【ライブレポート】the GazettE、ゴシックに彩られたハロウィンナイト「最高でした、来年もやろうぜ」

それから怒涛の後半戦が始まる。「HESITATING MEANS DEATH」「UGLY」「HEADACHEMAN」など激しいセットリストが休む間もなく続き、フロアにはヘドバン、折りたたみ、モッシュによる圧巻の光景が広がる。

「最高の景色を！」の一言から本編最後に演奏されたのは「LINDA～candydive Pinky heaven～」。まさにパーティーの幕引きに相応しいこの一曲では、メンバーもフロアも全員が笑顔で、ただただライブを楽しんでいた。前方ではひっきりなしにダイブも起こり、今宵一番の盛り上がりを魅せた。


これで本編が終わるのだが、もちろんアンコールは止まない。大きなアンコールの声とハンドクラップに呼ばれてまず登場したのは戒。なんとこの日は初のハロウィンというだけでなく、戒の誕生日当日でもあるのだ。the GazettEは戒の誕生日にライブをすることも多く、この日も朝から戒がメンバーに「いつケーキが出てくるの？」と聞いていたそうだ。

そんな戒を裏切ったのが「ロシアンシュークリーム」の登場。5つ用意されたシュークリームのうち1つに大量のワサビが仕込まれているとのことだ。真剣にシュークリームを吟味しひとつ口に入れた戒は…悶絶。タネ明かしをすると、なんと5つすべてにワサビが仕込まれていたのだ。

メンバーの趣向をこらした悪戯に、戒はワサビによる涙を流しつつ「すげえ愛を感じる。嬉し涙が止まらない（笑）」としっかりユーモアをまじえて返答。ワサビの余韻に苦しみながらもしっかりリーダーらしく「the GazettEを続けていくことが、今日祝ってくれたみんなへの恩返しになると思っているんで、これからもよろしくお願いします」とファンへの感謝を語った。

フロアも一体となり全員でバースデーソングを歌ったあとは、アンコールへ。アンコールでは定番で盛り上がる「赤いワンピース」から「SILLY GOD DISCO」など戒のドラムのリズムが際立つ5曲が披露された。そして最後は「TOMORROW NEVER DIES」。RUKIの「声聴かせて」の声にオーディエンスは一斉に大きな声と拳を上げ、サビではモッシュでフロアがぐちゃぐちゃに。ダイブも止まらない。その姿にRUKIも思わず「最高だ」と述べ、アンコールが終了した。

が、ここで終わらないのがthe GazettE。再度のアンコールではもちろん「関東土下座組合」を披露。フロアはもちろん土下座できるスペースなどないのだが、「地獄へようこそ」のRUKIの一言で、オーディエンスは待ってましたとばかりに一斉にヘドバンを繰り広げる。パーティーの終演に相応しく本当に全員が暴れ狂い、この日を締めくくった。

これがthe GazettEのハロウィンだ、というものを魅せつけてくれた一夜。最後のMCでRUKIは「DOGMAツアーが終わり、曲を作るとなったらまた1年みなさんと会えなくなるんで」と、ハロウィンライブを開催した意義を述べていた。そのファンを思いやる気持ちも、十分に伝わっていたと思う。そして「せっかくこうやってやり始めたので、また来年もできたらいいなと思います」「最高でした、またやろうぜ」とも。

the GazettEは来年3月に＜十五周年記念公演　大日本異端芸者「暴動区　愚鈍の桜」＞を行なう。the GazettEが昔名乗っていた“大日本異端芸者”の名がついたこのライブ、往年のファンにとっても新しいファンにとっても新鮮なものになるのは間違いない。今回のハロウィンライブもそうだが、このように昔の名を冠したライブなど、いつもthe GazettEは「次は一体何を魅せてくれるのだろう」という期待を提示してくれる。そう、来年のハロウィンも今から期待が止まらない。

取材・文◎服部容子（BARKS）
PHOTO BY KEIKO TANABE