【ライブレポート】the GazettE、代々木第一を染め上げた＜漆黒＞。「そんなオマエらを愛してるよ。そして…」

そして、ライヴは後半戦へと突入していった。「PARALYSIS」からは、ライヴ導入で魅せた激しく畳み掛けていく音でオーディエンスを暴れさせた。激しさの中に差し込まれる曇りのないピアノ音と葵の奏でる泣きのフレーズが絶品だった「DEUX」から、“DOGMA”を締めくくる「OMINOUS」へと流れ、4月27日にリリースされるニューシングル「UNDYING」へと続けたのだった。音源でのDOGMA最終章となる「UNDYING」は、美しくイントロを響かせ、彼らはこの先のthe GazettEが進むべき道をオーディエンスに示し、ステージを後にしたのだった。

「ここから見える景色はなんとも言えず最高です。君らの暴れっぷりを見ていると、the GazettEというバンドを本当に誇りに思います」── 戒

リーダーである戒の言葉から始まったアンコール。「INSIDE BEAST」「VERMIN」と間髪入れずに届けられ、オーディエンスを乱舞させたのは、アルバム『DOGMA』以前のthe GazettEの音たちだ。いろんなモノを吸収し、アウトプットし、大きくthe GazettEの音を変化させた時期でもあったこの時期の楽曲たち。個人的に、彼らの描き出すどこまでも暗く歪んだ漆黒の世界がなんともいえず好きなのだが、またその世界観とは少しベクトルが違うこの時期のthe GazettEの純粋なロックバンド感もたまらなく好きなのだ。まさに、このアンコールで届けられたthe GazettEの音は、見た目にも最高の盛り上がりを感じさせるライヴ感を放つもの。オーディエンスも“待ってました！”と言わんばかりに暴れていたのが、実に清々しい光景だった。前に記したオーディエンスを釘付けにした「BIZARRE」からの流れもthe GazettEの武器であり、この先も追求していってほしい世界観ではあるが、アンコールで魅せたこの世界観も、またいつか、今の彼らのスキルとマインドで、この時期に吐き出したシニカルなバンドサウンドも魅せてほしいと切に願う。

「まずは、わたくしたちとあなたがたが、この非常に貴重な時間を共有できていることに感謝。久しぶりの代々木。何年ぶりでしょう？（※オーディエンス“8年ぶり！”）そう。8年ぶり。あの日、出入り禁止になってから、8年の月日が流れました。あの時、最後の曲で俺が（客席まで）降りなければ、こんなことには……。でも、初めて立ったときより、みなさんが近く感じます。みなさんも大人になられて……。言ってもないのに服装が真っ黒で。そんなオマエらを愛してるよ。そして、誰よりも暴れまくる大バカ野郎のオマエたちが大好きだ」── RUKI


これは5人全員の想いを集約した言葉であったに違いない。このMCの後に届けられたREITAの際立ったスラップが曲を引っ張っていた「COCKROACH」では、その言葉に変わる勢い余る楽器隊の音に感じたのも、麗、葵、REITA、戒の想いがダイレクトに音から現れていたからだろう。

さらに、ダブルアンコールで届けられたthe GazettEの初期の楽曲「枯詩」「春雪の頃」では、the GazettEの産声を聞いた気がした。ここから彼らが始まったのだと思うと感慨深い。ダブルアンコールのthe GazettEがあったからこそ、1回目のアンコールのthe GazettEが生まれ、そこがあったからこそ、本編で魅せたthe GazettEが存在するのだろう。彼らは、8年ぶりに立ったその場所で、ツアーの集大成だけではなく、the GazettEというバンドの集大成を魅せてくれたのだ。

彼らはこの日、終演後にこの先に控える新たな展開と、新たなツアーを発表し、ファンを喜ばせた。ファイナル公演を含む43本は、新たな展開へと進む鍵であったことが示されたと言えるだろう。

いつも想像以上の衝撃を与えてくれる彼らに、さらなる大きな期待を寄せたい。

取材・文●武市尚子




■10TH MOV. LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒- LIVE DVD
http://the-gazette.com/shikkoku_dvd/

■11TH MOV. STANDING LIVE TOUR 16 DOGMATIC -ANOTHER FATE-
http://the-gazette.com/another_fate/

■GRAND FINALE STANDING LIVE TOUR
http://the-gazette.com/golden_ticket/