【検証】フジロックが20年愛され続ける理由 ~序章~

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■「しかし、敷居が高い」

烏丸:でも冷静に見れば、フジロックには「音楽ファンじゃないと行っちゃいけないんじゃないか」という精神的な敷居の高さがあるように思うんだけど、二人はどう思う?

ドラミ:確かに。行ってるフジロッカーがフジロックについて語るときの様子があまりにも嬉々としていると、ちょっと気後れしちゃうみたいな感じってあると思う。

堺:でも、洋楽通でも初めて知るような、多国籍な音楽で会場は溢れているし、本当の意味での世界的な音楽の祭典だから、そこは自分の感覚を信じて来て欲しいですね。

ドラミ:実際、フジロックは敷居が高いと言われていますよね。興味はあるけど行ったことがないという人も大勢いるんじゃないでしょうか。二の足を踏み続けて20年とか。

堺:具体的にどう敷居が高いんでしょうね?

ドラミ:まずは、トータルコストでしょうかね。関東からの出発と仮定して、大人一人あたり約6万~10万円といったところでしょうか。これが北海道や九州四国などの遠方からの参戦になるとプラス飛行機代。

烏丸:知らない人は「え! そんなに?!」と思って引いちゃうかもね。でも、行ってる側からすれば当然でしょ?

堺:私は、海外旅行へ行く気になれば同じだと考えてます。

烏丸:でも、高いチケット代と交通費を出して多くの労力をかけていくのに、全てのアーティストを観ることができないというジレンマはどう思いますか?

堺:優先順位を付けていく楽しさってたぶんあると思うんですよね。「これは絶対に観たい」「これはレアだけど、あたしはいいや」みたいな。自分の音楽趣味の実体が明らかになる面白さはありますよ。

ドラミ:私はもう、そういうもんだっていう認識。全部観られないのが当たり前っていう。単純にかぶっちゃってたら諦めるしかないと思ってました、今まで。

烏丸:実際、諦めるしかないんだけど、それってつらいじゃん。

ドラミ:いやいや、どうしてもという時はどっちも観ますよ。移動します。ビョークの最後だけは観よう…でもホワイトでやるイギーが本命だから、ホワイトのヘッドライナーを頭から観ておいてビョークの花火だけ観に行く、みたいな。で、一応両方観たと自分の中で納得するような感覚。

堺:そもそも論ですが、山の中なのでアウトドアや虫が嫌いな人にはつらいかも。装備も必要だし。

烏丸:そこが大変そうでムリ…と構えている人も多いよ。

ドラミ:いや、普通に軽装備で来ている人もいますから、そこは心配性の度合いとタフさ次第かと。アウトドアにこだわる人はギアにも凝るだろうし、別に気にしないで虫に刺されてもいいんだって人はビーサンで行きますし。

烏丸:そこの振れ幅は大きいんだね。

ドラミ:山ガールとかが出現したあたりから、ファッションもおしゃれでカラフルになりましたよね。

堺:山の中という環境を楽しむようになってきました。ファッションも、カラフルなポンチョとかもいっぱい出てるし。ヒッピーっぽいファッションもフジロックならアリでしょう。山の孤立感みたいな、非日常を思いっきり満喫しようとしているから、そういう楽しみ方もありますよね。

烏丸:無計画でプラっと行けないかな。事前準備は絶対必要?

堺:バイカーやサイクリストだと、実は入り口ゲート前に無料駐輪できるんで、フラっと行けるんですけど、あまり知られていないかも。

ドラミ:日帰りなら軽装備で行けません? 東京から行くのにも、レンタカー、新幹線、バスツアーなどたくさんあるけれど、みんな自由に動きたいから結局はレンタカーや新幹線を使っているような? バスツアーの充実度は半端ない昨今。これもあまり知られていないかも。

堺:天候だけはどうしようもありません。そのせいで雨具などの装備が増えますが、最後まで自分が楽しみ切るための装備なので苦ではないです。

ドラミ:シンプルに、自然の中を歩くという体験が楽しめるという考え方もある。

烏丸:改めてみれば、自然という場所に何万人も集まって、みんなで思い思いの音楽を楽しむという現象は凄いことだな。音楽好きなら知らないともったいないかも。

堺:そう、もったいないです。

烏丸:我々は楽しむだけだけど、フジロックを作る運営側には、見えない大変さもありそうだね。逆に我々の知らない魅力もたくさん知っているだろうし。

堺:確かに、あの規模のあの空間を生み出すのって並大抵ではないでしょうね。

ドラミ:裏側がどうなっているか、ですよね。

烏丸:敷居が高いと言いながら10万人もの人が集まる不思議さ……敷居が高いという、その真理がはっきりすれば、まだフジロック体験をしていない人たちもぐっと参加しやすくなるだろうね。その敷居を超えてまで人を向かわせる魅力は何か。

堺:フジロックの魅力はいろんな人に語られてきましたけど、「敷居が高い」原因をあえて探るって、面白い角度ですね。編集長、色んな切り口から掘り下げてみたいです。どうです?

烏丸:うん、音楽サイトの使命として、20年目のフジロック、真実を追求しましょう。編集部全員集合!

  ◆  ◆  ◆

──というわけでBARKSでは、「敷居が高い」とも言われるフジロックがなぜ愛され続けるのかを解明するべく、今後さまざまな企画をおとどけする予定だ。開催までのカウントダウンをしながら、日本が誇るこのフェスティバルについて、ぜひ、今一度見つめてみて欲しい。

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<FUJI ROCK FESTIVAL'16>

2016年7月22日(金)23日(土)24日(日)
@新潟県 湯沢町 苗場スキー場
■チケット:2次先行販売中
※各券種、受付などの詳細はオフィシャルサイトへ http://www.fujirockfestival.com

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