【ライブレポート】Versailles、ノクブラら出演<Visual Parade>「メタルという言葉に誇りをもって」
デスコア出身のヴィジュアル系バンドという異色の経歴で、ヴィジュアル・メタル・ラウドシーンに存在感を日に日に増している NOCTURNAL BLOODLUST。彼等のアクトはこの日の大トリのVersaillesに経緯を表すかのように尋(Vo)の「ボンジュール!」という雄叫びからはじまった。そして冒頭から彼ららしい「Malice against」でフロアに爆音を叩き込む。<LOUD PARK>への出演や単独ワールドツアーへの挑戦など、昨年は武者修行に費やした彼等は、演奏技術、サウンドのセンス、楽曲のクオリティからMCのセンスまでも全てにおいて質が高い。
「やりたいだけやれ!殴れるもんなら殴ってみろ!」という尋の挑発的な曲フリから繰り出された「Punch me if you can」は、彼等の代表曲の一つ。とことん躍らせるハードチューンに、ステージ最前列から最後列まで誰一人棒立ちではいれなくなる。「ボンジュール!我々はNOCTURNAL BLOODLUSTであーる!椅子があるとこではじめてライヴをする気がする。皆さん是非、椅子で殴り合って頂いても…(笑)。」というコミカルなMCの後は、リリースされたばかりのベストアルバムより「BREAK THIS FAKE」「DESPERATE」と、立て続けにハードナンバーが続く。ステージではスリリングなフレーズが完璧に合わさり、綿密に計算された轟音がオーディエンスを襲う。
「Eveil」からの「Calamity of Victims」ではNOCTURNAL BLOODLUSTのヴィジュアル系バンドとしての真骨頂を知る事ができた。メンバーのシルエットが逆光に美しく浮かび、ミドルテンポのバンドアンサンブルが這うようにフロアに満ちていく。苦悶の表情で絶叫する尋に、ゾクリとしたファンも多かったはずだ。
そして「GENESIS」で一気にクライマックスを迎え、ラストはライヴテッパンナンバーの「V.I.P」でNOCTURNAL BLOODLUSTらしい壮観な光景が生み出された。スタンディングエリアではサークルモッシュが発生。尋はフロアに降りて客席の間を駆け回り、ステージ上では楽器隊が暴れ回る。前後不覚の最高の馬鹿騒ぎを生み出す、ホンモノの実力がNOCTURNAL BLOODLUSTにはある。結成8年目にして彼等の飛躍と進化がまだまだ止まらない事を感じるアクトだった。
大トリは2月に初の武道館公演を実現させたばかりの耽美系バンドVersailles。圧倒的な演奏力と表現力でつむがれるメロディック・スピードメタルで、1曲目「Aristocrat's Symphony」から、早くも豊洲PITを18世紀のフランスへと誘った。そこから流れるように高らかなコーラスが映えるアリーナメタルナンバー「Lineage」を披露し、KAMIJO(Vo)がにっこりとオーディエンスに微笑みかける。「ボンジュール!今宵も、熱く激しく美しくまいりましょう」。
彼がボンジュールと言ったら豊洲PITであろうが武道館であろうが、どこだってベルサイユ宮殿になるのだ。デビュー曲「ASCENDEAD MASTER」の振り付けをKAMIJOと共に楽しげに踊るフロアは舞踏会さながらである。すっかり暖まった会場に代表曲「MASQUERADE」が放たれ、荘厳なロックオペラにオーディエンスは酔いしれた。
「今日は、NHKの『バナナ ゼロミュージック』という番組でネタになったバンドが2バンド(Versailles、NOCTURNAL BLOODLUST)も出ています。バラエティに挑む僕等を、皆さんは勝ちと見ますか?負けと見ますか?僕たちは様々なエンターテインメントに、これからも音楽の分野から戦いを挑んでいきます。」と世界を股にかけて戦ってきたVersaillesならではの言葉で心をつかむと、ハンズクラップが楽しい「zombie」や、タオルを振り回して盛り上がる「Chandelier」を立て続けに繰り出して、会場の熱を更に高めていく。
そしてスラッシュメタルテイストの「The Red Carpet Day」が放たれる頃には、会場はすっかり彼等のワンマンライヴかのような熱気に満ちていた。楽器隊の技巧が宝石のように楽曲を彩り、美しい音が響き渡る。激しいリフでもちょっとしたニュアンスまで丁寧なのが、Versaillesの楽曲だ。「メタルという言葉に誇りをもって!ラスト一曲!」とKAMIJOが述べ、最後はエネルギッシュに聴くものを鼓舞する王道メタルナンバー「The Revenant Choir」でしめくくられた。この楽曲ではHIZAKI(Gt)がフロアに飛び降りドレスをひるがえして後方まで駆け抜けるほどの熱狂っぷりだ。最後にKAMIJOが「今日は亡くなったメンバー、Jasmine Youの誕生日です。」と告げ、彼の名を呼ぶ声がオーディエンスから大きく上がっていた。
<Visual Parade>は多数のバンドが存在するヴィジュアル系シーンの中で、テーマを設けてバンドをキャスティング。そのため毎回観客の心に「グッと刺さる」ライブが演出されている。第4回の開催はまだ未定だが、今後も継続的に開催されていく予定だ。
文◎高崎 光
写真◎上溝 恭香
◆ライブ画像
セットリスト
0.Prologue
1.GENESIS
■Far East Dizain
1.NADIR
2.The War Went On
3.illest
4.Weight of sins
5.Last Scene
■NOCTURNAL BLOODLUST
1.Malice against
2.Punch me if you can
3.BREAK THIS FAKE
4.DESPERATE
5.Eveil
6.Calamity of Victims
7.GENESIS
8.V.I.P
■Versailles
1.Aristocrat's Symphony
2.Lineage
3.ASCENDEAD MASTER
4.MASQUERADE
5.zombie
6.Chandelier
7.The Red Carpet Day
8.The Revenant Choir ~ Symphony of The Revenant Choir
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