。ところが意外とファンのみんなもただただツアーに期待してくれちゃっているのかなと(笑)。そこで、これは増田さんに話を聞いてもらったほうがいいだろう、と思ったわけなんです(笑)。
──恐縮です(笑)。しかし実際、この言葉は不穏ですよ。堕ちていく、と言っているわけですから。
清春:もうモロじゃん、と思うんですけどね。
──”falling in love”だと思われてしまったのかもしれません。
清春:ああ、”falling down”のほうなんですけどね、実際は。
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