【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.41「注目のハードロックバンド Temple Balls インタビュー」
今年初めこの連載vol.37で紹介した「ロックは死んでないぞ!と思わせる今年注目のフィンランドの若手ロックバンド」の一つ Temple Ballsのライブが先日ヘルシンキであり、そのライブ前にヴォーカルのアルデとベースのイミがインタビューに応じてくれました。
──まず最初にあなた達のバンドTemple Ballsを紹介してもらえますか?
アルデ:俺アルデ、隣にいるのがイミで、メンバーは他にニコ、アンッティにイリ。オウル出身のハードロックバンドだ。
──メンバーみんなオウル出身なんですか?
アルデ:俺とニコはヘルシンキ出身だ。
──ではこのTemple Ballsというバンド名はどこから来たのですか?
イミ:アンディ・マッコイの自伝本を読んでたらTemple Ballsという名前がでてきて、ぴったりくるような気がしてそれに決まった。バンド名の由来はアンディ・マッコイの自伝本ってことになる。
──つい最近バンドメンバーが変わりましたね。ギタリストのサンテリが脱退。ニコが入りましたが、サンテリとは音楽的な相違とか何かあったのでしょうか?
アルデ:特にそういうことでもなくて彼の将来の計画が自然と違うものになってきたってとこかな。それで話し合って決めたことで、裏になにかドラマチックなことがあったってわけじゃないんだ。彼はバンド結成時からのメンバーで8年間バンドにいた。今でもいい仲だよ。
──デビューアルバムの一部の曲はタイのKarma Sound Studioでレコーディングされていますが、タイにいってレコーディングしようというのは誰のアイデアだったのですか?
アルデ:それは俺たちのマネージャーのアイデアだったんだ。
イミ:それと俺たちのこのアルバムのプロデューサー、トビアスがタイに住んでいるってのもある。なので彼にとってはそこでレコーディングするってのはとっても自然なことだったんだ。タイはあったかかったし、気持ちよくレコーディングできた。
──どのくらいの期間タイに滞在したのですか?
アルデ:約2週間。12日間滞在した。
──タイでは何曲ぐらいレコーディングしたのですか?
イミ:7曲タイでレコーディングして、ミキシングは全曲そこでやったんだ。
──タイでレコーディングしたのがサウンドに何か影響を与えたとかありますか?
イミ:リラックスできたのと周りの落ち着いた雰囲気がなんらか影響したと思うけど、一番サウンドに影響与えたのはやっぱりプロデューサーにトビアスを迎え素晴らしいスタジオでレコーディングできたことだと思うな。少しばかりトロピックな影響はあるかもしれないな。
──そのレコーディングにはいつタイに行ったんですか?
アルデ:2016年の春、5月にいって、かなり暖かかったよ。気温は37℃から40℃ぐらいあったな。
──ではあなたたちのバンドの曲は誰が作っていますか?
アルデ:メンバーみんなで作ってる。誰かになにかアイデアが浮かんだらそれをテーブルに並べて、みんなでそこから作り出すんだ。
──あなた達の曲はラジオロックでよく流れてますが、最初に自分の曲をラジオで聞いた時の感想は?
アルデ:素晴らしい気分だった。たまたま偶然ラジオつけたらオンエアーリストに入ったばかりの自分たちの曲がちょうど流れてきたんだ。なんかすごくいい気分だったよ。
イミ:アルデはそのオンエアー中のラジオの映像を撮影してたよ(笑)。
──あなた達はディープ・パ-プルやクイーン+アダム・ランバート、ユーライアヒープのオープニングアクトを務めましたが、まだ若いバンドのあなた達がどうやってオープニングアクトの座を獲得したのですか?
イミ:う~ん、それは俺たちのツアーエージェントとマネージャーの力かな。ツアーエージェントからオープニングアクトにぴったりのこんなバンドがいるんだがって連絡をとって決まったんだと思う。
──そのオープニングアクトの時、誰かと話をするチャンスがありましたか?
アルデ:あぁ、ブライアン・メイと会った。
イミ;俺をのぞいてね。俺はいつも間違った場所にいてしまうんだ(笑)。
アルデ:ブライアンはとってもいい人で、そんなにたくさん話をしたわけじゃないけど、自分のアイドルに対面できるなんてとっても素晴らしかった。ディープ・パープルは俺たちは会う機会はなかったけど、クルーは会う機会があったようだ。
イミ:ディープ・パープルの時は終わったらすぐ次のフェス会場に向かわなきゃなきゃならなかったからな。
──影響を受けたバンドとかありますか?
イミ:俺たちの原点になってるのはハードロックやロックの大物バンド達。今名前のあったディープ・パープルやクイーン。それからキッスも。
アルデ:他にもD-A-Dとかブラック・サバス。
イミ:それぞれそういう自分好みの音楽からスパイスをとって、それを自分達のサウンドに仕上げているが、俺たちの音楽の中心になってるのはそういうロック界の大物バンド達から受けたものだ。彼らは今でも大好きなバンドだ。
アルデ:大好きなバンドっていつまでたっても大好きで消えることはないな。
──デビューアルバム『Traded Dreams』が発売になりましたが、この後の予定は?
アルデ:たくさんライブをやって次の2作目のアルバムの曲をつくったりする予定だ。実はもうすぐスタジオ入りするんだ。まだ詳しくは言えないけど、夏前にボーナスシングルを発売の予定なんだ。
──じゃもし将来日本盤の発売があれば、それに収録するボーナストラックがもう準備できてるってことですね?
アルデ:あぁ、そうそう。そうだ。うん。そのためにも(笑)。それと次のアルバムの基礎になるものをレコーディングする予定なんだ。次のアルバムをどんなサウンドにするかは今のところオープンでいろいろ試してみるつもりでいる。
──今フィンランドではどちらかというと歌詞がフィンランド語の国内バンドが人気ですが、始めっから英語の歌詞で行くことにしたのですか?
イミ:確かに今の状況は歌詞がフィンランド語がホットではあるけど、俺たちは初めから国外進出を頭に入れて英語の歌詞なんだ。フィンランド国内だけにとらわれず、国外にも進出していきたいと思ってる。
アルデ:5月5日に俺たちのデビューアルバムがドイツで発売になるんだ。俺たちにとっては最初のステップになる。日本でも発売になることを祈ってるよ。
──それでは日本と聞いてまず一番に思い浮かぶことは?
アルデ:高層ビルとたくさんの人(笑)。それと対照的に映画や絵画などでみる田舎の風景も浮かぶ。今すぐにでも飛んでいきたい気分だよ。今日のライブのすぐ後にでも(笑)。
イミ:俺はラウドネスが浮かぶよ。
アルデ:あ、俺も俺も。曲も知ってる。
イミ;とってもいいバンドだ。時々ライブで彼らのTシャツきてることもあるほどだ。
フィンランドのバンドがまず目標とするライブ会場がヘルシンキのTavastiaだといわれます。今回彼らのライブがあったのがそのTavastiaの下の階にあるSemifinalという会場で、新しいバンドはまずそこからスタートという感じであります。彼らを最初に観たのは1年ほど前その上の階TavastiaであったReckless Loveのオープニングアクトでした。当時バンド名さえ知らなかったのですが、お、なかなか良いじゃないこのバンド!と思ったのでありました。そのあと昨年夏のクイーン+アダム・ランバートのヘルシンキ公演のオープニングアクトで観る機会があり、今回が3回目。小さな会場とはいえほぼいっぱいに埋まり、この日のオープニングアクトだったBlue Eyed Sons が終わると、女の子たちがささっと最前に飛び出てきました。
今年の2月にデビューアルバム『Traded Dreams』を発売したばかりの彼らですが、ライブは去年観たときよりかなり成長してました。若いといえども演奏はしっかりしていて、ヴォーカルのアルデはものすごいエネルギーにあふれ、MCのスピーチがうまい!観ていてとにかく楽しいライブで終わった後、あぁ、よかった!また観たい!そう思わせてくれるライブでした。何年か後、彼らはきっとその上の会場Tavastiaでいっぱいのオーディエンスを前にエネルギッシュに演奏してるに違いない。そんな思いがふと頭を横切りました。
Temple Balls
Arde (アルデ) - ヴォーカル
Jiri (イリ) - ギター
Niko (ニコ)- ギター
Jimi(イミ) - ベース
Antti(アンッティ)- ドラム
アルバム聴いてみたいって方、フィンランドのネットショップで購入可能です。
ちなみに余談ですが、フィンランド語で「Ji」は「イ」と「ジ」の中間っぽい発音でカタカナ表示が難しいのでありますが、「イ」のほうがちょっと強めかなと思います。メンバーの名前呼ぶときはそういう感じで発音してみてください。
夏前にはボーナスシングルとオフィシャルビデオ公開予定だそうですのでお楽しみに。
文:Hiro
写真:Hiromi Usenius
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