【インタビュー 後編】清春、デビュー25年の現在地「貫くことのほうが今の僕の年齢にとっては重要」

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■ただ長くやってるってことではなくて
■何をやってきたかっていうことでの“キャリア”

──最後にお訊きしたいのは、ツアー<KIYOHARU TOUR 天使の詩2018『LYRIC IN SCARLET』>のことです。今回の全国ツアーは久々に訪れる土地も含まれていますね。清春さんのライヴを体験したことがない人にとっても、ふらっと観に来る絶好のチャンスなのではないでしょうか。

清春:いやもうホントに、旅芸人みたいなもんですね、チンドン屋とでもいうのか。こんなにたくさんのアーティストがいるなかで、最初の1年とか活動10年とかっていうタームで考えてみれば、アーティストの数ってそんなに多くはない。そんななかで、25年やってると、先輩や同世代が減って後輩が増えるじゃないですか。それが当たり前になって、それを冷静に感じるようになるんですよ。その時に、“こういうのが流行ってるのか”とか“盛り上がってるな”とかは思うんですけど、他人にはなれないし、僕のことをよく知ってるファンの人たちがそれを許さない……というか、“そこにいてください、清春さん”ってなると思うんです。

──ええ。その気持ちはわかります。

清春:自分がどこにいきたいかっていうのは、ほとんど自分の意思では決められないんだよ。活動が長くなってくれば観に来る人の意思でしかない。これは、さっきの趣味の話と矛盾するわけではなく、音楽的なチャレンジはレコーディングとか制作でできるんですよ。たとえば、パチンコ玉をジャラジャラと今回はわざと違う方向にもこぼしてみるんです。いつもより少し間口を広げて、真っ直ぐではなく、いろんな方向に転がしてみる。そうすると、曲作りやレコーディング、こういうインタビューを経るうちに、そのパチンコ玉が分散するんです。で、ツアーのチケット発売時になると、パチンコ玉の多く残ったほうへ僕らは行かなきゃいけない(笑)。わかります?

──面白いたとえですね(笑)。

清春:自分たちでは行き先は決められないの。どこの地方に行こうと、そのパチンコ玉をキャッチしてくれる人の顔ぶれは変わらない。となると僕らは、今回のアルバムをきっかけにたまたまパチンコ玉をキャッチしてくれた人を大事にするのか、“清春さんの投げる玉なら喜んで取ります。それが人生だから!”って人を大事にするのかと問われると、当然後者の元に帰っていく。受け止めてくれる人がたくさんいるところへ。だから、こういう活動をする。このなかでのお互いの沸点を探して、楽しい時間を共有して。そんな姿を他の人たちに観て感じてもらうしかないんですよ。

──納得します。

清春:だから、今回もそういうツアーなの(笑)。360度にパチンコ玉を投げても、横の方は溝に落ちたりとかしてなくなっちゃうわけです。だけど、パチンコ玉を上手に待っててくれるコたちがいる。その人たちの元へ、ツアーになるたびに帰るって感覚でしょうかね。

──そういう“貴方”たちに届けていく、と。

清春:届けていくというか、結果的にはそれしかないことを僕も知ってるし、その人たちも知ってるんですよ。だからこその“美しき日々”というかね。受け止めてくれる人たちがいて自分がいる、その存在意義は素晴らしいわけ。ただ単にやってきたわけではなく、より貫いていれば、必ず玉を受け取ってくれる人がいて、何年もいてくれてる。そういうことでしかなくて。

──素敵ですね。

清春:不思議なんですよ。家族ですら、毎日顔をつき合わしてても、たまにパチンコ玉を取ってくれない時があるのに(笑)。

──ははは! だからこそ、清春さんとファンとの関係は美しいんです。

清春:音楽を通じて僕のことを好きになってくれるっていうのは、素晴らしいことですよね。バンドであれソロであれ、音楽を通じて、僕の趣味がたくさん溢れ出たものを待ってくれてるというのは、それを総じて“キャリア”と呼ぶんじゃないかな。ただ長くやってるってことではなくて、何をやってきたかっていうことでの“キャリア”。

──それはきっと、選ばれし者にしか出せないものなんだと思います。

清春:僕も今年で50歳になっちゃうんで。このジャンルで生かされてる感じは、ゆるい公開処刑みたいな気がしてますね(笑)。デビュー30年に向かうこの先の5年間っていうのは、自分の老いていく感じを含めて大チャレンジ。多分、若い時よりもチャレンジなんです。それをひしひしと日々感じます。今はそんな毎日なんです。

取材・文◎志村つくね
撮影◎森好弘

アルバム『夜、カルメンの詩集』

【初回盤 (2CD+DVD)】COZP-1411-1413/¥5000+tax(完全初回生産限定)

【通常盤 (CDのみ)】COCP-40251/¥3000+tax

2018年2月28日発売
▼DISC 1(初回限定盤、通常盤共通) “夜、カルメンの詩集”
01.悲歌
02.赤の永遠
03.夜を、想う(Album ver.)
04.アモーレ
05.シャレード(Album ver.)
06.眠れる天使
07.TWILIGHT
08.三日月
09.美学
10.貴方になって
▼DISC 2(初回限定盤のみ) “夜、カルメンの詩集” poetry reading
01.悲歌
02.赤の永遠
03.夜を、想う
04.アモーレ
05.シャレード
06.眠れる天使
07.TWILIGHT
08.三日月
09.美学
10.貴方になって
11.罪滅ぼし野ばら
▼DISC 3(初回限定盤DVD) “夜、カルメンの詩集” video
赤の永遠/眠れる天使/夜を、想う

■<KIYOHARU TOUR 天使の詩2018『LYRIC IN SCARLET』>

2月23日(金)大阪BIGCAT
2月24日(土)金沢EIGHT HALL
3月02日(金)仙台Rensa
3月16日(金)KYOTO MUSE
3月17日(土)KYOTO MUSE
3月21日(水・祝)柏PALOOZA
3月24日(土)長野CLUB JUNK BOX
3月31日(土)札幌PENNY LANE24
4月07日(土)青森Quarter
4月08日(日)盛岡Club Change Wave
4月13日(金)名古屋 BOTTOM LINE
4月14日(土)Live House 浜松窓枠
4月28日(土)鹿児島CAPARVO HALL
4月29日(日)長崎DRUM Be-7
5月03日(木・祝)EX THEATER ROPPONGI


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