【インタビュー】高崎晃(LOUDNESS)、35年の歴史を語る「ロックは自由でないとあかん」
■「世界を目指せ」って言ってたけど
■4年でそれがほんまになっちゃって
──いろんな経験をもって今があると思いますが、高崎さんに大きな影響を与えた人たちというのは?
高崎:一緒にレコーディングしてきたアメリカやイギリスのプロデューサーとかね。そういう人からだいぶレコーディングの仕方だったり、ロックミュージックに対する心得みたいなものを学びましたよ。
──ロックミュージックの心得って?
高崎:やっぱりロックっていうのは“自由でないとあかん”と思うね。でも僕は1980年代に全部構築して、頭使って構成からすべて考えてギター弾いたりしてたから、「何も考えんと1回弾いてみろよ」って言われた時にね、すごい衝撃やった。
──「え?」って?
高崎:そう。「やりたいことわかったし、これはこれで上手いからええんやけど、1回そういうんじゃなしに何も考えんと、このリフに対して身を委ねてフィーリングだけで弾いてみたらどうや?」みたいな、そういう提案が出てきたんよね。もう8〜10割まで作ってあるのに、それをもう1回全部崩して「グルーヴからテンポから全部変えてやってみたらどうや?」とかね。海外のプロデューサーからは、すごい大胆な発想が出てきた。
──そこを通らないと生まれ得なかったサウンドやグルーヴがあったわけですね。
高崎:そうやね。だから音楽って正解はひとつじゃないと思う。だから、自分たちはこれでええと思ってても、それ以外のアレンジとかね、いろいろ試していちばん良いのを選んだらええとか、そういうやり方もだいぶ学びましたね。
──自分のこだわりやポリシーと同時に、持つべきは柔軟性?
高崎:そう、最初はやっぱり柔軟性とかなくて、1回決めたら絶対これでええと思ってたから、そこから崩されるのがメンバーみんなすごいイヤやってんけど。
──そりゃそうでしょう。せっかくベストなものを構築したってのに。
高崎:そうなんですよ。だけどね、そんな中でももういっぺん頭をゼロにして、そこからまた別のパターンを試したりすることも多かったですよ。
▲2015.11.16@チェコ |
高崎:LOUDNESSでデビューして、4年ぐらいで海外まで行って、アトランティックレコードから契約の話をもらったりして。
──海外レーベルからオファーをもらうなんて、日本ではLOUDNESSしかいなかった。
高崎:1980年代はアトランティックで4〜5枚ぐらい作ったかな。世界を目指せって言ってたけど、4年でそれがほんまになっちゃって、モトリー・クルーやAC/DCといった一流のバンドと世界を廻れたのは不思議なくらい。当時は、外国人のプロデューサーを迎えて外国でレコーディングするのが当たり前になってたね。そんな中、メンバーチェンジを何回か繰り返しとって、1990年代に入るとドラムにすごい興味が湧いてきた。
──ドラム?
高崎:うん。自分の30代を振り返ったら、ギターよりもドラム叩いてる時間のほうが長くなってて。
──天下の高崎晃が、ギターを弾かずにドラムを。面白かったんですか?
高崎:おもしろいっちゅうか、自分に向いてるなと思って。ギターよりも。
──あはは(笑)、んな馬鹿な。
高崎:ほんま、ほんま。ギターよりドラムのほうが上手やな。
──“ドラムを叩くこと”は、ギタリスト高崎晃にどんな影響を与えました?
高崎:今でもすごく役立ってるよ。曲作りとかね。若い頃はギターしか弾かれへんかったし、全部ギターで曲を考えて、ギターの塊やったけど、それが他の楽器にも興味が出てきて、ドラム、ベース、歌……鍵盤も40代になってからいじるようになったりして、そこからアレンジとかの面でもよりいい感じになった。詰め込むんじゃなしに引き算のアレンジができるようになるんですよね。どんどんシンプルにしていくアレンジができる。
──ドラムのことは樋口さんに教わったりして?
高崎:樋口さんと一緒にドラムをずっと研究してた。
──ミュージシャン生活を楽しんでいますね。
高崎:過ぎてしまえばあっという間やけど、なんていうんかな……メタルばっかりギターばっかり弾いていると、どうしても頭打ちになるような時期もあってんけどね。けど、そんな時に他の楽器をやったら、また音楽を続けていける。これ、やってなかったら音楽自体に興味なくなってきてたかもしれない。ずっと音楽漬けの人生やけどね。
──LOUDNESSでいうとどの時期ですか?
高崎:4期ですよね。第4期はハードロックとかメタルを一度置いて、もっと広い意味でロックを追求しようやないかっていうので始めてたんでね。
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