【ライブレポート】MIRAGE&Matina20周年イベント。往年のV系シーンが復活
MIRAGE結成20周年、Matinaレーベル生誕20周年、KISAKIバンド活動25周年を祝うイベント<MIRAGE&Matina 20TH ANNIVERSARY YEAR「BURIAL OF EPISODE -TOKYO-」>が、3月31日新宿BLAZEにて開催された。
◆ライブ写真
KISAKIが人生を捧げたバンドの一つであり、自身がレーベルオーナーとして大きな転機を迎えたときに誕生したのがMIRAGEというバンドであり、20歳という若さで設立したMatinaというレーベルであった。もともとはMIRAGEの活動を補ううえで誕生したMatinaというレーベルだったが、何時しかKISAKIを頼りに大勢の仲間たちが集まり、レーベルとしても大きく膨らんでいった歴史がある。そのMIRAGEとMatinaが誕生してから20年の歳月が経過。その節目として自身の人生と青春を捧げたMIRAGEを復活。KISAKIは「BURIAL OF EPISODE -TOKYO-」と題したイベントを立ち上げ、さらに、MIRAGEとして最新音源となる『BURIAL』『LIVE ARCHIVE 1997~1999』を限定で発売することを決意した。
このイベントのために、当時よく共演していた仲間たちも参戦。さらに、Matinaレーベルに所属していたバンドたちが集まり、一夜限りのスペシャルバンド「魔帝那オールスターズ」を結成した。イベントに出演したのはMIRAGE、覇叉羅、TOKYO YANKEES、THE DEAD P☆P STARS、KING、Dear Loving、魔帝那オールスターズ(Vo:幸樹-ダウト- G:龍兎-少女-ロリヰタ-23区- G:MiA-MEJIBRAY- B:塩谷朋之-More- Dr:テロ-†я i ¢к-、Sclaim(O・A)といった面々。90年代中頃からヴィジュアルシーンを世の中へ喧伝してきた生きた伝説たちが集結したのだ。
開場中のオープニングアクトとして登場したのが、Sclaim。続々と観客たちが入場してくる中へ姿を現した彼等は、Sclaim目当てのファンはもちろん、ライブを初めて目にする観客たちの意識を「Eclipse in the transmigration」を通しグッと引きつけてゆく。勢いを持った演奏の上でしっかり歌を届け、歌ものヴィジュアル系スタイルの中へ、現代風なリフビートや同期、煽り要素を加え初見の人たちの身体もしっかり揺らしていった。
5月に発売するシングルの表題曲「Celestial sphere」を通し、Sclaimはスリリングでハードな香りをフロアー中へ振りまきだした。サビでは滾る熱をぶつけ、観客たちをしっかり懐へ呑み込んでいく。次第に人が増えてゆく場内。客席後方にも飛び跳ね騒ぐ人たちがいたように、少しずつだが、Sclaimはファンたちを自身の懐へ呑み込んでいた。最後に、Sclaimは「鳳凰RAVE」をブースト。「全員飛べー!」の言葉に合わせ、跳ねる人たちの姿も。力強く雄々しい楽曲を舞台上からぶつけるSclaim。彼らのライブを好意的に受け止めていた人たちも多かったように、今後のバンドの躍進に期待しよう。
イベントの幕開けを飾ったのが、Dear Loving。「自分のことを少しでも好きになれますように」と、Dear Lovingのライブは愛にあふれたメッセージを詰め込んだ「LOVE ME」からスタート。一緒に口ずさめる、いわゆるシンガロングなスタイルを魅力にしている彼ら。「明日も笑う君でいて」でもDear Lovingは、胸をくすぐる歌メロと心地好く疾走する演奏を通し、心へ嬉しく熱を注ぐように歌の風を吹かせてきた。一転、歪んだギター音が炸裂。一気に感情と演奏のアクセルを踏みながら、Dear Lovingは「I'm here」をぶつけた。凛々しく、でもその中には愛おしいほどの愛情が満ちている。少しネガティブな心へも彼らの歌は寄り添い、力強く背中を押してゆく。何時だって、身近にいて励まして欲しい相棒のような存在。だから、Dear Lovingの歌が25年もの時を跨いでずっと支持を得てゆくのだろう。激しく疾走する演奏が身体を熱く疼かせたのも嬉しかった。
「いろんなことがある中、ずっと生きてきたから、こういう再会の場が出来たと思ってる。そしてKISAKIさんにオファーされたら断れる事がない(笑)」。MASA(Vo)の言葉を示すように流れたのが、Dear Lovingの代表曲「365」。これまでの歩みを振り返るように、何時だって後悔を背負いながらそれでも光見える未来に手を伸ばしたくて、彼らは音楽を通し自分らが生きる意味を365日25年間も積み重ねてきた。一人一人に、いろんな「その人だけの道」がある。それがいばらの道なのか、輝きを放っているのか…。それがどんな道であろうと、そこにはかならず、スポットライトがあなたを照らしている。それこそが奇跡であり喜びであることを、Dear Lovingは暖かい歌に変え届けてきた。「365日の色とりどりの物語」、まさに、ここに集った出演者とファンたちに相応しい歌のエンブレムじゃないか。
MASAは、「生きてこそナンボやと思ってる。だから、こういう出会いや再会があって、意味のある1日になると思ってる。俺たちは“生きる”をテーマに歌っています。かならず自分の心にフィットする歌があると思うので、それを好きになって、また再会出来たらなと思います」とも。会場中の人たちが人指し指を高く突き出した。「飛べるさ、君にだって」と、最後にDear Lovingは「Fly high」を演奏。天高く突き上げた指先は、何時しかまだ見ぬ未来へ向けて想いを飛ばしていた。「あなたが生きている今日は、誰かが生きたかった日々で」。彼らはつねに命の声を響かせてゆく。その歌声と演奏が、観客に「生きろ!」と想いを投げかけてきた。Dear Lovingの歌は、これからもいろんな人たちに伝え続けたい心の声だ。
現在はRyo(Vo)のソロスタイルで活動中のKING。この会場へ足を運んだ人たちなら、LAID時代の彼の活動のほうが印象深いだろうか。「新宿ベイべー、声聞かせてくれやー、派手にいこうぜ!」というRyoの声を合図に飛び出したのが「INAZUMA THUNDER GIRL」。激しくドライブするロックンロールな演奏の上で、豪快に歌をぶつけるRyo。一緒に衝撃を感じようぜ、ロックなパーティを楽しもうぜと呼びかけるようにKINGはド頭から、フロア中に熱いロックンロールな風を吹かせてきた。その熱を止めることなくKINGは立て続けにワイルドでタフなロックンロールナンバー「maxmum the GENELEC」をブースト。豪快な音が「騒ぎたいだろ」と観客たちの感情を奮い立たせてゆく。豪放無頼な演奏に飛び乗り一緒に騒ぐのか、圧倒されたまま傍観してゆくのか。まだ二極に分かれていた場内だったが、どちらが正解かは言わなくてもわかる。
「WOW WOW WOW」と声が響き、ともにシンガロングしたくなる「流星」も登場。胸をくすぐるキャッチーな歌と軽快な中にも重量感を持った演奏が、一気に身体をはしゃがせた。ともに歌を口ずさむ人たちも。突き上げられた沢山の拳が、何時しかフロアー中で大きく揺れていた。派手でゴージャス、何より熱く胸をくすぐる歌にハートが嬉しく震えていた。「まだまだイコうぜ」と、激しさと勢いを増すように「NEVER END,CRY.」が駆けだした。楽しいパーティな空気へ、観客の突き上げる拳が増えていく。このパーティは止まらない。互いに裸な心になって熱狂をぶつけあおうぜと、Ryoは誘いをかけ続けていた。
「20年前はKISAKIくん率いるMIRAGEと対バンするなんて考えも及びませんでしたけど、20年経って、こうやって対バン出来た。最後まで楽しんでいこうじゃないか」との言葉も。ハード&ロックンロールな「KING WAY.」も飛び出した。最後までKINGは、激しく熱く豪快な楽曲を叩きつけ観客たちを沸かせていった。Ryoの呼びかける誘いに絶叫と拳を突き上げ、ともにがむしゃらに騒ぎ狂いたい。突き上げたその拳に、誰もが熱い想いのメッセージを乗せ、Ryoへ、KINGへ、熱した想いを投げ返していた。「燃え尽きて、消えるまで」、その熱情が、とてもRyoらしい。
yoshinuma(Vo&B)の雄叫びを合図に、凄まじい轟音を響かせTOKYO YANKEESのライブがスタート。とても“らしい”幕開けだ。「Pre emptive strike」の演奏が、身体を激しく震わせる。豪快な演奏に合わせ暴れ狂えと呼び込むように、彼らは激熱なリフビートを刻み続けていた。その様はまさに、我が道をひた走るTOKYO YANKEESに似合うユニフォーム。勢いを加速するように、TOKYO YANKEESは「Serial killer」をブースト。ハードコアパンクなスタイルを持った楽曲が、ハンマーを激しい勢いで叩くようにせまりだす。その迫力に熱狂するか、呑み込まれるか。この日は圧倒される人たちが多かったが、そんなのお構いなしに彼らは爆音をぶつけ、スクリーモし続けていた。演奏は「Bastard」へ。楽曲は勢いを持続させるどころか、爆音を轟かせ暴走し続けていた。豪快で一本気なスタイルがイカす。会場中を包み込む轟音、その唸りの中へ身を浸してゆくことが快楽だ。この熱狂、もっともっとむさぼり喰らいたい。
「MIRAGEとやるのは20年ぶりになるのかな。それ以来KISAKIくんとはずっと付き合いはあるんだけど。今日は20年越えのバンドばっかだよね。TOKYO YANKEESも今年30周年です、よろしくどうぞ。歳も取れば動きも鈍くなるよね。うちらも汗だくで頑張ります。めちゃくちゃ暴れていってください」というyoshinumaの言葉のあとに飛び出したのが、長年カバー演奏し続けてきたMOTERHEADの「ACE OF SPADES」だ。今や彼らの代名詞の一つとも言える楽曲。何より、TOKYO YANKEESのスタイルにとても似合う。この日も豪快に演奏を叩きつけ、暴れる観客たちの感情へ熱い刺激を注入していった。
「WALKIN RAT RACE」の掛け合い。豪快さを引き連れ流れたのが、TOKYO YANKEESのライブで熱狂と絶叫を交わしあう『RAT RACE』だ。激烈で重量感満載なリフビートとキャッチーなのにグロウルする歌とが轟音の中で絡み合う。このカオスな音こそが、TOKYO YANKEESのライブ。その演奏は、身体を熱く熱く騒がせてゆく。最後にTOKYO YANKEESは「HOLLYWOOD HEARTBREAKER」を叩きつけた。後半3曲は、まさに20年以上前から親しんできた流れ。あの頃からTOKYO YANKEESを体感している人たちには、最強に熱狂を呼び起こす神セトリ。轟音の渦に呑み込まれ、拳突き上げ、限界を越える勢いで暴れ倒したい。彼らの演奏は、触れた人たちの気持ちも身体も10代や20代の頃の自分に戻してくれた。変わらぬ格好良さを維持し続けているTOKYO YANKEES。我が道ぶりこそ、彼らに似合う。
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