【インタビュー】sads、清春が語った「sadsにとっての流れに一区切りつけたい」
sadsが6月1日から7本の対バンシリーズ<The reproduction 7th anniversary「EVIL 77」VS 7 days>、7月6日から7本の全国ワンマンツアー<The reproduction 7th anniversary「FALLING」>を開催する。
◆sads 画像
2017年4月の<ザ グレートロックンロール関ヶ原2017「氣志團万博 vs VAMPARK FEST」>にて新ベーシストのYUTAROを初御披露目。同年10月に開催されたVAMPS主宰<HALLOWEEN PARTY 2017>では「sadsは7月7日にデビューしてるんです。今のメンバーで再始動して7周年。2018年はsadsを動かそうと。7年ぶりのフルアルバムをリリースします」と宣言していたsadsが、いよいよ2018年7月、現ラインナップでの再結成7周年を迎える。
BARKSは5月下旬、対バン・シリーズ<EVIL 77>、ワンマンツアー<FALLING>、そしてニューアルバムを含めたsadsの今後について話を訊くべく、都内某レコーディングスタジオにて清春と接触した。そこで明かされたのは、「sadsにとっての流れに一区切りつけたい」という衝撃的なもの。しかし、現在制作中のアルバムにはsadsの現在形がしっかりと刻み込まれ、このインタビューにて7公演のツアーを計4本行うことも新たにアナウンスされている。
果たして前述の発言の真意とは。ライターの増田勇一氏が清春にじっくりと話を訊いた10000字オーバーのロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■今改めてsadsとしてアルバムを作るのであれば
■新しいものを提示し、残しておきたい
──sadsの動向が突如、慌ただしくなってきました。今夜はこうしてスタジオにお邪魔しているわけですけど、この場所では何が行なわれているんですか?
清春:今はここでsadsのフル・アルバムを作ってます。現時点での予定ではまず7月から始まるツアーで会場限定盤をリリースします。一般流通させるのかはまだ未定です。要は7月のツアーがリリースツアーになる感じです。
──予定では、という言葉が気になります。
清春:いや、間に合いそうですね。ソロよりも作業が淡々としてて速いですから。今回はメンバーにも曲を作ってみてもらって、その曲達に僕が歌メロをつけたのを聴いた感じで選曲していきました。YUTAROが入ったこともあり、曲調がゴリゴリ一本槍ではなくなってきましたかね。各自5曲ずつ出してもらったアイデアを全部聴いて、僕がメロを作りやすそうなものを選んだとも言えます。で、当初はそれを各メンバーに戻して練り込んでいくという流れになるのかなと思ってたんだけど、幅が広くてまとまらないだろうから三代(堅)さんに締めてもらうって形になっていってますね。その結果、作業進行が速やかで助かっています。
清春:うん。メンバー間でバックボーン的な相違があったりとかはするんですよ。かたや飛び飛びではあるけど7年間もsadsに参加してくれてるK-A-Z君とGO君がいて、そこへ去年からYUTAROが加わって。彼は彼で昔から僕を知ってるという視点もありつつね。各自デモのクオリティもだいぶ違っていて、K-A-Z君の場合はもう普通に出しても良い状態で来るんですけど、GO君の場合はシンプルな打ち込みの状態、YUTAROの場合はギターがほぼ入ってない状態、みたいな。選曲した段階で三代さんに渡すんだけど、今作は結構思いっきり切り貼りしてもらって、そこから更にまた僕がメロディとコーラスパートを変えて、足してとか。だからメンバーは今日の段階で自分の原曲が一体どうなってるかわからない状態。コード進行のみしか残ってないようなものもあるし、例えばBメロをざっくり削除しちゃったものもある。そういう感じでとにかく作業進行は速いですね。じっくり録音というよりは、必要なところだけを録って構築する感じ。ある意味普通に現代的なレコーディングのあり方というかさ。オールドスクールなやり方ではありませんね今回。“いいトラックを作る”という考え方で進行してる感じです。
──なるほど。しかも『THE 7 DEADLY SINS』(2010年7月発売)以降のsadsにおいて軸になってきたK-A-ZさんとGOさんのコンビとは違った視点を持ったYUTAROさんの存在には興味深いものがあります。なにしろ彼はsadsを最初から知っているわけで。
清春:初期sadsについては、だけどね。当時は (彼のいたゼリ→と)イベントも一緒に出てましたよね。ただまあ、K-A-Z君たちが入ってからのsadsについて彼はほとんど知らなくて、実際ここに入ることになってから聴き始めたんだけど、その時点では「あれ、今こんな感じなんすか」みたいな感じだった。で、まあ僕としてはそこで「仲良くご自由にやってください」みたいな(笑)。実際はそこで双方、年齢的なものも含めて全ての感覚の違いは結構大きいんで、音楽的な辻褄合わせみたいなものが必要になり。そこで三代さんが活躍してくれてる、というのがあります。なのでヘヴィな要素は当然あるんだけど、そればかりにはならないですね。ある意味いわゆるニューメタル的でもあれば初期のTHIRTY SECONDS TO MARS……とまではいかないか(笑)。と思えば、普通にK-A-Z君が得意な鳴きの要素とかも当然あるし。色々考えてこれまでのsadsとはちょっと変えたかったかな。YUTAROが加わったというのもあるにはあるけど、要はまあ僕自身、こうして今改めてsadsとしてアルバムを作るんであれば、新しいものを提示し、残しておきたいというのがあったから。なにしろもう『Lesson 2』(2010年12月発売)からだいぶ時間も経ってますからね。僕のなかのsads的には何年か前に出した「May I Stay」の存在も大きかったです。広がっていく感じね。
──あの曲がある意味、当時と現在との架け橋になったというか。
清春:うん。ただ、さっきニューメタルという言葉を使ったけども、三代さんとかそういうものを普段ほとんど聴いてもなければ興味もないわけですよね、趣味的には真逆だろうから。まあなんとなくYouTube観たら”ああ、なるほど”という感じでの認識だったりして。だから本来のそういうものとはまたちょっと違うものになっていきますよね。YUTAROもメタルとか知らないだろうし。
──メタルの人が作らないメタル。客観的にそれを見たときのカッコ良さだけが反映されたものというか。三代さんが関わることによって、K-A-Zさんがイニシアチヴを握って作った場合とは違った形になり得ているわけですね?
清春:うん。三代さんは僕の活動に伴う場では、ステージから降りてアレンジ専門に回ったようなところがあって。そこでまとめ役に徹するという意識が強いはずで。もちろん三代さんがこれまで関わってきてくれたソロの作品に比べればずっと激しくてゴリゴリなんだけど、そこでちゃんと抜き差しをしよう、というのが今回のコンセプト。出すところは出して、音を抜くところは完全に抜いてしまう。メンバーは自分の持ってきた曲がどうなってるのか、仕上がり聴いてどんな顔をするか楽しみだったりもするんですけど(笑)。
──その様子を想像すると、こちらまで楽しみになってきます。
清春:これまでより自由度高いです。もちろん僕が作ってきた曲もありますよ。
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