【速レポ】<京都大作戦2017>、SiM「次はオマエの番だぞ。オマエが夢叶えてみろよ!」
Nothing's Carved In Stoneのライブ終了を待っていたかのように突然、降り出した雨。その激しさにグラウンドはたちまちドロと化していく。これは次のバンドにとって幸となるか、それとも……。しかし、そんなことはまるで関係ないようだ。ステージ前のグラウンドを埋め尽くすファンは、雨など気にせず立ったまま。むしろ雨がこれまで熱くなった身体を心地よく冷ましてくれたのか、恵みの雨とでもいうのか、ヤル気は十分。アナウンスでSiMの名前がコールされると同時に、熱狂の歓声が起こった。
◆SiM 画像
SEに合わせて登場したGODRi、SHOW-HATE、SINの3人がドカンとバンド・サウンドを鳴らし、その音に覚醒されたMAHがステージに飛び出てきた。
「オマエら、伝説のMC期待してるんだろ。やりづらいんじゃー!」とまずかました。
なにせ2013年、初めて源氏ノ舞台にSiMが登場したとき、1曲目を始める前に、MAHはMCをした。<京都大作戦>に初参加した2008年の、人もスカスカだった牛若ノ舞台。そこから始まったSiMと<京都大作戦>のストーリーが、そのMCの内容だった。悔しかったことも、あの丘を超え夢を叶えた喜びも正直に話し、その場にいた誰もが感動で震えていた。そんなMCを期待されてもらっちゃ困るというわけだ。埋め尽くしたオーディエンス以上にヤル気にみなぎった表情を見せたMAHがこう宣言する。
「10-FEETと<京都大作戦>、この10年で唯一にして最大の失敗。それは我々SiMをでっかいバンドに育て上げ過ぎたことだ、コラー! 掛かって来い、京都!!」
「KiLLiNG ME」で戦闘開始。SINはベースを、SHOW-HATEはギターをぶん回しながらの激しいライブ・パフォーム。それでも演奏やバンド・アンサンブルは全く破綻することがない。ラウドであり、勢いもあり、キレも鋭い。そしてテクニックを表現力という武器にして、曲に広がりも膨らみも持たせる。
「イケんのか京都。せっかく雨やんでくれたんだから、オマエらが汗かかなくてどうすんだよ」
MAHの言葉を合図に、さらに激しい泥んこモッシュを繰り広げるファン。この<京都大作戦>は観る側もワンパクに育て上げ過ぎちゃったようだ。「モンキーダンスしようぜ」と始まった「GUNSHOTS」だが、ダンスだけにとどまらずクラウドサーフも次々に起こっている。
「このステージはもはや10-FEETのためだけのものじゃなくて、全国にたくさんいるバンドマンの憧れの夢の舞台です。4年ぶりに帰って来れて本当に嬉しいです。このなかにも、このステージを目指してバンド頑張ってるヤツもいると思うし、バンドに限らず、いろんな夢を持っていると思います。夢は頑張ってれば必ず叶うとかね、無責任なことを俺は言いたくない。叶わない夢もあるよ、そりゃ。でも、いつまでも照れながらでもいいから“夢あります”って、そんなカッコいい生き方をしてもらたいと思います。<京都大作戦>、夢と現実、天国と地獄。いろんなもの見てきました。俺らこうやってここに立って、それを見て、みんな、何か感じるだろ! 次はオマエの番だぞ。オマエが、オマエが、今度はオマエが夢叶えてみろよ!」
ここから展開した曲は、9年前に源氏ノ舞台を夢見ながら牛若ノ舞台でプレイした「paint sky blue」。SiMのルーツのひとつでもあるレゲエが色濃く出た楽曲であり、酔えるようなサウンドもたまらなく魅力だ。夢を叶えたメンバーだからこそ、鳴らす音のひとつずつが自信にも満ち溢れている。
ライブ後半のこと。MAHが「大好きな京都の先輩たちに捧げます」と言うや、SHOW-HATEが弾き始めたのはあの人達のカバー。メロディアスなイントロ・リフは間違いなくあの曲。ROTTENGRAFFTYの「金色グラフティー」だった。大喜びしながら、しかし戸惑いも見せる2万人。それとあと一人。MAHである。楽器陣の演奏を止めて、「いや、京都なんだけど。ギター楽しいかもしれないかもしれないけど、弾けてないから」とイエローカード。GODRiのカウントで次に始まったのは、今度こそ、あの人達のナンバー。10-FEETの「goes on」だった。ところが、今度は楽器陣が演奏を途中でやめてしまって、MAHは「やらへんのかーい!」とレッドカード。
こんな余裕すら感じさせるライブが繰り広げられた。ライブ序盤でMAHは4年前とは違うとも言っていたが、確かにそのとおり。いろんなものを背負い込みながら戦う場でもあったのがSiMにとっての<京都大作戦>だったが、今では純粋にバンドマンとして源氏ノ舞台を楽しみ、次の若いバンドマン達へ夢も与えている。サンボマスターじゃないが、これもまた恩返しのようなもの。そしてラスト・ナンバー「JACK.B」を笑顔でプレイする4人がステージにいた。
しかし、SiMのライブが終わった途端、止んでいた雨がさっきよりも激しい土砂降りに。天候をも左右させる悪魔なのか、ヤツは。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎HayachiN/みやざきまゆみ
【SiM セットリスト】
02.Amy
03.T×H×C
04.GUNSHOTS
05.paint sky blue
06.Blah Blah Blah
07.f.a.i.t.h
08.JACK.B
■<京都大作戦2017 ~心の10電!10執念!10横無尽にはしゃぎな祭!~>
2017年7月8日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2017年7月9日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
▼開場
7月7日 開場:11:30 / 7月8日, 9日 開場:9:30
▼開演
7月7日 開演:13:00 / 7月8日, 9日 開演:11:00
【出演アーティスト ※50音順】
▼7月7日(金)
【源氏ノ舞台】サンボマスター、SiM、竹原ピストル、10-FEET、Nothing's Carved In Stone、My Hair is Bad
【牛若ノ舞台】打首獄門同好会、Creepy Nuts、四星球、ヤバイTシャツ屋さん、夜の本気ダンス
▼7月8日(土)
【源氏ノ舞台】Ken Yokoyama、The BONEZ、湘南乃風、10-FEET、東京スカパラダイスオーケストラ、Dragon Ash、FIRE BALL with HOME GROWN、RADWIMPS
【牛若ノ舞台】藍坊主、Age Factory、GOOD4NOTHING、Crystal Lake、NAMBA69、NUBO、yonige
▼7月9日(日)
【源氏ノ舞台】氣志團、SUPER BEAVER、dustbox、10-FEET、マキシマム ザ ホルモン、MAN WITH A MISSION、ROTTENGRAFFTY、WANIMA
【牛若ノ舞台】ENTH、OVER ARM THROW、ガガガSP、SIX LOUNGE、SHANK、G-FREAK FACTORY、Dizzy Sunfist
【鞍馬ノ間】
7月7日(金):大阪籠球会、京都ハンナリーズとのバスケットボール体験やエキシビションマッチ
7月8日(土)、9日(日):下記8チームによるバスケットボールのトーナメント戦「京都大作戦杯2017」を開催
AKT LOCA、UNDER DOG、OSAKA YOUNG GUNS、大阪籠球会、SOMECITY OSAKA選抜、TEAM-S、東京籠球会、HIGH WEST BALLERS
この記事の関連情報
ano、東名阪Zepp対バンツアーにSiM、PUFFY、TK (from 凛として時雨)、マキシマム ザ ホルモン
10-FEET、バンド史上屋内最大規模のライブ映像作品を12月発売決定。全31曲・約2時間半のライブ+ドキュメンタリー映像も
<REDLINE>、SiMのMAHを中心とした一大プロジェクト“REDLINE DREAM BAND”始動
【鼎談】coldrain × HEY-SMITH × SiM、TRIPLE AXE<THE LAST TOUR>の真実を語る「今まで考えてもなかったようなことが起きるかもしれない」
【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2024>10-FEET、「ジャンルの壁や境界がない」
【ライブレポート】フェスの改革と変化。音楽フェス文化を次世代へつなぐ<フジロック>の現在地
【速レポ】<京都大作戦2024>10-FEET、今年も新たな伝説の1ページを加え閉幕「ほんまかっこよかったから、ライブもみんなも!」
【速レポ】<京都大作戦2024>SUPER BEAVER、「おまえの時間だぞ! 音楽しようぜ、大作戦!!」
【photo_gallery】<京都大作戦2024>牛若ノ舞台、Age Factory