【ライブレポート】Rayflower、自身最大規模の全国ツアー最終日「ひとつの完成形が見えました」
Rayflowerがバンド史上最大規模となる全21公演の全国ツアーを開催した。<Rayflower TOUR 2017~2018 “Brilliant Place”>と題したツアーは、2017年10月11日のHEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3を皮切りに5ヶ月にわたって、さいたま、京都、神戸、横浜、旭川、札幌、仙台、大阪、新潟、金沢、長野、高崎、高松、岡山、福岡、熊本、広島、島根、名古屋、浜松、新木場といった21都市を廻るものとなった。そのファイナル、2018年2月16日の新木場STUDIO COASTの模様をお届けしたい。
◆Rayflower 画像
2017年9月にリリースされたRayflowerの2ndフルアルバム『Brilliant Anthology』は、従来の彼らの軸になっていた“パワフル&テクニカル”という路線とは一味異なり、煌びやかさや柔らか味、深みを増した翳りなどが押し出された一作だった。新たな顔を見せつつ良質なアルバムに仕上げたことでRayflowerの評価はさらに高まったが、今後のライブはどういうものになるのだろうという疑問がよぎったリスナーも多かったと思う。
彼らのライブの醍醐味といえる激しさは後退して、聴かせることに重点を置いたライブになるのか? あるいはハードネスを軸としたうえで、彩りとして『Brilliant Anthology』の楽曲を散りばめた構成になるのか? それに対する答えを示すべく、彼らは10月から<Brilliant Place>と銘打った全国ツアーへと旅立ち、20本のライブを経て、2月16日に新木場STUDIO COASTで21本目となる最終公演が行われた。
ライブは力強く疾走する「Brilliant Place」で幕を開け、サイバーな「Real Game」に移行する流れから始まった。STUDIO COASTのステージの広さを活かしてオープニングからフィジカルなステージングを展開しながら演奏するメンバー達と、熱いリアクションを見せるオーディエンス。Rayflowerが誇る鉄壁のアンサンブルが生み出すタイトなサウンドや鮮やかなライティングなども相まって、場内は瞬く間にRayflowerの世界に染め上げられた。
「新木場! 元気か? 俺達がRayflowerだ! ツアーファイナル、最高の思い出を作ろうぜ!!」──田澤孝介(Vo)
という熱く短いMCを挟んだ後は、メタリックでキャッチーな「サバイヴノススメ」、光と影の対比を活かした「U-TOPIA」、ダンス感を湛えたアッパーなサビを配した「Prisoner of evolution」などが演奏された。
客席に煽りを入れながら、圧倒的な声量と安定したピッチが光る、情熱的な歌声を聴かせる田澤。華やかにステージ上を行き来して、テクニックと歌心を絶妙にブレンドさせたギターワークを披露するYUKI(G)。オルガンやピアノ、シンセといった多彩な音色で楽曲を彩りつつショルダーキーボードを手にステージ前に出て、オーディエンスを湧かせるという派手なステージングを見せる都啓一(Key)。ファットにうねるグルーヴやフレキシブルなフレージング、音圧のあるスラップといったハイレベルなプレイと激しいステージングでオーディエンスを魅了するIKUO(B)。引き締まった表情で、重厚さとキレの良さを併せ持ったビートや流麗なフィルを紡いでいくSakura(Dr)。存在感の強い5人が並び立っていながら濃密なバンド感を備えているのはRayflowerの大きな魅力といえる。メンバー全員がお互いに信頼し合って、伸び伸びと演奏する姿が印象的だった。
「心の赴くままに感じ取ってもらえればと思います」という田澤のMCに続けて、ライブ中盤では抒情的な味わいの「MAZE OF LIFE」やセクシーな「Preppers~孤独な道化師〜」、洗練感を湛えたシャッフルチューンの「罪に罰、黒と白」といった『Brilliant Anthology』収録ナンバーを続けて披露。オーディエンスにノリを強要することなく、翳りを帯びた楽曲を並べることで深度を深めていく構成は本当に聴き応えがある。先ごろのインタビューでは、メンバーはこのセクションを“オーディエンスが退屈に感じるのではないか”と危惧していたようだが、その心配は杞憂に終わった。ライブ中盤の惹き込み力は圧倒的で、オーディエンスがエモーショナルな音世界に浸る快感を堪能していることがはっきりと伝わってきた。
そして、11曲目の「It's a beautiful day」が終了したところで、演奏とはまた別のスペシャルプログラムへ。ツアーを通して都が披露してきたマジックの集大成の場が設けられた。マジック披露の経緯についてはインタビューを参照いただくとして、ファイナルではイリュージョンも予告されていた同コーナーは題して、“SPECIAL SHOW TIME”。都が何も入っていない小さな袋からカラフルなペーパーレイを出したり、新聞紙に注いだ水を消したりといった王道的なマジックを行った後、ステージ中央に大きなボックスが登場。そこへ田澤が入り、都が鍵をかけた後、瞬間的に田澤がボックスから脱出して都が消えるという大技が披露された。代わりにボックスの中から都が出てくるかとおもいきや、蓋が開けられたボックスから姿を現したのはYUKIだった。そして、田澤とYUKIが客席の後ろを指さすと、そこには満面の笑みを浮かべた都の姿が。客席からは盛大な拍手と歓声が湧きあがり、イリュージョンは大成功となった。
こういったお遊びを真剣にやる辺りは、本当に彼ららしい。Rayflowerというと“長いキャリアを持った5人が集まった硬派なテクニカルバンド”というイメージを抱いているリスナーも多いようだが、遊び心やエンターテイメント性を持ったバンドだということを、ぜひ知って欲しいと思う。
アップテンポの「ときに成功は失敗のもと」で幕を開けたライブ後半では、ハードチューンの「Runaway Brain」やパンクテイストを活かした「サンデードライバー」、メロディアスかつ爽やかな「ユースフルハイ」などが畳み掛けるように演奏された。再びアッパーチューンにシフトして、激しいステージングを見せつつ爽快感に溢れた爆音を轟かせるメンバー達と、それに応えてどんどんヒートアップしていくオーディエンス。場内は膨大なエネルギーが渦巻いていながら暴力的なノリではなく、一体感や温かみに満ちた状態となり、新木場STUDIO COASTがツアータイトルそのままの<Brilliant Place=光り輝く場所>と化したことを実感できた。
ツアーTシャツ姿で登場したアンコールでは、メンバー全員が今回のツアーを振り返るべくMCを披露した。
「僕的には自然体でできたツアーだったと思います。上手く見せてやろうとか、カッコ良く見せてやろうといった気負いはなくて、素直に楽しもうと。その結果、心の思うままにベースを弾いて、ベースを振り回して、叫んで、みんなで汗をかいたという本当に楽しいものになりました。皆さん、ありがとうございます!」──IKUO
「ドラマーの俺は、いつも最初にレコーディングするから『Brilliant Anthology』をレコーディングした時もアルバムの完成形が分からない状態でドラムを叩いて、ドラムで歌ったんだ。そのあとで生身のIKUOさんのベースやYUKI君のギター、都の鍵盤も入り、歌詞や田澤の歌が乗った状態になって、ツアーを廻る。そこで改めてドラムのアプローチを考え、それを演奏することによって、自分の中にアルバムの曲がフィードバックされるわけ。日々みんなの前で演奏するから、楽曲も日々進化していく。そういう意味では、曲というのはいつまで経っても未完成なんだろうけど、それを完成形に近づけるうえで、俺はお客さんもメンバーだと思っている。今回のツアーではみんなで『Brilliant Anthology』の曲を育てて、ツアーファイナルの今日、俺の中で『Brilliant Anthology』というアルバムのひとつの完成形が見えました。みんな、ありがとう。ライブが終わったらそれを持って帰って、今日は浸ります(笑)」──Sakura
「ツアーが終わってしまうということで、ちょっと淋しい気持ちもありますけど、今日、このステージに立っている僕らには各地方のファンの人達のパワーが詰まっているんですよ。だから、今日のライブはすごく楽しかったし、良いツアーだったなと思う。みなさん、本当にありがとうございました」──YUKI
「こうやってツアーを廻ることができて、今日またみんなと会えたというのが、一番のイリュージョンやね(笑)。今回のツアーは、すごく楽しかったな。今日のライブでひとつ幕が降りるということで淋しいけど、今後の動きも決まっているので。ここからまたスタートしていきたいと思っているので、ぜひぜひ今後もRayflowerをよろしくお願いします!」──都
「ツアーに出る前は心配もあったんですよ。今まで打ち出してきた世界観とかライブ感とはまた違うアルバムができたから、どうなるのかな?と。でも、ツアーを通して、“これもRayflower”という新たなベクトルのものが創れたことを感じて、満足しています。それが終わるのは淋しいけど、今回のツアーで得たものを踏まえて一回り大きくなったRayflowerで、またみんなのところに会いにいきたいと思っています。その時は、またこう向かい合ってエネルギーの交換をしたいと思っているので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました!」──田澤
その後は、田澤の「Rayflowerから感謝の気持ちと愛を込めて、この曲を贈ります」という言葉と共に、ツアーの締め括りとしてシンフォニックなスローチューン「花束~from rose with love~」をプレイ。再びオーディエンスをRayflowerの世界に惹き込んだ後、爽やかな余韻を残してメンバー達はステージから去っていった。
『Brilliant Anthology』の全曲をセットリストに組み込んだ新たなスタイルで観応えのあるライブを行い、オーディエンスを魅了したRayflower。これまでの流れに乗った安全策を採らずに、挑戦的な姿勢でアルバムを作り、ツアーを成功させたのはさすがといえる。今回のツアーを経てRayflowerがさらなる進化やスケールアップを果たすことは確実なだけに、今後の彼らにも大いに注目していきたい。
なお、同公演のMCでは2018年6月に主催イベント<Rayflower presents「Night which GLORIOUS vol.4」>、2018年10月に全国ツアーを開催することが発表となっている。
取材・文◎村上孝之
■<Rayflower TOUR2017~2018 “Brilliant Place”>TOUR FINAL/2018.2.16(金)@新木場STUDIO COAST
02.Real Game
03.サバイヴノススメ
04.U-TOPIA
05.Prisoner of evolution
MC
06.MAZE OF LIFE
07.Preppers~孤独な道化師~
08.悲劇のメシュード
09.罪に罰、黒と白
10.Change your Sight
11.tiful day
SPECIAL SHOW TIME!!
12.ときに成功は失敗のもと
13.Runaway Brain
14.サンデードライバー
15.ユースフルハイ
16.Soul survivor
17.Bloom Moment
ENCORE
EN1.花束~from rose with love~
■<Rayflower presents「Night which GLORIOUS vol.4」>
2018年6月14日(木) 名古屋 Electric LadyLand
2018年6月20日(水) 東京 TSUTAYA O-EAST
詳細近日公開
※2018年10月より全国ツアースタート
◆【<Rayflower TOUR 2017〜2018 “Brilliant Place”>特集へ】
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