【インタビュー】ASH DA HERO、『A』からはじまる新たな物語

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ASH DA HEROが5月24日に約1年ぶりのニューアルバム『A』をリリースした。「声色の幅をさらに広げたい」という想いのもと制作された本作で、ASHは自分の頭の中にある“音”を忠実に再現するために研究を重ね、それぞれの歌唱方法を模索したという。

1本の映画を制作するようにアルバムに向かい、完成したのは全15曲。その変幻自在な歌声を通して、『A』に込められたひとりのヒーローの物語を感じてみてほしい。

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■『A』に入っている曲の原型は1年前にほぼ揃っていましたね
■そもそも僕の中では架空の人物みたいな感覚

──アルバム『A』が完成しました。セルフライナー・ノーツも読ませていただいたんですが、約1年前のアルバム『THIS IS LIFE』発表後に自分の中でモードが変わったんですか?

ASH:毎回、アルバムを作るたびに1本の映画を制作するような向かい方をしているんです。アルバムのプロットをまず練って、お話を書くように曲を作っていくんですよ。2015年5月に出した1枚目のミニ・アルバム『THIS IS ROCK AND ROLL』、2015年12月に出したデビュー・ミニ・アルバム『THIS IS A HERO』、そして2016年6月に出した1stフルアルバム『THIS IS LIFE』をまとめて“THIS IS 三部作”と呼んでいるんですが、これはASH DA HEROの“エピソード1”的な三部作。今作『A』から次のシリーズが始まりますよ、と。だから“THIS IS 三部作”で描いてきたものとは作品のコンセプトが変わってくるということですね。

──それは前作を作り終えて生まれたアイデアなのか、2015年に『THIS IS ROCK AND ROLL』を作るときからすでに構想としてあったものなのか?

ASH:後者です。“THIS IS 三部作”を作りながら、次のシリーズはどういうものにしようか構想を練って。2016年に『THIS IS LIFE』を作ったときには、もう構想もできていたし、『A』に入っている曲の原型は1年前にほぼ揃っていましたね。

──かなり詳細なプロットやストーリーを、ちゃんと書き記して考えるんですか?

ASH:そうです。iPhoneのメモ・アプリに、脚本みたいなものをいっぱい書いているんですよ。こういう感じで(※と見せてくれる)。セルフライナー・ノーツにほとんど還元されてますけど、プロットはしっかり書きますね。こんな曲調がほしいというよりも、こういう物語でこんなストーリー構成だから、こういう曲を作ろうという音楽への向かい方です。映画のバックグラウンド・ミュージックを作るように曲を書いていくというか。ASH DA HERO自体、そもそも僕の中では架空の人物みたいな感覚なんです。

──というと?

ASH:こんなヒーロー、こんなロックンロール・スターがいたらおもしろいだろうというプロットをまず練って、具体的にそれをどう実行していくか、企画書を作ったんです。凄く目立つロックンロール・スターの格好で街を闊歩して、レコード会社やマネージメントの人に会って、その企画書を渡したり。そこで「おもしろいと思ってくれたら、曲を送ります」って。そういうことをずっとしていて出会ったのが今のマネージャー。だから、ASH DA HEROは僕自身だけど、同時にASH DA HEROクンをセルフ・プロデュースしているというか。

──別人格のように?

ASH:そう。だからASH DA HEROクンを主人公とした1本の映画を作るような感覚で、アルバムや曲を作っているんです。



──“THIS IS 三部作”の始動時期から、この『A』からの新たな構想も生まれていたということですが、三部作の経験によって新しく生まれた思いや人格もあったんじゃないですか?

ASH:もちろん、あります。“THIS IS 三部作”を作り始めたころから、周りの環境も変わってきたし、応援してくれる人も増えてきたので、その中で新しく芽生えた、本来想定していたものとは違うASH DA HERO像も出てきて。それも踏まえたうえで今回の2ndシーズンの構想に入れ込んで。だからリアルタイムでフラッシュ・アイデアをどんどん詰め込んでいくんです。

──コンセプトありきのようでいて、そこだけに縛られているわけでもない?

ASH:自分が作っているルールだし、自分が作るASH DA HEROの世界なので、そこは操作可能ですよね。

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