【対談】DAISHI(Psycho le Cému) × IZAM(SHAZNA)「“アイツら、何?”と“すげえ”の両方を持っていた」
■ サイコの新しいアルバムを聴いてすごく安心感があった/ IZAM
▲アルバム『Light and Shadow』初回限定盤 |
DAISHI:SHAZNAさんは、僕らと一緒にしたらダメなレベルの売れ方だと思いますけど。僕らの時代には『HEY! HEY! HEY!』だったり、『うたばん』だったり、『POP JAM』だったり、TVの音楽番組がたくさんあったんですけど、今は「出たい!」と思う番組が少ない中、メジャーデビューというものも昔より不確かな感じになっていて。
IZAM:確かに。
DAISHI:当時のバンドはメジャーデビューしたら、ある程度の知名度があったんですけど、今は何をもってメジャーデビューなのかと。インディーズでもめちゃめちゃ売れてるバンドもいるし、カオスだなと思います。CDが売れなくてグッズ的なポジションになってる中、もうちょっと若いコたちに夢を与えてあげたいなと思います。
IZAM:どうしたら盤が売れるんですかね。配信したらカウントは多少あるけど、それって代表曲だけで、アルバム曲は少ないとか。僕はいまだに好きなアーティストのアルバムは持っていたいからCDで買うんですよ。ダウンロードはしないですね。
DAISHI:それがCDだけでなくDVDや映画にも及んできてますからね。僕らが昔思っていた、演歌の人がカセットテープを売るような感覚にCDがなってきている気がするんですよ。若いコは配信になっていて。
── そういう悩みとか後輩のミュージシャンから相談されます?
DAISHI:いや、僕らは売れてたほうですけど、CDが売れた最後の最後の時代にデビューしたので、いい時代を味わってないんですよ。そんなご馳走を経験してないので、今も「あれ? お母さん、今日、ちょっとオカズ少なくない?」ぐらいな感じです(笑)。IZAMさんからしたら、今の時代との落差を感じると思うんですけど。
IZAM:確かにサイコはCDが売れるか売れなくなったかの境目だったと思います。休止前のCDを何枚か持ってるんですけど、当時「これ40万枚売れてもおかしくないんじゃない?」って思っても実際は12万枚とか。「なんで?」って思ってました。米米CLUBの「浪漫飛行」のカバーも良かったし。だから、僕らの時代が音楽バブルだったとは思うんですよ。そこから昔に戻っただけなのかなっていう感覚もあったし。
DAISHI:そう。日本のミュージックシーンのバブルってあったと思います。だって歴代のCD売り上げ枚数の1位がB’zさんで、世界レベルで見ても上位のランキングに入ってますからね。爆発的に日本でCDが売れた時期があって、もともとはIZAMさんの言うようにこんなものだったんですよ。現在の30万枚が当時のミリオンセラーぐらいの感覚かもしれない。
── 音楽バブルがはじけたのと音楽の聴き方が変わったということですかね。
IZAM:あの頃を振り返って今でも“これだけは心残り”って思うのは、アルバムが150万枚ぐらい売れたのに僕らは東京ドームができなかった。武道館3日間が限界だったんですよ。その理由はわかっていて、TVに出すぎだったんですよね。で、日本より台湾で人気が出る現象も起きたりして、メンバーの中ではジレンマはありました。なんで大阪城ホール1日しかできないんだろう? って。
DAISHI:10万枚しか売れてないのに東京ドームできるアーティストっていますもんね
IZAM:そう。いる。
DAISHI:TVに全く出なくてもね。フェス系のバンドとかも、一般的には知られてなくても幕張メッセで3万人とか集めたり。
IZAM:そう。夜中にWOWOWでライブ流してたりするとたまに観るんだけど、そのアーティストを否定してるんじゃなくて、いい曲かどうかがわからない。みんながすごく熱狂してるからCDやDVD買って研究するんですけど、わかんないんですよ。たぶん年とったんでしょうね(笑)。だからサイコの新しいアルバム『Light and Shadow』を聴いた時はすごく安心感があったんです。「あ! いい曲やってる」って。僕、2曲目の「妄想グラフィティ」が好きなんです。
DAISHI:ありがとうございます。やっぱり基本、歌謡曲が好きなので。
IZAM:だから、お世辞抜きに「これはいいものだよ」って理解できるんですよ。
DAISHI:でも、さっきIZAMさん「東京ドームできなかった」って言ってましたけど、150万枚売って、武道館3daysもやってるんですよ。嫌味に聞こえますよ(笑)。
IZAM:ははははは。
DAISHI:後輩からしたら「(発言に)気をつけたほうがええんちゃいます?」って(笑)。フェスに出ているようなバンドには知名度が欲しい人たちもいると思うんですよ。僕、ロックバンドの後輩が多いんですけど、「ライブは入るんですけど、街で誰も気づいてくれないんですよ」って言ってて。隣の芝生は青く見えるんですよ。
IZAM:でも、僕はそっちの悩みのほうがいいと思う。お客さんが入ってCDも最低限は売れて、それで街中を歩いて気づかれないのは寂しいかもしれないけど、生活には支障をきたさないので。顔が知られると普通に遊べないんですよ。
DAISHI:そうですよね。
IZAM:変な遊びできないし(笑)。
── IZAMさん、変な遊びって何ですか?
IZAM:(笑)や、女のコとちょっと飲みに行きたいなと思っても週刊誌に撮られて終わっちゃったり。そういうことも過去に経験しているので、気づかれないほうが生きてて楽しそうだなって。
── 精神的には楽かもしれないっていう?
IZAM:そう、そう。絶対そのほうがいいと思う。
DAISHI:でも僕とかは、人気アイドルグループのボーカルが脱退するって聞いたら「代わってあげようか」って思っちゃうタイプです(笑)。ハタから見たら幸せそうに見えますよね。でも、当人にとっては違ってたり、みんな、そうやって生きてるんだと思います。だってIZAMさんは大成功例じゃないですか。
IZAM:いや、いや。ただのラッキー。
DAISHI:いや〜、世の中でミリオンセラー出せる人、何人います? って話ですから、ラッキーでは済ませられない何かがあったんだと思いますよ。曲、歌声、ヴィジュアル。そこには要因があるんですよ。LUNA SEA先輩なんて要因だらけの(笑)。
IZAM:ホントに要因だらけ。
DAISHI:だからウチの社長は面白いバンドをひっぱってきたんだと思いますよ。La’cryma ChristiさんにしろPIERROTさんにしろ、もっとさかのぼったらAURAさんだったり。
IZAM:確かにね。逆に個性がないと見向きもしないから。
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