フジロックとの比較で見えた朝霧Jamの魅力
■朝霧Jamとフジロックの「共通点」
朝霧Jamとフジロックの第一の共通点は、バラエティに富んだ世界の音楽と日本の音楽の両方を楽しめることだろう。そのことについてはこれまでのラインナップを振り返れば明白なので過去の資料をご覧いただきたい。
二つ目に挙げられるのは、豊かな大自然の中で創り上げられる音楽空間であることだ。このことを可能にしているのは、どちらも自然と地域の人との共生をテーマに掲げて地元住民や自治体と共に地道な環境保全活動を行っているからだろう。フジロックでは会場周辺の森林の整備・保全を目指した活動『フジロックの森プロジェクト』やごみゼロナビゲーション、廃油リサイクルによるバイオディーゼル燃料などのクリーンなエネルギーへの転換キャンペーンを行っているが、朝霧Jamでも地元ボランティア(朝霧JAMS’)がごみゼロナビゲーションを行うなど積極的にクリーンエネルギーを導入して自然環境への配慮と新しい挑戦をしている。
そして三つ目は、どちらのフェスも小学生以下の子どもは無料で入場できる点だ。フジロックは21年、朝霧Jamは17年、それぞれが開催された当時から来場しているオーディエンスも同じだけ歳を重ねた。生活環境にも変化が生まれ、子に恵まれた人もいるだろう。昨年の開催20周年を記念してフジロックでは中学生まで枠が引き上げられたが、こうした取り組みによって子連れ参加者が年々増加していることは時代に寄せた健全の流れとも言えるだろう。
そして最後は、朝霧Jamとフジロック、そのどちらにも言葉に示すことが大変難しい感覚的な良さがあるということだ。以前BARKSでは「どうして“不便な”フジロックに魅了されるのか?」という記事が公開されて話題になったが、あの場所、あの空間でしか味わえないものがあるために、不便を押してでも再び向かってしまうのがフジロックである。
片や朝霧Jamはフジロックのように不便ではないけれど、新しい音楽との遭遇に留まらず、ふとした瞬間に大切なことに気づかせられたり、思い出させられたりする特別な空間であることはフジロックと共通している。そうした摩訶不思議な体験や自己成長を実感できる音楽空間に惹きつけられた人たちがリピーターとなり、出演者に左右されることなくフェスそのものが支持されていることもまた2つのフェスの特徴である。
■まとめ「フジロックとはひと味もふた味も違う朝霧Jam、まずは一泊二日で行ってみよう」
フジロックに参加したことがあっても、朝霧Jamには参加したことがない人、またその逆もあることだろう。フジロックは大きすぎて堪能仕切れないから悔しい気持ちが残るという人には朝霧Jamがお薦めだ。多くのものがコンパクトにギュっと詰まった朝霧Jamならばすべてを満喫できるし、タイムテーブルもゆったり組まれているので頑張ればラインナップも大体見ることができる。語弊があるかもしれないが、朝霧Jamに集うオーディエンスにはフジロックで見られるガツガツした感じが少しもなくて、いい意味で「元を取りたい」や「全部観なきゃ」と誰も思っていないのではないだろうかとさえ思えてしまうほどゆるいフェスだ。
それから、フジロック体験者で朝霧Jamにまだ参加していない人には、「自由度」と「解放感」の違いをぜひ体感して欲しい。というのも、筆者が最も感じているフジロックと朝霧Jamの徹底的な違いは解放感であり、フジロックで得られるものと朝霧Jamで感じるものはどちらも心地好いものだが、その質は明らかに違うからだ。
フジロックでは入場ゲートを前にすることで「今年も来られた!」と胸中でガッツポーズをキメながらニンマリし、自己解放スイッチを自分で入れる。それに対して朝霧Jamでは、富士山のせいなのか高原特有の空の広さのせいなのかは分からないが、いつの間にかすべてのスイッチがオフになっていて、解放されていることに後から気づくのだ。
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「朝霧JAMは、ジャムバンドのJAMではなく、ジャンルレスに様々なミュージシャンが集い皆で楽しむ意味を込めたタイトルです。オールナイトで夜通し音楽を楽しむのではなく、CAMP INの名の通り、皆がキャンプをしながら音楽を楽しむ、それが『It's a beautiful day 〜Camp in 朝霧Jam』です。」(オフィシャルサイトより抜粋)
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いつしかのRAINBOW STAGEでのMogwaiのステージを観ていたとき、空の色や風の温度が徐々に変わっていって、彼らの美しい音楽と自然と自分とが溶け合うような感覚を味わえた極上時間を過ごしたことがある。このコラムを読んで朝霧Jamへ足を運んでくれた人が、帰り支度中にテントをたたみながら「来年もまたこの場所で音を聴けたら、それだけでいい」と思ってもらえたら、朝霧Jamを愛する一人としてこれ以上に嬉しいことはない。
文=早乙女‘dorami’ゆうこ
朝霧Jam 写真=宇宙大使☆スター
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◆コラム(1)── “朝霧Jamとフジロックの「違い」”へ戻る
2017年10月7日(土)、8日(日) 富士山麓 朝霧アリーナ・ふもとっぱら
■Gate Open/Camp In 10月7日(土)10:00
■Show Start 10月7日(土)14:00
■Gate Close 10月8日(日)20:00 予定
※オーバーナイトキャンプ:10月9日(月)11:00まで指定場所でのキャンプが可能
※場外オートキャンプ:10月9日(月)11:00までふもとっぱらでのオートキャンプが可能
■10月7日(土)
BELLE AND SEBASTIAN
CARL CRAIG
BICEP(LIVE SET)
D.A.N.
EGO-WRAPPIN'
GARLAND JEFFREYS
LOGIC SYSTEM
MARTHA HIGH with オーサカ=モノレール
MOUNT KIMBIE
SAICOBAB
WILKO JOHNSON
■10月8日(日)
Suchmos
THEO PARRISH
CHON
DJみそしるとMCごはんのケロポン定食
jizue
LORD ECHO(LIVE BAND SET)
NONAME
思い出野郎Aチーム
ペトロールズ
ROTH BART BARON
TXARANGO
UA
Yogee New Waves
■■■TICKET
■入場券:¥15,000 (おひとり・税込み)
こちらのチケットでキャンプも行って頂けます
小学生以下のお子様は保護者の同伴に限り入場無料です
■駐車券(2名以上〜受付)
場内・オーバーナイト駐車券:¥8,000(車1台・税込み) ※完売
場外・グリーンパーク駐車券:¥4,000(車1台・税込み)
場外・ふもとっぱらオートキャンプ駐車券:¥8,000(車1台・税込み)
※お車でご来場の場合は、必ず入場券と併せて駐車券をお求めください。駐車券のみの販売はございません。
※場外駐車場から会場まではシャトルバスでの移動となります。
※全券種売り切れ次第販売終了となります。先行販売にて売り切れました券種の一般発売の取り扱いはございません。
■http://asagirijam.jp
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